LNP2について(その5)
CDが登場以前、ラインアンプのゲインは、たいてい20dB前後だった。
LNP2のインプットアンプの最大ゲインは──このあとにアウトプットアンプがさらにあるのに──40dBというのは、
常識的なゲイン配分からすると、かなり高い。
オーバーゲインかどうかは、組み合わせるパワーアンプのゲイン、スピーカーの能率と関係することなので、
安易に決めつけるわけにはいかないのだが、トータルゲインは過剰気味といえる。
とくにラインレベルの高いCDプレーヤーだと、LNP2のゲイン設定は、使い難い。
ゲイン切換えを絞り気味に使うと、音が、どうも冴えなくなる。
音の冴えを失ったLNP2では、これにこだわる理由が薄れてしまう。
だからオーバーゲインにして、インプットレベルコントロールをかなり絞って使うことになる。
そのためだろう、CDプレーヤーを、AUXなどのライン入力に接続せずに、
テープ入力に接ぎ、テープモニター・スイッチを使えば、
インプットアンプを介さずに、アウトプットレベルコントロールとアウトプットアンプのみを経由する。
LNP2のブロックダイアグラムを見ると、レコードアウト(Record Out)が、
いわゆる一般的なコントロールアンプの出力に近い。
インプットアンプの出力は2つに分岐され、ひとつはアウトプットアンプへ、
もうひとつはレコードアウトになる。
つまりボリュームコントロールを、
左右独立したインプットレベルコントロールで調整するのが苦にならない人、
そしてトーンコントロールは不要だという人は、
レコードアウトをパワーアンプに接げるという手もある。
どちらにしろ、アンプをひとつ通らずにすむので、音の鮮度も高い──、
そう考えるのは安易すぎ、短絡的すぎはしないか。
なぜマーク・レヴィンソンは、インプットアンプのゲインを、
Lタイプになったときから、20dBから40dBにアップしたのか。
オーバーゲインで使い難いという声があがるのは、わかっていたはずだ。
なのにあえて、この変更を行なっている。
その理由を考えるべきではないのか。