plus(その11)
スピーカーのマルチウェイ化はプラスされてきたともいえるし、
分割してきた結果ともいえる。
フルレンジユニット一発では高域が足りないからということでトゥイーターというユニットが生れ、追加される。
最初はそうやって生れてきたマルチウェイだったのだろうが、
いまではマルチウェイが当り前となってしまうと、
トゥイーターはプラスされたものというよりも、帯域を分割して受け持つためのものという認識になっている。
オーディオの進歩の歴史の中では、この分割というプラスが、他にもいくつもある。
アンプもそうだといえる。
電気蓄音器が登場したばかりのとき、
アンプといえば、それはいまでいうパワーアンプであった。
だからこそ、パワーアンプをメインアンプともベーシックアンプともいうわけである。
これに電子回路の進歩によりプリアンプ(コントロールアンプ)が追加された。
そして、いつのころか、コントロールアンプとパワーアンプをひとつにまとめたプリメインアンプ、
このプリメインアンプという名称は日本独特のものだそうで、
海外ではインテグレーテッド(integrated)アンプと呼ぶ。
さらにプリメインアンプとチューナーをまとめたものを、レシーバーと呼んでいるが、
1960年代のオーディオ雑誌をみると、レシーバーではなく総合アンプと呼ばれているのがわかる。
アンプの呼び方が増えていき、プリメインアンプが主流になってくると、
今度は従来からの形態であったコントロールアンプとパワーアンプのことを、
総称としてセパレートアンプと呼ぶようにもなっていく。