MQAのこと、MQA-CDのこと(その4)
昨晩のaudio wednesdayは、野上眞宏さんによるDJ一夜だった
MQAで始まり、MQAで終った。
始まりの曲は、カラヤンによるボエーム。
終りの曲は、ジャクリーヌ・デュ=プレのエルガーのチェロ協奏曲だった。
ジャクリーヌ・デュ=プレのエルガーは、いわば愛聴盤である。
愛聴盤といっても、ほかの愛聴盤とは、どうしても思い入れが違うところがある。
だから、愛聴盤と誰かにいうのに、すなおにそういえないところを感じてしまう。
これまでジャクリーヌ・デュ=プレのエルガーを、
喫茶茶会記で鳴らそうとおもったことはなかった。
理由は、うまく鳴ってくれそうにないからである。
アルテックのスピーカー(音色)で、
ジャクリーヌ・デュ=プレのチマロがうまく鳴ってくれるとは思っていない、
そういうところが私にはある。
そうであれば、うまく鳴るようにしろ、といわれそうだが、
ジャクリーヌ・デュ=プレのエルガーは、そんなふうには鳴らしたくないだけである。
昨晩の野上さんの選曲だった。
MQA-CDをリッピングしての再生だった。
D/Aコンバーターはメリディアンの218である。
前回からさらにちょっと手を加えている218である。
うまく鳴りそうになければ聴かないという選択肢もあった。
けれど、うまく鳴ってくれそうな予感はあったし、そのとおりだった。
二楽章で終えずに、三楽章も聴いて、四楽章、最後まで聴いた。
(その3)で、中野英男氏の「音楽・オーディオ・人びと」から引用した。
《デュ・プレのチェロの音が荒寥たる乾き切った音だった》とあった。
昨晩の音は、そんな音とはまるで違っていた。
だからこそ最後まで聴いた。