Archive for 5月, 2020

Date: 5月 2nd, 2020
Cate: フルレンジユニット

シングルボイスコイル型フルレンジユニットのいまにおける魅力(次なるステップは・その5)

フルレンジ型ユニットからスタートして、次のステップとして、
トゥイーターを選択するのか、ウーファーを選択するのか。

既製品のスピーカーにしか関心のない人にとってはどうでもいいことだろう。
けれど10代のころ、JBLの4343が憧れのスピーカーだったし、
4343は4ウェイのスピーカーシステムだった。

そして同じころ、ステレオサウンドからマルチアンプの別冊が登場した。
巻頭は瀬川先生が担当されていた。

そこにフルレンジからスタートして、
最終的に4ウェイにまでステップアップしていく内容があった。

いつかは4343と……、そう思い続けていた私にとって、
フルレンジから4ウェイまでの過程は、いくつかの意味でひじょうに興味深いものだった。

瀬川先生のプランは、フルレンジからスタートし、次のステップとしてはトゥイーターの追加だった。
いまでこそ、こういうことを書いているが、当時はフルレンジ、
次はトゥイーターをつけての2ウェイ、それからウーファーを足して3ウェイ、
最後にミッドハイで、最終的に4ウェイを目指す──、だった。

経済的なことを考慮すると、
フルレンジからの次のステップはトゥイーターが、助かる。

フルレンジ一発のスタートは、ユニットの価格にしても、
エンクロージュアの大きさ、自作の大変さも、
ウーファーよりもずっと負担は少ない。

トゥイーターに関しては、エンクロージュアのことは当面考えずにすむ。
ウーファーはそうはいかない。

本格的な低音を目指して、となると、ユニット、エンクロージュアにかかる予算は、
学生にはかなりの負担ともいえる。

その意味ではトゥイーターというのは理解できる。
それでも、ここまでオーディオをやってくると、考えも変ってくる。

Date: 5月 1st, 2020
Cate: 「オーディオ」考

オーディオにおける「かっこいい」とは(その3)

オーディオの普及のためには、
オーディオを何も知らない人がみて、かっこいい、と思われないとダメだ──、
そんなことをSNSで見かけたことがある。

基本的には、というか、簡単に言葉にしてしまえば、私も同じ考えだ。
でも、SNSでそんなことを発言していた人のオーディオは、
私は少しもかっこいいとは思えなかった。

薄っぺらだな、と感じただけだった。
専用のリスニングルームに、高価な器材が並べてある。

そんな発言をしている人のリスニングルームだけにかぎったことではない。
同じように感じてしまう写真が、インターネットにけっこうあふれてたりする。

確かにこれだけの器材を買うだけでも、それだけの情熱は必要になる。
そんなことはわかったうえで、薄っぺらだ、と感じてしまうのは、
オーディオの楽しさが、少なくとも写真から伝わってこないからだ。

スイングジャーナルでずっと以前に載った瀬川先生のリスニングルームの写真を見て、
カッコイイと思った人は、
あの写真から、オーディオの楽しさを感じとっていたからではないのか。

岩崎先生の部屋に憧れる、といった人も同じだったのではないか。

Date: 5月 1st, 2020
Cate: オーディオ評論

オーディオ雑誌考(その9)

長岡鉄男氏のファンは多かった、といっていいだろう。
こんなふうに書くのは、私の周りに、長岡鉄男氏のファンがいなかったからだ。

ステレオサウンドを辞めて十年ぐらい経ったぐらいのときに知りあった人が、
10代からハタチにかけてのころは長岡ファンでした、といっていたくらいである。

長岡鉄男氏のファンのことはよく知らないわけだが、
長岡鉄男氏の文章が載っていれば、そのオーディオ雑誌を買うのだろう。

私が中学、高校のころはFM誌全盛時代だった。
週刊FM、FMfan、FMレコパルがあった。

同級生にオーディオマニアはいなくても、FM誌を読んでいる者は何人かいた。
彼らはオーディオマニアではないから、長岡鉄男氏への関心もなかったはずだが、
彼らはどういう基準で、FM誌を選んでいたのだろうか。

オーディオマニアであれば、長岡鉄男氏の連載がある、ということが理由だっただろう。

私はFMfanがメインだった。
理由は単純だ。瀬川先生の連載が載っていたからだ。
週刊FMにも、1981年ごろか、巻頭のカラー見開きで瀬川先生の連載が始まった。
この時は週刊FMも買っていた。

私の知る限りでは、FMレコパルには書かれなかったはずだ。
その7)に書いたように、サウンドボーイにも一切書かれなかった。

そのころの私にとって、No.1のオーディオ雑誌はどれかという意識はあまりなかった。
とにかく瀬川先生の書かれたものを読みたかった。