オーディオ機器を選ぶということ(その14・補足)
SMEのトーンアームの特徴は、軸受け部のナイフエッジということの、そのひとつとしてあげられる。
この構造上、SMEのトーンアームの調整で重要なのは、ラテラルバランスを必ずとる、ということ。
SMEも、3012-Rになり、このラテラルバランスの機構が調整しやすくなった。
ただ、それでもラテラルバランスがきちんととれているのかどうか、
どうやって判断したらいいのか、と訊かれたことが何度かある。
広く知れ渡っていることだと思っていただけに、ちょっと意外だったが、判断方法は簡単だ。
プレーヤーの片側を持ち上げて傾けて、トーンアームのパイプが流れなければいい。
もちろんカートリッジをとりつけて、ゼロバランスをとってから、であることはいうまでもない。
それからインサイドフォースキャンセラー用のオモリも外しておくこと。
そんなに大きく傾ける必要はない。目見当で10度から15度くらいで十分だ。
こう答えて、さらに訊かれたのは、傾けられないくらい重いプレーヤーだったらどうするんですか、だった。
そのころはまだステレオサウンドにいたし、ステレオサウンドの試聴室のリファレンスのアナログプレーヤーは、
マイクロのSX8000IIにSMEの3012-R Proの組合せ。
その人は、このマイクロは傾けられないだろう、ということだった。
SX8000IIの総重量は正確には憶えていないが、ベースを含めると100kg近かった。
この重量を傾けられる人もいるだろうが、ふつうは、まあ無理だ。
なにもベースごと傾ける必要はないし、ターンテーブル本体部分ですむことだが、
それでも軽いとはいえない重さだし、
トーレンスやリンのようなフローティング型からすると大変なことに変りはない。
でもマイクロはアームベースが取り外せる。
カートリッジをつけてゼロバランスをとって、針圧は印可しない状態で、
アームベースごとはずして、これを傾ければいい。