Archive for 6月, 2009

Date: 6月 3rd, 2009
Cate: 黒田恭一

黒田恭一氏のこと

1988年5月、黒田先生のお宅に伺ったときのことだ。

「オーディオは趣味ではない。ぼくは命を賭けている」と、
力強い口調で、真剣な顔つきで、そう明言された。

心強かった、なんだか、無性に嬉しかった……。

「黒田恭一」の名前を知ったのは、
1976年暮に出たステレオサウンド別冊「コンポーネントステレオの世界 ’77」の巻頭に載っていた
風見鶏の示す道を」を読んだときだ。
ちょうどオーディオに興味をもちはじめて、そう間もないときのことで、強い衝撃でもあった。

音楽を聴く、ということ、それもレコードによってオーディオを通して聴くということは、どういうことなのか。
その難しさと面白さが伝わってきたように感じていた。

正直、まだ13歳、しかも音楽の聴き手としてもまだ初心者、オーディオのことも知識も経験も少なすぎた私には、
書かれていることをすべてを、真意を理解できなかった。
読んでいて難しい、と思った。ちょうど冬休みだったこともあり、何度も何度も読み返した。
読み返すたびに、すごいと思い、この人の書くものは、すべて読みたい、とまで思っていた。

音楽の聴き手として大切なものが、はっきりと書かれていたわけではないが、
「風見鶏の示す道を」には、ある。

それを感じとっていたから、13歳の私は、「難しい」と感じていたのかもしれない。

とにかく、黒田先生の文章に、早い時期に出会っていてよかった、とはっきりと言える。
出会えてなかったら、音楽の聴き手として心がまえを持ち得なかったかもしれない。
ずいぶん違う音楽への接し方をしていただろう。

黒田先生の、新しい文章を読むことは、もう、できなくなってしまった……。

Date: 6月 2nd, 2009
Cate: 岩崎千明

岩崎千明氏のこと(その14)

ステレオサウンド 39号のカートリッジの試聴に、
井上先生はダイレクトカッティング盤を中心に選ばれている。
岡先生は、とうぜんのことながら、クラシックのみで、ポリーニによるシェーベルクのピアノ作品集、
アルゲリッチのショパン、カラヤンの「オテロ」、
ブレンデルとハイティンクによるブラームスのピアノ協奏曲など7枚。
その他にいくつかのカートリッジでは、さらに別なレコードも使われている。

井上先生も岡先生も、1976年当時の、比較的新しいレコードを中心に使われているが、
岩崎先生は違う。

まずジャズ、ロックを中心で、しかもジャズは、新しいものとステレオ初期とモノーラルの50年代初期もの、
さらに40年代以前の古いものと、録音年代で4種類を試聴レコードとして選ばれている。

レコードについて、次のように語られている。
     ※
最新録音盤は、周波数特性とかスペクトラム的な判断に価値があったとしても、ステレオ感となるとかえって作為的で,良さの判断にはつながらず、苦労の種でしかない。ステレオ初期のレコードはこの点正直だ。50年代のジャズレコードのもつ特色は、そのまま「ジャズサウンドは、いかにあるべきか」を端的に示して、再生音楽におけるジャズ的視点を定めるのに好適といえる。古い録音のナローバンドのSN比の悪いSPリカット盤は、音楽以外の雑音や歪がどれだけ抑えられ、音楽を楽しむのに邪魔されずにすむか、を確かめるのに役立つ。現代的な意味で音の良いカートリッジが必ずしも雑音を抑えてくれるとは限らず歪も目立つ。
     ※
試聴レコードは以下のとおり。
●「ワン・フォー・ザ・デューク」
 エリントン/レイ・ブラウン
 パブロ(英国盤)
●「ヴィレッジヴァンガードのソニー・ロリンズ」
 ブルーノート(アメリカ盤)
●「イン・コンサート」
 クリフォード・ブラウン/マックス・ローチ
 マーキュリー(アメリカ盤)
●「ソロ・フライト」
 チャーリー・クリスチャン
 アメリカ・コロムビア盤
●「ブルー&グレー」
 ローリング・ストーンズ

Date: 6月 1st, 2009
Cate: 組合せ

妄想組合せの楽しみ(その13)

正直にいえば、使いこなしも「組合せ」の範囲に含まれると考えている。
与えられた機器を与えられた環境で、自身のもつ経験則、手法を、どう組み合わせていくのか。
経験則も、いくつもの経験の積み重ねが組み合わさって生れてくるものだろう。

つまるところ、そういうことではないかと思う。
ある種の組合せに感じるのは、ただ点・線・面を並べて、うまいこと形になったら、それでお終い、という安易さだ。

オーディオにおける「組合せ」とは、そういうものではなく、もっと有機的なもののように、
やや漠然ながらではあるが、そう感じている。

Date: 6月 1st, 2009
Cate: the Reviewの入力

the Review (in the past)

本日、”the Review (in the past)” というブログを公開しました。

ブログ形式で公開していますが、暫定的なもので、途中でブログから他の形式に変更するかもしれません。
アクセスしていただければ、すぐわかるように、
audio sharingでの公開の許諾をいただいている筆者の方々の、製品紹介、テストリポートの文章を、
各ブランド、各機種ごとにまとめています。

型番の表記ですが、本文中は、基本的に全角文字のままにしてあります。
元の文章が全角文字で書かれているのはそのままにしていますので、検索にはご注意ください。
タイトル中の型番は、すべて半角文字で表記しています。