羽二重(HUBTAE)とオーディオ(その3)
インターナショナルオーディオショウでの例は、つい最近のことだから書いたまでで、
こういうことはこれまでに何度も体験してきている。
ステレオサウンドにいたころ、音の色見本があれば、と考えたことがある。
すぐに思いつくのは、LPなりCDに、解説付きでさまざまな音色の音を録音しておくことである。
だが、このディスクを再生する環境がまたく統一されていない。
パソコンのディスプレイには、色をキャリブレートするためのハードウェアとソフトウェアが用意されている。
音の世界に、こういうものはない。
そういう状況で、音による音の色見本をつくろうとしても、
まったく役に立たないとまではいわないとしても、無理といえる。
いまならばiPodとヘッドフォン(イヤフォン)の組合せで、
ヘッドフォンをある特定機種にすることで、環境が揃えられるとはいえる。
それでも、音の色見本がうまくいくようには思えなかった。
なぜ、そう思えないのか、その理由もはっきりとはしていなかった。
変な話なのだが、音による音の色見本が、直感的とは思えないからであった。
音よりも、音の色見本を直感的に伝えるにはどうしたらいいのか。
これは四六時中考えていたことではないが、長いこと考えつづけてきたことであった。
音よりも直感的と思えるものは、ここにあった──、
国際文化会館での「羽二重」HUBTAE=新素材ブランドの発表会で、直感的にそうおもえた。