Date: 10月 28th, 2013
Cate: 岡俊雄
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岡俊雄氏のこと(その8)

ずっと以前の話。
dCSからElgarに続くD/AコンバーターとしてDeliusが発表になったときのことだ。
このDeliusが登場することをいち早く掴んで、あるオーディオ雑誌に記事を書いていた人がいた。

このころはインターネットはあったのだろうが、普及はしていなかった。
ほんの一部の人のものだったし、オーディオメーカーのサイトも存在していなかった。

だから、その人は得意満面だったのかもしれない。
ただ、そこにはDeliusが、デリウスと表記されていた。
いうまでもなくDeliusは、ディーリアスである。

最初D/Aコンバーター、Elgar(エルガー)がイギリスの作曲家だということを誰でもわかることだし、
おそらくその人もそのくらいは知っていたはずだ。
ならば第二弾のDeliusも、イギリスの作曲家だということはすぐに見当がつくはず。

Deliusが昔はデリアスと表記されていたことは知っているが、
それはそうとうに昔のことであって、少なくとも私がクラシックを聴き始めたころには、
すでにディーリアスと表記されていた。
それにケイト・ブッシュの三枚目のアルバム、Never for everの中に、Deliusという曲がある。
日本盤の対訳にも、ディーリアスと表記されている。

ちなみに私は、ケイト・ブッシュのDeliusで、フェンビーの存在を知った。

Deliusをディーリアスでもなく、デリアスでもなく、デリウスと書いた人は、
クラシックをまったく聴かない人なのだろう。
それにケイト・ブッシュも聴いていなかった人なのだろう。

Deliusの読み方がわからなかったら、誰かに訊けばいいのに……、と思う。
きくのが恥ずかしかったら、Deliusと英語表記のままにしてしまえばよかったのに、
わざわざ自分で読みを考えたのか、間違ったおかしなカタカナ表記にしてしまっている。

知ったかぶりをしなければ、この人は尻尾を出すことはなかったのに、
海外の最新情報に詳しいということを誇示したいためだったのか、
こういうことになってしまった。

それにしても、いじわるなのは編集部だとも思う。
編集部にはクラシックを聴く人もいたはず。
にも関わらずDeliusをデリウスのまま活字にしてしまうのは、
読者に対して筆者の尻尾を気づかせるためなのだろうか、と勘ぐってしまいたくなる。

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