オーディオの「本」(読まれるからこそ「本」・その7)
先日、久しぶりに書店に行った。
そこそこ大きな書店である。
そこにも貼り紙があった。
(その6)で書いているコンビニエンスストアの貼り紙とはちょっと違う。
コロナ関係の貼り紙なのだが、立ち読み禁止ではなく、
立ち読みはソーシャルディスタンスを維持してください、とあった。
ゴールデンウィーク中だったにもかかわらず(だからなのか)、
客はまばらだった。
ソーシャルディスタンスに気をつける必要がないほどに、人がいなかった。
いまでは書店に行かずとも、本を購入できる。
インターネットで注文すれば、場合によっては書店に注文するよりも手元に早く届く。
それに電子書籍に移行しはじめている人が増えてきているのだろうか。
(その1)で、ステレオサウンドのバックナンバー、それもかなり古い号が、
たまにではあっても、ひじょうにキレイな状態で古書店に並んでいることを嘆いた。
それは読まれていないからこそのキレイさであるからだ。
つんどく。
ステレオサウンドのキレイなバックナンバーも、つんどくだったからである。
つんどく状態の本が一冊もない、という本好きの人は、そうはいないのではないだろうか。
電子書籍の割合が増えていくということは、つんどくも増えていくことになるかもしれない。
実際の本をつんどくにしておくと、視覚的にも気になってくるものだが、
電子書籍だと、どれだけつんどくの本がたまってこようと、
さほど気にならないといえばそうだろう。
つんどくの傾向がましてくることを嘆く編集者のほうが多いと思うが、
そうでない編集者もいてもおかしくない。
定期購読者の多い雑誌ならば、
つんどくぐらいの読者のほうがありがたいといえば、そうともいえる。
買ってくれる。けれど読まない。
とりあえず見映えのいいように仕上げていればいい。
つまり読者ではなく、買者がいればいい──、という考えである。