Date: 12月 26th, 2013
Cate: 程々の音
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程々の音(その12)

エンクロージュアの組み立てには、接着剤を使用することが多い。
この接着剤に何を使うのか、
そしてどの程度の量を使うのか、
さらには接着面、たとえば底板と側板、側板とフロントバッフル、天板と側板など、
いくつもの接着面があるわけで、それぞれの接着面に応じて接着剤の量を同じにするのか、
それとも変えていくのか。
そして、その塗り方……。

接着剤ひとつをとってみても、そこには多くの違いが作り手の違いによって生じる。

さらには接着剤が乾燥するまでの時間、
それぞれの板に対して、どの程度の圧をかけるのか、もしくはほとんどかけないのか。

ひとつひとつ書いていけばキリがないほど、多くのパラメータがあって、
ひとつひとつは小さな影響であっても、エンクロージュアはそれらの集合体でもあるから、
作り手の組み立て技術は、同じく裁断された板を使用しても、当然音の差となってあらわれる。

しかもこれらの完全なる管理は、非常に困難であり、
だからこそメーカーの熟練した職人であっても、
まったく同じ音のするエンクロージュアを作るのは、ほぼ無理だということになる。

四角い箱ですらそうであるのだから、
コーナー型でホーン付のエンクロージュアともなると、
作り手の技術の差はさらに大きく音となって出てくることになる。

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