音の聴き方(マンガの読み方・その6)
周辺視野、中心視野、という。
ならば音の聴き方は、周辺聴野、中心聴野か。
マンガの読み方がわからないという人は、
おそらく周辺視野でページ全体を捉えることをしていない(できない)からであろう。
中心視野、つまり部分部分を凝視するような読み方をしていては、
マンガの特性がもつおもしろさ(もっといえば醍醐味)は感じとりにくい。
音の聴き方も、マンガの読み方と基本的には同じだ。
周辺聴野と中心聴野が求められるにも関らず、
比較するということが多いオーディオの世界では、
中心聴野といえる聴き方にとらわれがちになってしまう。
このディスクの、この部分。
そこがどう鳴ってくれるのか。
そして、スピーカーやアンプを交換したとき、
もっとこまかなことではケーブルを交換したとき、
さらにはスピーカーの振りや位置を、ほんのわずかを変えたとき、
それぞれの音の違いを聴き分けようとすると、
中心聴野的聴き方になってしまう。
音は止ってくれない。
つねに変化している。
変化しているものをとらえようとする時、
人はどうしても中心視野、中心聴野となってしまう。
マンガは幸いなことに静止しているからこそ、
周辺視野と中心視野の切り替え、というか、使い分け、
もっといえば両立を、なんとなくマンガを読んできたことで身につけていたのかもしれない。
このことをオーディオマニアとなって、気づいたわけだ。