Archive for category 単純(simple)

Date: 1月 7th, 2015
Cate: 単純(simple)

シンプルであるために(ミニマルなシステム・その1)

2014年の新製品、いったいいくつの製品が登場したのか。
気になる(なった)新製品は、人によって違ってくる。

私は、というと、もっとも気になったのは、CHORDのHUGOだった。
HUGOが登場したとき、侮ってみていた。
オープンプライスということもあって、内容もあまり読まずに10数万円くらいかな、とまず思ったし、
実際の価格を知って、そんなにするの……、とも思った。

けれどHUGOについてあれこれ知っていくと、侮れないモノだと、わかってくる。
HUGOの詳細についてここでは書かないが、個人的にもっとも惹かれたのが、スピーカーが鳴らせることだった。

CDプレーヤーが登場した時、池田圭氏がアンプを通さずに、
CDプレーヤーの出力だけで、スピーカーを鳴らすことをやられていた。
CDプレーヤーの出力は2Vrms。
出力インピーダンスが十分に低ければ、8Ω負荷では2Vの自乗(4V)を8Ωで除算した値だから、0.5Wになる。
100dB/W/mほど能率の高いスピーカーであれば、鳴らせないことはない。

とはいえ池田圭氏の記事を読んでも、自分で追試することはしなかった。

HUGOの出力は5Vrms。
ということは8Ω負荷では3.125Wの出力になる。
HUGOの輸入元のタイムロードのインターナショナルオーディオショウのブースでは、
小型スピーカーをHUGOで鳴らしていた。

Date: 11月 25th, 2014
Cate: 単純(simple)

シンプルであるために(その1)

 どういう訳か、近ごろオーディオを少しばかり難しく考えたり言ったりしすぎはしないか。これはむろん私自身への反省を含めた言い方だが、ほんらい、オーディオは難しいものでもしかつめらしいものでもなく、もっと楽しいものの筈である。旨いものを食べれば、それはただ旨くて嬉しくて何とも幸せな気分に浸ることができるのと同じに、いい音楽を聴くことは理屈ぬきで楽しく、ましてそれが良い音で鳴ってくれればなおさら楽しい。
(虚構世界の狩人・「素朴で本ものの良い音質を」より)
     *
瀬川先生がこう書かれていることを、最近思い出すことが多い。
ブログを毎日書いているせいである。
書くために考える。

それは時として本末転倒なことになりかねない……、
そういう気持はいつも持っている。

書くために考えて、袋小路に入り込むことだってあるだろう。
たしかに「オーディオは難しいものでもしかつめらしいものではなく、もっと楽しいものの筈」なのであり、
もっとシンプルに捉えればそれでいいのかもしれない、と思う気持がある一方で、
ほんとうに、オーディオがシンプルなモノであるために、考えて書いているという気持も強い。

シンプルにして、いい音で音楽を聴ければ、それこそが最高ではないか。
こんなことをいう人はいる。少なくない。
でも、これをどんな表情で、その人が発するかで、こちらの受けとめ方は違ってくる。

それにシンプルとは、いったいどういうことなのかとその人に問いたい。

往々にして、この言説には、シンプルとはどういうことなのかが語られていないことが多過ぎる。
と書けば、シンプルとはわかりきっていることだから、説明の必要はないだろう、と返ってくる。

だが、ほんとうにシンプルとは、どういうことなのか、
その人は考え抜いているのだろうか。

Date: 11月 14th, 2008
Cate: 単純(simple), 言葉

単純(シンプル)

芸術とは非大衆的な事柄である。しかも芸術は大衆に向かって語りかける。
不可思議なことは、最も単純なものは最も偉大な人によってのみ表現されるということ、
そして最も複雑なものは街路に転がっているということである。
偉大さとは魂のうちにある。
     *
フルトヴェングラーが1929年に語っている言葉である。

「単純」を、考え方が一面的であると捉えている人が少なくないように思う。
単純(シンプル)と原始的(プリミティヴ)をごっちゃにしていないだろうか。
考え方が一面的なことは、原始的(プリミティヴ)と呼ぶべきだろう。

否定的な意味合いで、単純(シンプル)という言葉を使うのは、
いつ終わりになるのだろうか。

Date: 9月 17th, 2008
Cate: 単純(simple), 言葉

シンプル・イズ・ベストはほんとうか

あいかわらず言われつづけている、シンプル・イズ・ベスト。 
肯定する人、そんなのは単純思考だと否定する人がいる。

単純なものが最善ではなく、
フルトヴェングラーの言葉にあるように「偉大なるものはすべて単純である」こそ、
真理であり、不変と言えよう。 

偉大なるという言葉が少々大仰ならば、
最善なるものは単純である、ベスト・イズ・シンプルでもいい。 

そして大事なのは、ほんとうにシンプル(単純)であるということは、
どういうものかを、見極めることであり、これが難しい。