Date: 1月 16th, 2020
Cate: High Resolution
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MQAのこと、音の量感のこと(その9)

時間軸の精度の高さだけでは、どうもみずみずしい音はえられそうにないようだ。
MQAも時間軸の精度の高さを謳っているとともに、
時間軸のぼけのなさ(少なさ)も、そこに加えている。

この「ぼけ」が具体的にどういう現象を示すものなのか、
私には完全に理解できているわけではないが、
感覚的には「ぼけ」という表現は、直感的ともいえる。

たとえばアンプの歪には、いくつもの種類の歪がある。
それと同じようにデジタルにおける時間軸に関する歪(揺れ、不正確さ)のようなものにも、
いくつかの種類が存在しているのではないだろうか。

そんなことを考えると同時に思いだすこともある。
以前書いていることだ。

サウンドボーイの編集長のOさんが話してくれたことだ。

ウェスターン・エレクトリックの真空管の音は、ぼけている。
トランジスターアンプのほうが、音の輪郭はぼけずに鮮明である。
けれど、ウェスターン・エレクトリックの音は、芯がきちんとあるし、
そこはぼけていない。
トランジスターアンプの鮮明な音は、反対に音の芯がぼけていることが多い──、
ということだった。

なるほどな、と思ってきいていた。
もう四十年近く前の話で、そのころのトランジスターアンプと、
その後のトランジスターアンプとでは変ってきているところも少なくないから、
そのままいまのアンプに当てはめようとは思っていないが、
音のどの部分がぼけているのか、どこがぼけていないのかは、重要なところだ。

時間軸の「芯」とのところがぼけていないのが、MQAだ、
といいたいところなのだが、
だからといって時間軸の「芯」とはこういうものだ、といえるわけでもない。

時間軸のぼけという表現から、感覚的にこういうことではないのか、と感じているし、
経験論からいえば時間軸のぼけこそがみずみずしい音を失わせるようだ、とはいえる。

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