オリジナルとは(あるスピーカーの補修・その3)
とにかくオリジナルであることが、なによりも大事な人たちがいるのは知っている。
車の世界では、そのことがとても大事なことらしい。
昔の名車を、オリジナルと違うパーツに交換したり、それで修理したりすれば、
それで、その車の価値は大きく下る、らしい。
オリジナルと少しでも違う箇所があれば、それでその車の価値は下る。
理解できないわけではないが、
それだけで、その車の価値がそれほど左右されてしまうのか、とも正直おもう。
オーディオに似たようなもの。
とにかくアンプにしてもスピーカーにしてもオリジナル通りのパーツで修理しなければならない。
少しでも違うパーツを使えば……、という人たちがやはりここにもいるわけだ。
そういう人たちは、今回、私が補修するスピーカーシステムをどうするのか、興味がある。
オリジナルと同じパーツで修理するとなれば、左右で違うパーツを使うことになる。
オリジナル至上主義の人たちは、これでいいのか。
それに補修するスピーカーシステムに使われているコンデンサーは、有名なパーツではない。
そんなパーツ、しかも40年以上のパーツ(コンデンサー)を探し出してくることは、決して不可能ではないだろうが、
それにはどれだけの時間を必要とするのか。
仮に新品・未使用の同じコンデンサーが見つかったとしても、
40年以上のパーツであれば劣化しているとみるべきである。
そういうパーツを使って補修したところで、それは音が出るようになっただけにしかすぎない。
オリジナル至上主義の人たちは、それで満足なのだろうが、
今回のスピーカーシステムは私自身が使うモノではない。
そういうスピーカーシステムに対して、そういった自己満足にすぎない補修は行えない。