オーディオ・システムのデザインの中心(その11)

スピーカーケーブルやラインケーブルに、非常に高価なモノが登場しはじめたことと関係しているのか、
オーディオ雑誌に登場する人のリスニングルームで、
部屋の真ん中を太いケーブルが大蛇のように這っている写真をみかけるようになってきた。

同じケーブルを使っていても、どう這わせるのか、どこを這わせるのかによって音が変る。
だからもっとも音がいいとするところを這わせた結果が、
部屋の真ん中を大蛇が這うようになってしまった、ともいえるだろう。

私がいたころ、ステレオサウンドの試聴室ではスピーカーケーブルを部屋の真ん中を這わせていた。
試聴室はいわば実験室ともいえるし、
試聴室で聴く行為は、あくまでも試聴であり、リスニングルームと同じように思う人もいるかもしれないが、
試聴室とリスニングルームは決して同一には語れない。

リスニングルームをリスニングルームとして、音楽を聴く場としておきたいのか、
それとも試聴室としておくことに、なんのためらいも感じないのか、によって、
ケーブルの這わせ方は違ってくるのではないのか。

リスニングルームを試聴室として使うことは、私にだってあった。
いわば実験的に試してみたいことがあって、一時的にそういう使い方をしていたわけだ。

あえて、普通ならばやらないことをやってみることは、時として必要だと思っている。
あえてのことをやってみて、わかることがやはりあるからだ。
でも、あえてのことを、そのままにしておくわけではない。
あくまでも、それは一時的なことであって、
それによって得られることを、その先にどう活かしていくのか、採り入れていくのかに、頭を使う。

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