同軸型はトーラスなのか(その2・余談)
ホーンと同じく、開口部の形状だけでなく、開口部周辺の形状が重要になるのには、バスレフダクトがある。
ダクトの長さ、径は、低域再生と直接関係するために、よく検討されているものが多い。
けれど、ホーン型同様、開口部周辺の形状までに気を使ったモノとなると、
いまのところ思い浮ぶのは、ひとつしかない。
ウェストレイクの Tower-12 だけだ。
Tower-12のバスレフダクトの開口部周辺の形状を見て、
こっけいだとか、目立ちすぎといったややネガティヴな印象を持つ方もいるだろう。
フロントバッフル面から突き出したかたちで、裾広がりになっているため、
裾野まで含めた全体の径は、開口部の径の2倍以上あるだろう。
その上に配置されているウーファーの口径と、そう変らない大きさになっている。
なんて大げさなパスレフダクトだろう、と最初見た瞬間はそう思っても、すこし考えれば、
ウェストレイクがわざわざ、この形状(大きさ)にした理由は浮んでくる。
バスレフダクトからは、音量が大きければ、かなりの空気量が出てくる。それもけっこうなスピードで、である。
そのため、この部分での聴感上のSN比の劣化を抑えるために、金属製のダクトを使用したもの、ダクト内に柔軟剤を使用しさらに柔らかくしたフェルトを貼りつけたもの、
エンクロージュア内部側の開口部をダンプしたもの、などの対策が、
実際の製品を見ていくと、各社様々の工夫がわかる。
これは、いわばホーンではいえば、ホーンの形状や材質の問題であって、フロントバッフルに取りつけた際、
そのマッチングについて検討されたものがごく少数なのと同じで、
バスレフダクトにおいてもバッフルをふくめての、最適の開口部周辺の形状が求められるはずだ。
この観点から、Towet-12 のバスレフダクトの開口部の形状を捉えたい。