KEFがやって来た(その23)
KEFのModel 105はステレオサウンド 45号、
Model 105.2は54号で、それぞれ特集の総テストに登場している。
試聴だけでなく測定も行われている。
45号では水平・垂直、両方の指向特性が、
54号では水平の指向特性のグラフが載っている。
軸上の周波数特性だけでなく、
水平では30度の、垂直では15度の周波数特性もきちんとしている。
(その22)でレイモンド・クックの発言を引用しているとおり、
軸上から外れた特性も保証されている。
それでもModel 105の特長を聴くには、慎重な調整とただ一点のリスニングポイントが求められる。
過去に書いているように、瀬川先生が調整されたModel 105を聴く機会があった。
バルバラのレコードだった。
45号の試聴記で瀬川先生が書かれいてるように、
《バルバラがまさにスピーカーの中央に、そこに手を伸ばせば触れることができるのではないかと錯覚させるほど確かに定位する》のだ。
これは誇張でもなんでもない。
そのピンポイントの一点からズレてしまうと、そこまでの錯覚は得られない。
もちろん急にダメになってしまうわけてはないが、
一度でもピンポイントの一点での音を(もちろん身長に調整された場合)聴いてしまうと、
聴取位置の自由度を広くしたスピーカーとしてModel 105をみることきはできなくなる。
中高域を受け持つHEAD ASSEMBLYは水平と垂直方向の角度を調整できた。
記憶違いでなければ、105.2になってから水平方向のみになってしまった。
Model 107もそうである。
垂直方向、つまり仰角も調整できたほうがいいと思うのだが、
そうするとコスト高になってしまうのか、
それともそこまでの調整はあまり必要性を感じない、という判断なのか、
なんともいえないが、少々残念ではある。