BBCモニター考(その5)
JBLの4343のウーファー2231A(フェライトモデルは2231H)は、マスコントロールリングを採用している。
コーン紙とボイスコイルボビンとの接合部に金属製のリング(アルミ製)を装着することで、
比較的軽いコーン紙を使いながらも、振動板のトータル質量を増すことで、f0を拡張している。
マスコントロールリングなしで、コーン紙を厚くして同等の質量とすると、中低域のレスポンスが低下する。
質量の増加を、ボイスコイル付近に集中させているのが、この方式の特徴である。
というものの、やはり振動系の質量は100gをゆうにこえていたと記憶している。
38cm口径のコーン型スピーカーとしても、その質量は重量級といえる。
これを強力な磁気回路で駆動すれば、能率はそこそこ高くなる。
ロジャースPM510の軽量級のポリプロピレンのコーン紙とほどほどの磁気回路でも、
2231Aとほぼ同じ能率を実現している。
理屈の上では、能率が同じであれば、初動感度は等しい。
だが感覚的には同じとは認識しないのではないだろうか。
低能率のスピーカーをハイパワーアンプで鳴らせば、高能率とスピーカーと同等の音圧を得られる。
だからといって、高能率なスピーカーに共通する特質を、そこに聴くことはできない。
数値上でつじつまは合っていても、感覚的なつじつまはどうなのだろう。