ワイドレンジ考(その11)
くり返しになるが、ワイドレンジになればなるほど、
ナロウレンジでは顕在化しなかった問題が出てくる。
贅をつくすことではなく、だから注意深く意を尽くすことが求められる。
しかもステレオだということを忘れてはいけない。
モノーラルのワイドレンジ化はステレオのそれとくらべれば、それほど難しくはないと言えよう。
もちろんモノーラルでもワイドレンジ化にともない、いくつかの問題が顕在化するが、
ステレオほどではない。
そしてモノーラルを2つ用意して鳴らすのがステレオではないということだ。
例えばモノーラルパワーアンプの電源の取り方ひとつでも、ステレオの場合、
多重ループの問題を考慮すると、左右チャンネル(2台)とも、
同一コンセントから電源をとるべきである。
右チャンネルのパワーアンプはこっちのコンセント、
左チャンネルの分はあっちのコンセント、とわざわざ分ける人がいる。
分けると、一瞬、分離がよくなったように聴こえるだろう。
分離の良さというか、分離が良くなったように感じられることと、
音場感の再現性が向上することは区別してほしい。
音場感に注意して聴けば、AC電源の多重ループについて知らなくても、
モノーラルパワーアンプは同一コンセントに挿すことになる。
コンデンサースピーカーの場合も同じだ。
必ず同一コンセントから電源をとるべきである。