Date: 7月 10th, 2020
Cate: 価値・付加価値
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オーディオ機器の付加価値(その10)

私がステレオサウンドにいたころは、
はっきりと賞の効果というのが、売上げに関係している、ときいていた。

ステート・オブ・ジ・アート賞、名称が変ってコンポーネンツ・オブ・ザ・イヤー賞、
これらの賞に選ばれたオーディオ機器は売れる、ということは、
そのころは確かに賞の影響力があった時代だ。

私だって、高校生のころはそうだった。
高校生ではステート・オブ・ジ・アート賞に選ばれたーディオ機器を、
そう次々と購入できるわけではなかった。

なのでベストバイに選ばれている、ということ。
私にとっては、瀬川先生がベストバイに選んでいるオーディオ機器というのは、
ステート・オブ・ジ・アート賞とほぼ同じくらいだった。

あのころは純真だった……、というつもりはまったくない。
「オーディオ機器の付加価値」というタイトルの、この項で書いているくらいである。

AU-D907 Limitedを手にした時は、
限定品であること、ステート・オブ・ジ・アート賞に選ばれたこと、
これらのことを付加価値とはまったく考えなかった。

むしろ価値そのものだ、と受け止めていたところもある。
変れば変るものだ、と自分でも思う。

私も、高校生のころ、40年前とは変ってきている。
オーディオ雑誌の賞のありかたも変ってきた。

1980年代前半までのころのような賞が放っていた輝きは、
すでになくなった、と私は感じている。

どのオーディオ雑誌も年末に賞を発表する。
あきらかに冬のボーナスをターゲットにした企画といえる。

もちろん編集者はそんなことはいわない。
一年をふりかえっての──、というはずだ。

意外に思われるかたもいるだろうが、
コンポーネンツ・オブ・ザ・イヤーは、一時期6月発売の号の特集だった時期もある。
ステート・オブ・ジ・アート賞のころは冬号だったのに、である。
そのころは、冬のボーナスよりも夏のボーナスのほうが消費をもりあげていた。

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