Archive for 5月, 2016

Date: 5月 1st, 2016
Cate: High Fidelity, 再生音

ハイ・フィデリティ再考(現象であるならば……)

High Fidelity Reproductionは高忠実度再生であり、
何に対して高忠実度なのかというこで、原音に、というこで原音再生でもある。

ここでの原音の定義は人により違うこともある。
高忠実度再生とは原音に高忠実度であることを目指しているわけだが、
高忠実度再生とは原音の追求なのだろうか、それとも原音を模しているだけなのか。

そんなことを考える。
原音を高忠実度に模す──、
高忠実度再生ではない、とはいえない。

ならば……、と考える。
音楽の理想形ということを。

音楽の理想形を追求しているのか、それとも模しているのか。
音楽の理想形を模すこともまた高忠実度再生といえるのではないのか。

このブログを始めたころに「再生音とは……」を書いた。
そこに「生の音(原音)は存在、再生音は現象」とした。
直感による結論であり、この結論が間違っていなければ、
再生音は現象であり、それは模すことのはずだ。

Date: 5月 1st, 2016
Cate: Jazz Spirit

「これからのジャズ喫茶を考えるシンポジウム」

私が読みはじめたころの無線と実験には、毎号、見開き二ページで、
全国のジャズ喫茶の訪問記事が載っていた。

ここはぜひ行ってみたい、と思った店、
機会があれば……、と思った店、あまりピンとこなかった店……、
そんなふうにして眺めながら読んでいた。

その時代のジャズ喫茶のスピーカーといえば、JBLとアルテックが圧倒的だった(と記憶している)。
パラゴンが当り前のように登場していた。そんな時代だった。

私が育った田舎にはジャズ喫茶はなかった。
あっとしても、中学生、高校生が一人で行けるとは思っていなかった。

東京、大阪といった大都市では、
中学生ひとりでジャズ喫茶に行く、ということは実際にあったかもしれない。

でも田舎にはそんな雰囲気はみじんもなかった。
ふつうの喫茶店でも中学生、高校生がひとり、もしくは友人といっしょに、ということはなかった。

そういう環境で育ったものだから、東京に出て来たからといって、
すぐにジャズ喫茶に行けなかった。
行きたい気持はあったけれど、どこかしり込みする気持があり、強かった。
それに学生で余裕があったわけでもなく、それを言い訳のひとつにしていたところもある。

そうこうしているうちに、ジャズ喫茶全盛時代は静かに終りに向っていた(と感じた)。
昭和から平成にうつり、ジャズ喫茶は昭和の遺物的な空気をまとっていたようにも感じたのかもしれない。

きちんと数えたわけではないが、東京においてジャズ喫茶は少なくなっていった。
でも、その空気が十年ほど前から静かに変って来つつあるようにも感じている。

ぽつぽつとジャズ喫茶が開店している。
あの当時のように繁盛ぶりはないようだが、継続している。

昭和が終り平成が始まり、
20世紀が終り21世紀が始まり、
ジャズ喫茶のありかたも、それぞれの店主が模索しながら変化しているはずだ。

私が毎月第一水曜日にaudio sharing例会を行っている喫茶茶会記は、
私の中ではジャズ喫茶という認識である。

喫茶茶会記の常連でも、ジャズ喫茶と認識している人はそう多くはないのかもしれない。
それでも、私はジャズ喫茶と認識しているから、
必ず「四谷三丁目のジャズ喫茶、喫茶茶会記」と書くようにしている。

喫茶茶会記の店主は福地さん、という。
私よりひとまわり若い世代だ。

その彼が、7月30日に四谷のいーぐるで「これからのジャズ喫茶を考えるシンポジウム」を行う。

老舗のジャズ喫茶で、若い世代のジャズ喫茶の店主が「これからのジャズ喫茶」について語る。

Date: 5月 1st, 2016
Cate: マッスルオーディオ

muscle audio Boot Camp(余談・その2)

JBL・4311のネットワークを並列型から直列型に変えるとしたら……。
スピーカーの教科書に載っているとおりにやる方法がまずある。

もうひとつウーファーだけを別に考える手もある。
4311のウーファーはネットワーク・スルーなのだから、
ネットワークを介しているスコーカーとトゥイーターを直列型にして、
ウーファーは、上ふたつのユニットと並列に接続する、というものだ。

どちらがいい結果を得られるかは、やってみないことにはわからないが、
スピーカーシステムのネットワークを考えていくのであれば、
並列型、直列型の優劣を決めてかかってしまうのではなく、
ふたつの方式を、うまく融合できるのであれば、そういう手もある、ということだ。

4ウェイのスピーカーシステムがあるとする。
このシステムのネットワークを、すべて直列型にしてしまう手もあるが、
直感的に思うのは、直列型の良さは2ウェイのときほど発揮されないような気もする。

もちろん試していないのだから、4ウェイ直列型ネットワークもいい結果を生む可能性はある。
それでも4ウェイのような大がかりなシステムとなると、
システムそのもののまとめ方も柔軟に対処していくことが求められるのではないだろうか。

例えば4ウェイのスピーカーシステムの代名詞といえば、
やはりJBLの4343である。

4343のネットワークを自分で設計するのであれば、どうしたいのか(試してみたいのか)。
4311のユニットはすべてコーン型だった。
4343は上のふたつの帯域はホーン型、下ふたつはコーン型。
振動板の材質も上ふたつはアルミ、下ふたつは紙。

こういうユニット構成だからこそミッドバスが重要なポイントであり、
コーン型ウーファーとホーン型とのあいだをとりもつ、ともいえる。

だからミッドハイとミッドバス、このふたつのユニットのネットワークを直列型とする。
ウーファーとトゥイーターは並列型ネットワーク。

つまりミッドハイ、ミッドバスをひとつのユニット(スコーカー)とみなして、
そこにウーファーとトゥイーターを並列型ネットワークで加え、レンジを拡大する。
こういうやり方も考えられる。

もうひとつ、ミッドハイとミッドバスの直列型は変えずに、
ウーファーとトゥイーターの関係を変えた上で、加える。

ウーファーとトゥイーターを直列型ネットワークでつなぐ。
ウーファーは300Hz、トゥイーターは9.5kHzをそれぞれのカットオフ周波数とする。
当然中抜けの、変則的な2ウェイである。

この中抜けを直列型ネットワークのミッドハイとミッドバスを受け持つ。
つまりミッドハイとミッドバスの直列型、
ウーファーとトゥイーターの直列型、
このふたつの2ウェイを並列にして接続する、というものだ。