Date: 8月 1st, 2010
Cate: High Fidelity, 五味康祐
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ハイ・フィデリティ再考(その16)

高城重躬氏も、録音には積極的にとりくまれていた。
たしか、五味先生がつかわれていたティアックのR313は、高城氏のすすめで購入されたものだ。

高城氏は、なにを録音されていたのか。
放送されたものも録音されていたのたろうけど、高城氏がおもに録音対象とされていたのは、
リスニングルームにおかれてあったスタインウェイの音であり、ときには秋の虫のすだく音である。

スタインウェイがある空間、ここに設置されているスピーカーによって、
録音されたスタインウェイの音が鳴らされる。
この比較によって、音を判断・調整されていたようだ。

高城氏にとって、市販のレコードはメインのプログラムソースであったのだろうか。
もちろんレコードも、数多く聴かれていたであろう。で、氏の著書「音の遍歴」を読んだ印象では、
やはり自分で録音したテープこそが、最良のソースであったように感じてしまう。

レコード、そしてバイロイト音楽祭の録音に重きをおかれた五味先生と、
自身のリスニングルームでの録音に重きをおかれていた高城氏とでは、なにもかもが違ってきてとうぜんとも思える。

レコードにしろ、バイロイト音楽祭を収録したテープにしろ、
どちらも録音された場は、再生の場と異る。それも空間の広さ、建物の構造など、多くのものが大きく異ってくる。

一方、高城氏の場合は、録音の場と再生の場は、完全に一致している。

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