妄想組合せの楽しみ(その7)
別項でマークレビンソンのアンプについて書いているうちに、
ふとシーメンスのスピーカーと、LNP2LとML2Lを組み合わせたら、どんなに音になるんだろう、と思った。
シーメンスのスピーカーは、オイロダインもコアキシャルも、硬質に磨き上げられた音。
周波数レンジこそ広くはないが、帯域内の密度は高く浸透力がある。
聴いていると、音楽がはっきりと記憶に残る。
シーメンスのスピーカーを聴く機会があったら、聴き終った後に、ぜひふり返ってほしい。
はじめて聴いた音楽がもしあれば、他のスピーカーで聴くよりも、つよく記憶に残っていることに気づかれるはずだ。
聴いている時は「なんだかいい音だなぁ」と思っていても、いざ聴き終ってみると、
さきほどまで聴いていた音楽のことが、ほとんど心に残っていない。
そんな音が、最近増えてきてないだろうか。
どういう聴き方をしようと、どういう音を好もうと、それは個人個人の自由だ。
それでも、あえて言いたい。
折角聴くのであれば、やはり心に音楽が刻まれる音で聴きたいではないか。
それがオーディオの醍醐味であり、大袈裟な、と受けとられるだろうが、真髄のような気もする。
マークレビンソンで鳴らすシーメンスの音は、ある種強烈な音だろう。
最初は、聴くに耐えない音になるかもしれない。
それでも神経細やかに調整を施せば、絶対にピントが合うと確信している。
オイロダインとはいわない、コアキシャル1本で十分だ。
和室で正座して聴く。できうることなら茶室で聴きたい。
音楽と真剣に向かう合うことがどういうことなのかを想い起こさせてくれるはずだ。