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Date: 8月 3rd, 2014
Cate: 名器

名器、その解釈(マッキントッシュ MC75の復刻・その2)

なぜMC275を名器だと捉えるのだろうか。

名器とは、すぐれた器物・楽器。有名な器物・楽器、と辞書には書いてある。
つまりは何も古いモノでなくとも、現代のモノであっても、
すぐれた器物、有名な器物であれば、名器といえるわけだ。

けれどオーディオの世界においては、名器はほとんどの場合、過去の製品につけられる。
現行製品で非常に優れたモノがあったとしても、名器と呼ぶことは少ない。

私自身も、感覚的に名器ということになると、現在の製品に対して使うことはまずない。
ほぼすべて過去の製品に対して、のみである。

現行製品に対して名器を使っている例を、目にしないわけではないし、
使い方としては間違っているとはいえないのだが、どこか異和感がある。

これもおかしなことといえる。
過去の製品、その中でも名器と呼ばれる製品は、
その後のオーディオの発展のきっかけ、もしくは原動力となったモノなのはわかっている。
けれど、やはり過去の製品であることには変わりない。

10年前、20年前、30年前……、もっと古いオーディオ機器の中にも、いまだ名器とされるモノがある。

Date: 7月 30th, 2014
Cate: 名器

名器、その解釈(マッキントッシュ MC75の復刻・その1)

すこし前のニュースだが、マッキントッシュから今度はMC75が復刻される。
C22、MC275の復刻が好評だったからなのだろう、と思われる。

「今度はMC75か」と思いながら、そういえば、なぜ日本では名器といえばMC75ではなく、
ステレオ仕様のMC275なのか。

パワーアンプはモノーラルの方がステレオ仕様よりもいくつかの面で有利である。
MC275よりもMC75が物理特性でも優れているだろうし、
音に関してもMC75の方がおそらく優れている、と思われる。

C22とペアとなるMC275はこれまでにも何度か聴く機会はあったけれど、
MC75はまったくなかった。
なのではっりきしたことはいえないけれど、少なくともMC75がMC275よりも劣る理由は特にない。

いまこういうことを書いている私にしても、MC275とMC75、どちらが欲しい? ときかれたら、
ためらわずMC275、と答える。

それはMC275に対しての思い入れがあるからだ。
そんな感情がいっさいなければ、MC75と答えるはず。

そしてどちらが名器かと問われたら、やはりMC275と即座に答える。

ではMC275への思い入れがいっさいなかったら、どちらを名器として答えるだろうかと自問自答する。
それでも、MC275と答えるだろう。

Date: 9月 9th, 2008
Cate: 菅野沖彦

菅野沖彦氏のスピーカーについて(その1)

菅野先生がお使いのスピーカーは、 
JBLの375+537-500(蜂の巣)を中心としたシステム、 
マッキントッシュのXRT20、 
そして4年前に導入されたジャーマン・フィジックスのDDDユニットを中心としたシステムの3組である。

中高域以上は、JBLはホーン型、XRT20はドーム型の複数使用、 
ジャーマン・フィジックスはウォルッシュ・ドライバー。 
振動板の素材もまったく異る。

JBLはアルミ、ジャーマン・フィジックスはチタンで、同じ金属と言っても、
ジャーマン・フィジックスのチタンはひじょうに薄い膜であり、
指で軽く触ってみると、プニョプニョした感触で、剛性を高めるための金属の採用ではない。

まったく異る型式・方式・素材のスピーカーが三組と受けとめられがちだが、
「中高域の拡散」ということでは、三つとも共通していると、私は考えている。

なぜ菅野先生は、375と組み合せるホーンに、蜂の巣を選択されたのか。 
菅野先生のリスニングルームの壁の仕上げ、
JBLのシステムに数年前から導入さてれているリボン・トゥイーターの理由、 
そして音を聴かせていただくと納得できるのが、 中高域の拡散、ということ。 

なぜ菅野先生は、JBLのトゥイーター075だけでは満足されなかったのか。 
それは高域レンジの問題だけではなく、375と蜂の巣の組合せによる中域の拡散と比べると、 
高域の拡散が不十分と感じられたためではないかと思っている。