Archive for 8月, 2009

Date: 8月 3rd, 2009
Cate: 瀬川冬樹, 現代スピーカー

現代スピーカー考(その20)

ステレオサウンド創刊15周年記念の60号の特集は、アメリカン・サウンドだった。
この号の取材の途中で瀬川先生は倒れられ、ふたたび入院された。
この号も手もとにないので、記憶に頼るしかないが、JBLの4345を評して、
「インターナショナルサウンド」という言葉を使われた。

残念なのは、この言葉の定義づけをする時間が瀬川先生には残されていなかったため、
このインターナショナルサウンドが、その後、使われたことはなかった(はずだ)。

インターナショナルサウンドという言葉は、すこし誤解をまねいたようで、
菅野先生も、瀬川先生の意図とは、すこし違うように受けとめられていたようで、
それに対して、病室でのインタビューで、瀬川先生は補足されていた。

「主観的要素がはいらず、物理特性の優秀なスピーカーシステムの、すぐれた音」──、
たしか、こう定義されていたと記憶している。

インターナショナルサウンド・イコール・現代スピーカー、と定義したい。

Date: 8月 3rd, 2009
Cate: the Reviewの入力

the Review (in the past) を入力していて……(その17・補足)

この項の(その17)に、25years_agoさんが、コメントしてくださった。
25years_agoさん、ありがとうございます。

さっそくGoogle Patentsで、検索してみる。
ネルソン・パスの特許を読むことができる。

このなかの、CONSTANT VOLTAGE-CONSTANT CURRENT HIGH FIDELITY AMPLIFIERが、
プロトタイプのステイシス1に採用されたステイシス回路だ。
800Aのバイアス回路の、特許ももちろん公開されている。

ステイシス回路、800Aのバイアス回路については知っていたので、
これらのなかで興味深いのは、ACTIVE LOW FREQUENCY ACOUSTIC RESONANCE SUPPRESSOR である。

ネルソン・パス以外にも、ジョン・カール、ジェームズ・ボンジョルノでも検索してみた。
ジョン・カールの、トランジスターを並列接続使用することでローノイズ化を実現する回路、
ボンジョルノが、The Goldに採用した回路の特許もある。
The Goldに関しては、購入とほぼ同時に回路図も入手していたので、目新しいことはないけれど、
それでも、The Goldの出力段の動作に関しての考察が間違ってなくて、ほっとした。

ただ、この特許は、井上先生からきいた話では、日本の企業に売却しているらしい。

意外だったのは、トム・コランジェロ(正確なフルネームもわかった。Thomas Phillip Michael Colangelo だ)が、
マークレビンソン時代にリボン型スピーカーの、
チェロ時代に、Dクラス・パワーアンプの特許をとっていたこと。

Date: 8月 2nd, 2009
Cate: the Reviewの入力

the Review (in the past) を入力していて……(その22)

クレルも、また、どちらかといえば、パワーアンプを得意としているメーカーだと思うし、
事実、パワーアンプの開発には積極的で、
パワー、規模の異る機種をいつの時代にも用意してシリーズ展開を行なっている。

スレッショルドに比べると、コントロールアンプの、これまで開発された機種数は多いだろうが、
私の個人的印象で、「欲しい」と思ったのは、デビュー作のKSA100とペアになるPAM2だけだった。
もっとも最近のモデルに関しては、聴いていないので、なんともいえないけれど……。

PAM2と、それ以降のコントロールアンプ、たとえばPAM3、PAM5、KRS1、KRS2といった機種のあいだに、
明確な違いがあるのかといえば、むずかしいところだが、
それでもコンストラクションに関しての違いは、はっきりとあると言えよう。

Date: 8月 1st, 2009
Cate: ジャーナリズム, 川崎和男

オーディオにおけるジャーナリズム(その21)

先週発売になったMACPOWERに掲載されている川崎先生の「ラディカリズム 喜怒哀楽」のなかに、
『「予知」と「勘」』という言葉が、ある。

川崎和男の「予知」と「勘」とは、
エリック・ホッファーの「未来を予測する唯一の方法は、未来をつくる力を持つことである」──、
この言葉そのものであり、川崎先生には、その力があるからこそ、と思っている。

「未来をつくる力」こそ、本来、ジャーナリズムの核なのではなかろうか。

エリック・ホッファーは、こうも言っている。
「真の預言者とは未来を見通す人ではなく、現在を読み解き、その本性を明らかにする人である」と。