Date: 12月 20th, 2010
Cate: 選択
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オーディオ機器を選ぶということ(その15)

SMEの3012-Rとほぼ同じ時期に、オーディオクラフトのAC3000 (4000)シリーズの存在もあった。
AC3000はアームパイプを根元から交換する構造で、
アームパイプは材質、形状にいくつもの種類を用意して(ストレート型が5本、S字パイプが3本)、
ハイ・コンプライアンスのカートリッジからロー・コンプライアンスのモノまで、
ひとつのトーンアームでの対応を目ざした、いわゆるユニバーサルトーンアームとして開発されている。

その前身のAC300のころから、瀬川先生は愛用され、高く評価されていた。
AC300のころはアームパイプの交換はできなかったが、3000になり採用。
このときから、ヤボったさの残っていた外観の細部が変化して、ずっと洗練された見た目になっていった。
おそらくデザイナーとして瀬川先生が手がけられたのだ、と私は思っている。
色、仕上げもAC3000 Silverになり、また良くなった。
使いこなしてみたい、とおもわせる雰囲気をまとってきた。
欲をいえば、もっともっと洗練されていくことを期待していたけれど、
瀬川先生がなくなり、オーディオクラフトから花村社長が去り、この有望なトーンアームも姿を消す。

当時のカタログや広告をみれば、AC3000シリーズには、豊富な、
日本のメーカーらしいこまかなところに目の行き届いた付属アクセサリー(パーツ)が用意されていた。
カートリッジに対してだけでなく、取り付けるプレーヤーシステムのことを考慮して、
アームベースは、フローティングプレーヤー用に軽量のものもあった。
出力ケーブルも、MC型カートリッジ用の低抵抗型、MM型カートリッジ用の低容量型もあった。

これはもう、日本のメーカーだから、というよりも、当時の社長であった花村氏のレコードに対する愛情から、
そしておそらく瀬川先生の意見されてのことから、生れてきたものというべきであろう。

AC3000を使う機会は、残念ながらなかった。
101 Limitedを買っていなければ、AC3000か4000を買っていた、と思う。

状態のいいモノがあれば、ぜひ、いま使ってみたいトーンアームでもある。

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