色づけ(colorationとcolorization・その8)
マスターテープの音そのままの再生(再現)ということであれば、
音量も聴き手が勝手に調整してはいけない、ということで、本来あるはずだ。
なのにマスターテープの音そのままの再生(再現)を目指している、
大きな目標としていると広言している人も、音量は調整している。
自分の、その行動をおかしいと思わない人が、
マスターテープの音そのままの再生(再現)を謳う。
ここで難しいのは、音量の一致である。
マイクロフォンが拾った音の音圧そのままをスピーカーから再生すればいいのか。
けれど、その音圧にしても、スピーカーの正面からどの程度の距離での音圧なのか。
録音時に楽器とマイクロフォンの距離が1mあったとしよう。
ならばスピーカーの正面から1mの距離のところでの音圧が、
マイクロフォンが拾った音圧とイコールになればいいのか。
それとも録音している最中の、
その録音スタジオにおけるモニタースピーカーと同じ音量に設定すればいいのか。
たとえば生演奏(生音)とのすり替え実験では、
同じ空間での録音と再生であるだけに、音量の設定に難しいことを言う必要はない。
けれど録音と再生の場が一致しない場合は、そうはいかない。