トーンアームに関するいくつかのこと(その4)
アナログプレーヤー関係ではないが、
片持ちの代表的例、もっといえば片持ちのキングといえるオーディオ機器は、
やはりB&WのNautilusだ。
ウーファーをのぞく上三つの帯域のユニットの後部は、
消音構造のために、角のように伸びている。
この角は、先端が片持である。
これだけ長い片持ちのオーディオ機器は、これ以前にはなかったし、
Nautilus以降もない。
しかも三本の片持ちである。
Nautilusの、この三本の角の先端を、適切な方法で片持ちではないようにしたら、
どれだけ音が変化することだろう。
Nautilusでは試したことはないが、
B&Wの小型2ウェイの805Dでやったことはある。
805Dのトゥイーターの後方にのびる角は、さほど長くない。
それでも先端の下に支えをかましてやる──、
たったこれだけのことなのに、音は大きく変化する。
その時は、数人で聴いていた。
ギターのディスクがかかっていた。
アクースティックギターなのに、エレクトリックギターのように鳴っていた。
それが、ほんのちょっと角の先端を支えただけで、
アクースティックギターの響きに変っていった。
私の隣で聴いていた人は、高校時代にギター部にいた人で、
彼も片持ちのままの805Dのギターの音には首を傾げていたが、
私が手を加えたあとの805Dの音を聴いて、納得していた。