Date: 4月 18th, 2011
Cate: Autograph, TANNOY, ワイドレンジ
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ワイドレンジ考(その48)

タンノイ・オートグラフは、1953年のニューヨークオーディオショウにて発表されている。

1953年は、まだステレオLPは登場していない。
オートグラフはモノーラル時代の、つまり1本で聴くスピーカーシステムである。

翌54年にはヨーク(これもコーナー型、ただしバスレフ)、
55年にはオートグラフからフロンショートホーンを省き、いくぶん小型化したGRFが出ている。
いうまでもないことだが、GRFもコーナー型だ。

ヨークは、のちにコーナーヨークと呼ばれるようになったのは、
1960年代にはいり、一般的な四角い箱のレクタンギュラーヨークが出て、はっきりと区別するためである。
GRFにも、ご存知のようにレクタンギュラー型がある。
ヨークを小型化したランカスター(1960年発売)も、コーナー型とレクタンギュラー型とがある。

ステレオLPの登場・普及、
それにARによるアコースティックサスペンション方式のブックシェルフ型スピーカーの登場、
スピーカーのワイドレンジ化ということもあいまって、
コーナー型のスピーカーシステムは次第に姿を消していくわけだが、
オートグラフが登場した頃は、イギリスだけでなく、
アメリカにおいても大型の高級スピーカーシステムの多くはコーナー型が占めていた。

オートグラフはフロアー型のなかでも大型に属するスピーカーシステムだ。
しかもコーナー型で、複合ホーン型。
この手のスピーカーシステムを、ほんとうにスタジオモニターとして開発・設計されたといわれても、
ステレオが当り前の世代には、にわかには信じられないことだ。

だがオートグラフが登場した頃は、くりかえすが、モノーラル時代である。
スピーカーシステムは1本のみの時代である。

このことに注目すると、この時代、コーナー型のタンノイがスタジオモニターとして使われていても、
そう不思議ではないことかもしれない。

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