Date: 3月 14th, 2009
Cate: 井上卓也
Tags:

井上卓也氏のこと(その20)

プログラムソースといえば、LPのことだった1970年代までは、
装置を改良・買い替えなどして、聴こえてくる音が、それ以前よりもぐんと増えたときに、
「同じレコードに、こんなにいろんな音が入っていたのか」
「これほど多彩な音が刻まれていたのか」といった表現がなされていた。

CDが登場し、プログラムソースのデジタル化が進むにつれ、「情報量が増えた」という、
やや即物的で、情緒性を無視したような表現が、いつの間にか定着していた。

情報の量──、
データ量という言葉があるから、
いかにもデジタル時代だからこそ使われるようになってきた言葉のように受けとられている方もいるだろう。
オーディオはコンピューターとは違うぞ、と言いたくなる人もいるだろう。

オーディオの言葉として、誰がいつごろから「情報量」を使いはじめたのか。

古い本をひとつひとつ当たっていけばはっきりすることだが、
私が知る限りでは、井上先生が、かなり早くから使われていた。

まだCDという言葉もなかったころ、アナログディスク全盛時代の1976年、
この年の暮に発売されたステレオサウンド 41号で、井上先生は、すでに使われている。

新製品紹介のページで、山中先生との対談で、ルボックスのパワーアンプA740のところで、
「情報量の伝達は十分なのだけれども感情過多にはならない」というふうに発言されている。

Leave a Reply

 Name

 Mail

 Home

[Name and Mail is required. Mail won't be published.]