日本の歌、日本語の歌(アルテックで聴く・その3)
私が最初に聴いたアルテックは、8インチ口径のフルレンジユニット755Eである。
きちんとしたエンクロージュアが用意できずに、
ダンボールの平面バッフルだったり、床に天井を向けて、ほんの少しだけ浮せて鳴らしたり、
そんな使い方(鳴らし方)だったけれど、気持の良い鳴り方だった。
その後405H(4インチ口径フルレンジ)も、
チェック用として持っていて時期もある。
604を聴いたのは、ステレオサウンドの試聴室ではなく、
あるユーザーのリスニングルームだった。
エンクロージュアは612で、アンプは自作の真空管式だった。
その後、別のユーザー宅でも612は聴いている。
アンプ、その他が違うとはいえ、このふたつの612に入った604の音は大きく違っていた。
違っていたけれど、どちらの604でも女性ヴォーカルは聴いていないし、
特に聴きたいと思わせる音ではなかった。
《歌謡曲や演歌・艶歌》の再生に関しては、いいかげんに鳴らしていた755Eの方が、
ずっと好ましかった。
私とアルテックとは、そんな感じだった。
アルテックの大型システムで、《歌謡曲や演歌・艶歌》を聴くことはつい最近までなかった。
毎月第一水曜日に、四谷三丁目のジャズ喫茶、喫茶茶会記で行っているaudio wednesday、
スピーカーは何度か書いているように、アルテックのユニットを中心としたモノだ。
昨年の1月から、積極的に音を出すようにしている。
すでに10数回、音を出してやっているけれど、
これまで一度もグラシェラ・スサーナを聴きたい、と思ったことはなかった。
日本語の歌を鳴らしていなかったわけではない。
これも何度か書いているように、常連のKさんは松田聖子をCDを毎回持参される。
それ以外にも日本の女性ヴォーカルのCDも、一緒にだ。
それらのCDは鳴らしていた。
でもグラシェラ・スサーナを聴きたい、とはこれまで一度も思わなかったのが、
ふと、どうなんだろう、と初めて思ったのが、5月のaudio wednesdayである。