ステレオサウンドについて(その56)
51号掲載の「ひろがり溶け合う響きを求めて」の二回目は、
IEC(International Electrotechnical Commission)が1977年に各国に配布した
リスニングルーム原案について紹介されている。
この原案の要約が表になっている。
①部屋の容積:801(±30)㎥
②天井までの高さ:2.75(±0.25)m
③寸法比:L:B:H=2.4=1.6=1
④残響時間:100Hz 0.4s(Min), 1.0s(Max) 400Hz 0.4s(Min), 0.6s(Max) 4kHz 0.4s(Min), 0.6s(Max)
8kHz 0.2s(Min), 0.6s(Max)
⑤スピーカーの背面(半斜面)は吸音性でないこと。
⑥スピーカー直前の床面にカーペット等を用いないこと。
⑦リスナーの背面は吸音性の材料を含んでもかまわない。
⑧天井にはいかなる吸音材を用いてはならない。
⑨屋内でのフラッターエコーが感知できないこと。
⑩基本的にこの屋内は拡散音場であること。
⑪室温:15〜35℃ ただし20℃が好ましく、リスニングテストの際は25℃を限度とする。
⑫湿度:45〜75%
⑬気圧:860mbar〜1060mbar
瀬川先生は、日本流に直していえば、
やや天井の高い十八畳弱の、残響時間が長めのリスニングルーム、と表現されている。
そして、こう書かれている。
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わたくし自身が(前号にも書いたように)長いあいだ数多くの愛好家のリスニングルームを訪問した体験によって、とても重要だと考えていた条件がひとつある。このことは、ふつう、こんにちの日本ではほとんど誰も取上げていない問題だが、それは表1の⑧の、「天井にはいかなる吸音材も用いないように……」という部分である。これは、新しいリスニングルームを作る計画を立てる以前から、ずっと固持してきたわたくしの考えと全く同じであった。
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瀬川先生の連載「ひろがり溶け合う響きを求めて」は、
単にリスニングルームの記事で終っているわけではない。
欧米のオーディオ機器の音とも深く関係してくる。