Western Electric 300-B(その22)
パッシヴ型のデヴァイダーでは、
ラグ端子を使い、部品のリード線がしっかりと絡むようにした上でのハンダ付けだった。
つまりハンダ付けをしなくとも音は出る(信号が流れる)状態での、
ハンダの量による音の違いが生じたわけである。
その理由について、ある仮説をもっているけれど、
いまのところ公表するつもりはない。
大事なのは、ハンダの量で音は変る、ということである。
とはいうものの、パッシヴ型のデヴァイダーを作ってから、
けっこう年月が経っている。
その間にどれだけのハンダ付けをしてきたかというと、
やっていない、といったほうがいいくらいでしかない。
ハンダ付けがヘタになった、と自覚している。
こんな腕前では、ハンダの量を、ハンダ付けの箇所すべてできちんとコントロールできるわけがない。
そうなると、300Bのプッシュプルアンプを作る前に、
少なくとも一台は、ハンダ付けの勘を取り戻すために作る必要性を感じている。
私は、真空管アンプ自作マニアではない。
何台も何台も、真空管アンプを自作して、手元に置きたいわけではない。
一台の、300Bプッシュプルアンプが欲しい。
満足できる300Bプッシュプルアンプが欲しいだけである。
市販されているモノに、残念ながら満足できないから、
自作するしかないと思っているだけである。
100%満足できるモノを、市販品に求めているわけではない。
70%くらい満足できれば、充分だと思っているにも関らず、
それでも見当たらないのが現状である。
もっとも、このことは私にとって──、ということでしかない。
ならば300Bプッシュプルアンプの前に、どんなアンプを作るのか。
大袈裟なモノにはしたくない。
ステレオ仕様(300Bプッシュプルアンプはモノーラル仕様の予定)で、
出力管は6V6あたりにしようかな、と思っている。
ならばウェストレックスのA10と同じ回路構成で、となる。
つまり伊藤先生の349Aプッシュプルアンプを、
349Aではなく出力管を6F6にして──、そんなことを考えている。