Archive for category James Bongiorno

Date: 7月 29th, 2014
Cate: James Bongiorno

Ampzilla(その1)

Ampzilla(アンプジラ)。
アンプ(Amplifier)のゴジラ(Godzilla)で、アンプジラ。

いうまでもなくジェームズ・ボンジョルノの代表作である。
会社の名前はGAS(Great American Sound)。
人を喰ったようなネーミングである。

パワーアンプはアンプジラの下にアンプジラの息子ということで、Son of Ampzilla、
その下にアンプジラの孫にあたるということで、Grandson。

一方コントロールアンプのネーミングは、
アンプジラとペアとなるのがThaedra(テァドラ)、その下にThoebe(セーベ)とThalia(サリア)がある。
MC型カートリッジのヘッドアンプは、Goliath(ゴライアス)。
ゴライアスにフォノイコライザーアンプを搭載したのがGoliath II。

Thaliaはギリシア神話から、Goliathは旧約聖書から名づけられている。
Thaedra、Thoebeに関してはいまのところ不明。

ギリシア神話、旧約聖書から名前を持ってきているのに対して、
パワーアンプはAmpzillaである。
実はここが不思議だった。
会社名も不思議といえば不思議だった。

Date: 2月 23rd, 2013
Cate: James Bongiorno

ボンジョルノとレヴィンソン(その2)

ステレオサウンドを読み始めたばかりのころ、
つまりまだGASのアンプもマークレビンソンのアンプも、実際に音を聴く前のころ、
ステレオサウンドの記事をくり返し読みながら、その音を想像していたわけだが、
ボンジョルノのGASのアンプは、いわゆる男性的、
レヴィンソンのマークレビンソンのアンプは、反対に女性的なところを、
その音の性格にもっている──、そんなふうに受けとめてもいた。

そしてスピーカーのブランドにたとえるなら、
GASはアルテック、マークレビンソンはJBL、
そうたとえることができそうな感じも受けていた。

1977年にステレオサウンド別冊として「世界のオーディオ」のALTEC号が出た。
その巻頭に、山中先生が「アルテック論 特徴あるアルテック・サウンドと、その背景への考察」を書かれていて、
その中に、こうある。
     *
一つの興味深い例として、アルテックの非常によく似た構造のプレッシャー・ユニットを使うJBLのスピーカーシステムと比べた場合、JBLがどちらかといえばシャープで切れ込み本位の、また言葉をかえれば、各ユニットを強力に束縛して自由を抑えた設計をとっているのに対し、アルテックは同じようなユニットを自由に余裕をもって働かせている印象が強い。
これが実は、アルテック・サウンドを分析する場合の重要なファクターで、独特のあたたかみ、そして一種の開放感を生むもととなっている。
     *
ここに出てくるアルテックをGASに、JBLをマークレビンソンにおきかえてみる。
この、山中先生の文章を読んだことも、
私のなかでのGAS≒アルテック、マークレビンソン≒JBLへとつながっていく。

Date: 2月 21st, 2013
Cate: James Bongiorno

ボンジョルノとレヴィンソン(その1)

私がステレオサウンドを読み始めたとき、
すでにジェームズ・ボンジョルノとマーク・レヴィンソンは、アンプに関して才能ある人として知られていた。
このころまではレヴィンソンもアンプ・エンジニアとして日本には紹介されていた。

他にも才能あるアンプ・エンジニアは何人もいた。
でも知名度の高さでは、このふたりが飛び抜けていたように、当時の私は感じていたし、
いま振り返ってみても、
ボンジョルノとレヴィンソン、このふたりのネームヴァリューに匹敵する人となるとジョン・カールくらいである。
とはいうものの、やはりボンジョルノとレヴィンソンはダントツだった。

ボンジョルノとレヴィンソンについて書いていこうと思っているわけだが、
レヴィンソンはアンプ・エンジニアではなかったことは、のちのちはっきりした。
それでも1970年代、マーク・レヴィンソンの存在は大きかった。

オーディオ界においてもそうだったし、私にとっても大きな存在だった。
そして私にとって、その大きな存在であるマークレビンソンのアンプといえば、
JC2、LNP2、ML2であり、これらのアンプのエンジニアはジョン・カールであり、
だからといってジョン・カールひとりでは、これらのアンプが、ここまで魅力的にはならなかったとも考えている。

音質的、性能的には同レベルのアンプをジョン・カールひとりでつくれても、
そのアンプがJC2、LNP2、ML2のようなアンプに仕上ったとは、私には思えない。

だからJC2、LNP2、ML2はジョン・カールとマーク・レヴィンソンとの協同作と受けとめている。
そして私にとって、いまも心惹かれるマークレビンソン・ブランドのアンプは、
この時代のアンプであるから、
「ボンジョルノとレヴィンソン」とはしているものの、
正確には「ボンジョルノとレヴィンソン(+ジョン・カール)」ということになる。

Date: 2月 18th, 2013
Cate: James Bongiorno, 訃報

James Bongiorno (1943 – 2013)

いましがたfacebookを見ていたら、ジェームズ・ボンジョルノ逝去、とあった。

人はいつか死ぬ。
ボンジョルノは一時期肝臓をひどくやられていたときいている。
しかもキャリアのながい人だから、いつの生れなのかは知らなかったけれど、
けっこうな歳なんだろうな、とは漠然と思っていた。

そういう人であったボンジョルノが、亡くなった。
人は死ぬ、ということは絶対なのだから、それが突然のことであっても、あまり驚くことはない。
そんな私でも、ボンジョルノの死は、ショックに近い。

ぽっかり穴が、またひとつあいたような感じを受けている。

私がステレオサウンドにいた時期、
ボンジョルノはリタイア状態だった。
だから会える機会はなかった。
もっとも会いたい人だった……。