Archive for category 調整

Date: 5月 26th, 2013
Cate: 調整

オーディオ機器の調整のこと(その3)

マランツの管球式パワーアンプには、出力管のバイアス調整用の半固定抵抗があり、
そのためのメーターもつけられている。
Model 2では出力管のバイアスだけでなく、ACバランス、DCバランスの調整用にメーターの切替スイッチがあり、
メーターのまわりに三つの半固定抵抗用のシャフトが配置されている。
スイッチを切り替え、メーターの針の振れを見ながら、
マイナスドライバーで半固定抵抗をまわしていく。

この設計方針を親切という人もいれば、
なまじメーターで簡単にバイアス、ACバランス、DCバランスが確認できるだけに、
神経質になってしまい、常に調整したくなる……。
だから、ないほうが精神衛生上はいい、とおもう人もいる。

マッキントッシュの管球式パワーアンプは、というと、
別格的存在のMC3500の除けば、MC30、MC60、MC225、MC240、MC275のどれにもメーターはついていない。
MC30とMC60はハムバランサーがついているが、それ以降のモデルはハムバランサーも省かれている。

出力管のバイアス調整もACバランス、DCバランスの調整機構もない。
マランツの管球式パワーアンプ同様、固定バイアスのプッシュプルという回路構成にも関わらず、
マッキントッシュのアンプ(MC3500を除く)には、ユーザーに調整させることを要求していない。

これはマッキントッシュ独自のユニティカップルド回路ということも関係しているが、
それだけではなく、マッキントッシュとマランツというふたつの会社の、
アンプという製品にたいする考え方の違いによるものが大きいといえよう。

だからといって、いわゆる「調整」が、
マッキントッシュの管球式パワーアンプではまったくいらないといえるわけではない。

Date: 5月 26th, 2013
Cate: 調整

オーディオ機器の調整のこと(その2)

SMEのトーンアームをつかっている人すべてが、ラテラルバランスをしっかりとっているとは限らない。
ラテラルバランスなんて、プレーヤー自体の水平がとれていれば音には関係ない、という人がいる、
SMEのトーンアームはラテラルバランスをしっかりとらなければならない、という人もいる。

どちらが正しいことをいっているのだろうか、と思う人もいることだろう。

私は、SMEのトーンアーム(ナイフエッジのモノ)はラテラルバランスをとる必要がある、とする。

ラテラルバランスの調整の必要性に疑問を持っている人は、
あえてラテラルバランスを大きく崩した状態にして、その音を聴いてみればいい。

あまり音が変らない、ほとんど変らない、まったくといっていいほど音は変らない、
というのであれば、それはラテラルバランスの調整が不必要ということではなく、
その人にとって、ラテラルバランスの調整以前に調整しなければならないことがいくつもある、
ということである。

つまりほかの部分の調整不備、システム全体がうまく鳴っていないため、
ラテラルバランスによる音の差がはっきりと音として現れていないということである。
まず、このことを自覚すべきである。

Date: 5月 25th, 2013
Cate: 調整

オーディオ機器の調整のこと(その1)

オーディオ機器の中には、使い手に調整することを求めるモノがある。
たとえば真空管アンプで出力管のバイアス調整、それからトーンアームの調整などがある。

トーンアームのゼロバランスをまずとって、それから針圧を印加する。
ここまでは音を聴くためにどうしても必要なことであるから、誰しもがやること。

けれど、真空管アンプのバイアス調整は、メーカー出荷時に合せてあるというものの、
使っているうちにずれてくることもあるし、出力管が切れて新品と交換したならば調整する必要がある。
出力管の本数が多ければそれだけ手間となるし、
アンプの設計次第ではうまくバイアスを合せることが難しい場合もある。

オーディオマニアとしては、精神衛生上的にもできるだけぴたっとバイアス電流の値を合せておきたい。
少しでもずれていると、人にもよるけれど、一度気になると捕われてしまうことにもなる。

些細なことといえば些細なことでもある。
それがいったい音にどれだけ影響しているのか、を冷静に考えれば、吹っ切れそうな気もしなくはない……。

トーンアームの例でいえば、これと似たことにSMEのラテラルバランスがある。
Series V登場以降、SMEのトーンアームすべてがナイフエッジというわけではなくなったが、
SMEのトーンアームといえばナイフエッジであり、このナイフエッジゆえにラテラルバランスをとる必要がある。