Archive for 3月, 2020

Date: 3月 1st, 2020
Cate: アナログディスク再生

トーンアームに関するいくつかのこと(その3)

ホルボのHolboというアナログプレーヤーがある。

昨年登場し、ステレオサウンドでも取り上げられているし、
ステレオサウンドのウェブサイトでも、確か二回記事が載っている。

最近発売されたということで、ここで取り上げているが、
リニアトラッキングアームの片持ちという問題点は、
なにもこのHolboだけでなく、ほかの多くの同種のトーンアームについてもいえることである。

なので、輸入元ブライトーンのHolboのページにある写真を見てほしい。
とにかく写真だけでいいから見てもらえれば、どこが片持ちなのか、
誰にでもすぐにわかることだ。

ベアリングシャフトと呼ばれているシルバーの太いパイプがある。
ここが片持になっている。

このパイプは、水平移動するトーンアームにとって、いわばレールにあたる。
ここをなぜ片持ちのままにしておくのか、
片持ちのままでも問題がない、とでもメーカーは思っているのか、
さらにいえば輸入元も、これで十分と思っているのか、
この種のトーンアームを含むプレーヤーシステムを評価しているオーディオ評論家は、
オーディオ評論家(職能家)といえるのだろうか、
そんなことを見るたびに思ってしまう。

こんな疑問を投げ掛ければ、
メーカーも輸入元も、さらにはオーディオ評論家と呼ばれている人たちも、
パイプの径が十分に太くて、材質も吟味されているから、
必要な剛性は確保できている──、と答えるであろう。

ほんとうにそうおもって、そう答えるのであれば、
もうなにをかいわんや、としかいいようがない。

Date: 3月 1st, 2020
Cate: ディスク/ブック

ベートーヴェン ピアノ協奏曲全集(その4)

聴くのが少し怖い、というディスクは、
誰かのところで聴くのがそうだということではなく、
自分のシステムで鳴らすのが怖い、という意味である。

人によって、それは違ってくるだろうが、私にとっては、
聴くのが怖いディスク・イコール・自分のシステムで鳴らすのが怖いディスクである。

といっても、そんなに怖いディスクが何枚もあるわけではない。
かなり少ない。

その少ない一枚が、
児玉麻里(ピアノ)、ケント・ナガノ/ベルリン・ドイツ交響楽団による
ベートーヴェンのピアノ協奏曲第一番である。

その理由は、菅野先生のリスニングルームで聴いているからである。
その時の音が、十年以上経っても、鮮明に残っている。

残っているのは、その時の経験そのものであり、感動である。
「まさしくベートーヴェンなんだよ」、
菅野先生のことばは、まさしくそうだった。

すでに書いているように、同じCDが発売になったので買った。
もちろん菅野先生の音と私の音とでは大きく違うのだから、
同じようにはならないのはわかっている。

それが怖かったわけではない。
怖かったのは、今回のSACDでのベートーヴェンのピアノ協奏曲全集である。

昨年12月に発売になった。
ほぼ同時に手に入れながら、つい先日まで封も切らなかった。

菅野先生のところで聴いたのは通常のCDである。
その時はSACDはなかった。

今回はSACDである。
SACDで鳴らすことが怖かった。