ゴジラとオーディオ(その5)
コンピューターグラフィックス(CG)というものを知ったのは、
映画「トロン」だった。1982年のことである。
それ以前の映画にも使われていたのかもしれないが、
意識したことはなかった。
とにかく「トロン」で、CGという技術の存在に気づいた。
その次は「アビス」(1989年)だ。
ここで、水が人の顔になったりするシーンで、驚いた。
「ターミネーター2」(1991年)を観て、
「アビス」と同じ監督、ジェームズ・キャメロンだということに気づく。
さらに「ジュラシック・パーク」(1993年)で、
CGの進歩を強く感じた。
数年ごとにはっきりと進歩していくCGの成果を映画を観て実感できるとともに、
いつのころからか「不気味の谷」という表現が、登場したはじめるようになってきた。
不気味の谷について説明する必要はないだろう。
上に挙げた映画では、CGがつくり出したどれも現実に目にすることのないものばかりである。
恐竜は確かにはるか古代に存在していたけれど、
われわれが目にできるのは化石でしかない。
生きている恐竜は、誰も見ていない。
「ゴジラ キング・オブ・モンスターズ」に登場する怪獣も、
想像上の生物であり、そこに不気味の谷は感じない、
もしくは感じとりにくいのだろう。
違和感はなかった。
ただそれでも、人はなぜ不気味の谷を感じとるのかは考えてしまう。
はっきりとした結論ではない、
なんとなくの結論でしかないが、
不気味の谷をこえてしまうということは、
なにかの秩序が毀れてしまうからではないのか。
そんなことが考えとして浮ぶ。