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Date: 10月 4th, 2008
Cate: ワイドレンジ

ワイドレンジ考(その9)

早瀬(文雄)さんが、クレルのKSA80を使われていた時期だから、1990年ごろか。
よく早瀬さんの家に遊びに行っていて、KSA80のリアパネルに、
パワーアンプにも関わらず、アース端子が設けられているのを見て、
これなら簡単にできる、と思い、ある提案をした。

プリアンプもクレルで、たしかバランス伝送で接続されていた。
このケーブルにすこし細工をする許可をもらって、プリアンプとパワーアンプのアース端子を結び、
接続ケーブルのXLRコネクターをばらし、片側のシールドをはずした。
アンバランスでもバランス接続でも同じだが、プリ・パワーともステレオ構成ならば、
アースのループができる。
プリアンプの出力もRCAコネクターは見掛けは、アースが独立しているようにみえるが、
内部ではひとつになっている。
パワーアンプの入力も同じである。
つまりケーブルの両端はつながっているアンプの内部でひとつになっている。
接続ケーブルが長ければ長いほど大きなループが形成される。

両端がつながっているなら同電位なので問題ないだろう、と思われるだろう。
実際に浮遊容量、磁束の横切り、高周波やコネクター接触の問題などがからみ合って、
問題なしとは言えない。

解決方法は簡単でケーブルにすこし手を加えればいい。
上記したようにアース側の接続を片側はずして、アース線を用意して接続する。
プリ・パワー間のとき、どちらのアースを外すかは、ひとそれぞれだろうが、
私はプリアンプの領域はパワーアンプの入力端子までと考えるので、
パワーアンプの入力側のアースのハンダを外す。もちろん両チャンネルともだ。
CDプレーヤー・プリアンプ間も同様だ。

うちでは1m、ながくても2m弱だったが、早瀬さんのところはプリ・パワー間は5、6mあった。
同じことを自分のところでもやっていたので、これだけケーブルの長さが違うと、
かなり効果は大きく出るであろうと予想はしていたにも関わらず、ふたりして驚いたものだ。

どのように音が変化するかは書かない。
簡単な作業で実験できることなのでご自身の耳で確認してみてほしい。

Date: 9月 20th, 2008
Cate: ワイドレンジ

ワイドレンジ考(その8)

AC電源のオーディオ機器を2台以上接続することで発生する多重ループの問題を低減するのに有効なのは、
バッテリー式電源の採用か絶縁トランスの採用である。
絶縁トランスが効果的だからといって、すべてのオーディオ機器に使用するのは、ひかえたい。

どんなに優れた絶縁トランスでも、固有音が存在する。
この固有音を完全になくすことは不可能であるから、できるだけ使用数を減らしながらも、
より効果的に使うには、中間の機器に採用することである。

CDプレーヤーとプリメインアンプという構成ならば、
迷うことなくCDプレーヤーに絶縁トランスを使う。
アンプがセパレート構成ならば、コントロールアンプに使用する。
CDプレーヤーがセパレートで、アンプがプリメイン構成ならば、D/Aコンバーターに、
CDプレーヤーもアンプもセパレート構成なら、CDトランスポートとコントロールアンプに使う、
という具合にだ。