Date: 12月 8th, 2021
Cate: ディスク/ブック
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SATURDAY NIGHT IN SAN FRANCISCO(その5)

「スーパー・ギター・トリオ・ライヴ」のLPを買ったのは、
サウンドコニサーの取材から一年後くらいだった。

衝撃をうけたにも関らず、すぐには買わなかったのに、特に大きな理由はなかったはずだ。
自分でも、いまふり返ってすると、なぜ? と思うけれど、
とにかくしばらしくしてから買った。

自分で買って、1980年12月5日が“FRIDAY NIGHT IN SAN FRANCISCO”であることを知って、
そうか、冬のライヴ録音だったのか、と思ったことだけは、はっきりと憶えている。

黒田先生は、サウンドコニサーで、こう発言されている。
     *
このレコードの聴こえ方というのも凄かった。演奏途中であれほど拍手や会場ノイズが絡んでいたとは思いませんでしたからね。拍手は演奏が終って最後に聴こえてくるだけかと思っていたのですが、レコードに針を降ろしたとたんに、会場のざわめく響きがパッと眼の前一杯に広がって、がやがやした感じの中から、ギターの音が弾丸のごとく左右のスピーカー間を飛び交う。このスペクタキュラスなライヴの感じというのは、うちの4343からは聴きとりにくいですね。
     *
まさにそのとおりだった。
この会場のざわめき、そして伝わってくる熱気から、私は勝手に夏のライヴだと勘違いしていたわけだ。

《スペクタキュラスなライヴの感じ》を、
アクースタットのスピーカーから、はっきりと聴きとれた。

JBLの4343で、「スーパー・ギター・トリオ・ライヴ」を初めて聴いたとしても、
その演奏に驚いたはずだ。
でも、《スペクタキュラスなライヴの感じ》は、聴きとりにくかっただろう。
もちろん4343で聴けば、
4343の良さで「スーパー・ギター・トリオ・ライヴ」の魅力を伝えてくれただろうが、
アクースタットほどの衝撃は得られなかったかもしれない。

レコード(録音物)との出逢いは、ときに再生システムに影響を受ける。
まったく影響を受けない、ということはありえない。
少なからずとも影響を受けるものだ。

“FRIDAY NIGHT IN SAN FRANCISCO”の最初はアクースタットだった。
“SATURDAY NIGHT IN SAN FRANCISCO”の最初は、コーネッタか。

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