BACH UNLIMITED(その1)
メールアドレスを登録しておけば、タワーレコード、HMVから新譜情報が届く。
今日も届いた。
きちんと読む時もあれば、ぱっと眺めてゴミ箱行きということもけっこうある。
今日は、とりあえず眺めていた。
そこにリーズ・ドゥ・ラ・サール(Lise de la Salle)の新譜があった。
「いつ踊ればいいの?(WHEN DO WE DANCE?」だ。
クラシックの新譜案内で、一風変ったアルバムタイトル。
これに惹かれてクリックした。
ちょっと聴いてみたい、と思い、TIDALで検索。
まだなかった。
他にどんなアルバムがあるのかと眺めていて、“BACH UNLIMITED”がまず目に入ってきた。
とりあえず聴いてみよう。
そんな軽い感じで聴き始めた。
新譜ではない。
数年前に発売になっている。
出ているのを知らなかった。
リーズ・ドゥ・ラ・サールというピアニストのことも知らなかった。
まじめにタワーレコード、HMVからの新譜案内のメールに目を通していれば、
とっくに気づいていただろうに、ただ眺めているだけだったから、
いまごろになって、このフランスのピアニストの存在を知ったばかりだ。
“BACH UNLIMITED”の一曲目は、イタリア協奏曲である。
最初の音が鳴ってきた瞬間、グールドか? と思った。
軽やかで、もったいぶったところが一切ない。
何事も深刻ぶるのが好きな人が、世の中にはけっこういる。
そんな人には、このイタリア協奏曲は好みにあわないかもしれない。
けれど深刻ぶるのと、真剣であるということは、
まったく違うことだ。
そんなあたりまえのことを、
深刻ぶるのがかっこいいとでも思っている人に指摘したくもなるが、
本人がいい気分でいるのをぶちこわすのはトラブルの元だから、やったりはしない。
そんな人のことはどうでもよくて、
音楽を聴くということは、そんなことと無縁のことであることを、
グールドの演奏は教えてくれるし、
リーズ・ドゥ・ラ・サールのバッハもまたそうである。
聴いていてわくわくしてきた。
TIDALには、他のアルバムもある。
それらもこれから聴くところだが、
とにかくイタリア協奏曲を聴いたばかりの昂奮を書いておきたかった。