私にとってアナログディスク再生とは(SME 3012-R Special・その3)
トーンアームのパイプの形状は、
私がオーディオに興味を持ち始めた1976年は、S字型かJ字型が大半だった。
ストレート型もいくつかあったけれど、少数派だった。
ストレートパイプが増えてきたのは、1980年代に入ってからだろう。
しばらくしてピュアストレート型が提唱されるようになってきた。
オフセット角は不必要というもので、
それまでのストレート型はヘッドシェル部に角度がついていたが、
ピュアストレート型はヘッドシェルまで直線になっている。
ピュアストレート型の優位性を、理論的に説明する人もいる。
それはそれで納得できるところも多い。
それでも、でもね……、と思うの私だ。
トーンアームは、ピュアストレート型でないほうがいい。
いい、というのは、好きだ、という意味、
さらには美しいという意味で書いている。
SMEの3012-R Specialが盤面をトレースする姿をみていると、
この長さ、そして形があってこそ、と思う。
レコードを聴いているとき、盤面をじーっと眺めているわけではない。
目に入るのは、カートリッジを盤面に降ろすときとあげるときぐらいであっても、
美しいと感じられる形であってほしい。
そんなことよりも、音のほうが重要だろう、といわれるのはわかっている。
それでも──、である。