電源に関する疑問(その4)
マーク・レヴィンソンは、チェロを興してからは、電源に対する考え方が大きく変化したように感じられる。
チョーク・インプット方式の採用もそうだが、定電圧電源に関しても、そうである。
ML2Lは、出力段まで定電圧化された電源を採用しているのが特徴だった。
パワーアンプで、出力段の電源まで定電圧化していたのは、それまではテクニクスのSE10000の存在しかなく、
純Aクラスのパワーアンプで、すべて定電圧化するということは、
ここに使われる制御用トランジスターの発熱の分が増すために、非安定化電源のパワーアンプよりも、
放熱に関してはやっかいなこととなり、アンプの規模は必然的に大きくなっていく。
ML2Lの6つあるヒートシンクのうち2つは定電圧電源用である。
もしチェロのパフォーマンスが、出力段まで定電圧電源を採用していたとしたら、
スペースにたっぷりの余裕がある電源部のシャーシー内部は、ヒートシンクで占拠され、
さらに強制空冷用のファンが、アンプ本体部だけでなく、こちらにも取り付けられていたはずだ。
レヴィンソンの、というよりも、チーフ・エンジニアであったコランジェロの考え方の変化によることでもあろうが、
チェロのアンプには、ほぼ全面的にチョーク・インプットが採用されていく。