使いこなしのこと(その12)
正確に記憶しているわけではないが、
1980年代のシーメンスのコアキシャルの広告に、伊藤先生の達筆で、こんなふうなことが書かれていた。
「ひどいアンプで鳴らされる良質のスピーカーほど、惨めなものはない」
まったくそのとおりだと、その時、思ったことを覚えている。
まだまだま経験の少なかった頃だったが、それでもグレードアップを図っていく順序は、
音の入口からだ、と感じていた。
スピーカーが優秀であればあるほど、アンプやプレーヤー、それに使いこなしの不備をあからさまにすることは、
少し考えれば、すぐに理解できることでもある。
音の入口のクォリティはそれほど重要であり、
だから、音の入口にあたるところは、つねに重視してきた。
東京に出て来た時に、実家で使っていた装置はそのまま置いてきた。
そして、東京で、とにかく、これだけは手に入れておかねば、と思い、
相当無理して買ったのは、SMEの3012-R Specialだった。