redundancy in digital(その7)
ステレオサウンド編集部にいたからといって、
当時登場したオーディオ機器のすべてに接することができたわけではない。
関心をもっていても、実物をみたことすらない製品もある。
私にとって、そして、この項のテーマに関係しているモノで真っ先に浮ぶのは、
dbxのdbx 700である。
dbx 700のフロントパネルには、“DIGITAL AUDIO PROCESSOR”とある。
とはいえ、PCMプロセッサーではない。
当時の広告には、
《サンプリングレイト640kHzを持つ世界で初めてCPDM(Companded Predictive Delta Modulation)──圧縮予測型Δ・モジュレーション──方式》
とある。
16ビットPCMではない、とも広告にはある。
いまでこそ700kHzを超えるサンプリング周波数のPCMは実現しているが、
dbx 700が登場したのは1984年である。
ほとんどのCDプレーヤーが、四倍オーバーサンプリングを謳っていた時代である。
dbx 700は、受註生産だった。
価格は1,650,000円で、
外形寸法/重量はW48.2×H13.3×D29.2cm/10.5kgで、消費電力は60Wである。
dbx 700については、Wikipedia(英語版)を参照してほしい。
ソニーのPCM-F1の登場から約三年が経っている。
当時の広告には、《2年のR/Dを経た今》とある。
dbx 700の開発が始まったのは、PCM-F1の登場後である。