Category Archives: 海外ブランド - Page 39

QUAD 44

井上卓也

ステレオサウンド別冊「AUDIO FAIR EXPRESS ’79」
「注目の’80年型コンポーネント355機種紹介」より

 QUAD405パワーアンプのペアとなるコントロールアンプ。待望久しい新製品の登場である。外観から受ける印象では、管球式の22、ソリッドステート化された33のイメージを受け継いだ、クォードらしい伝統の感じられるデザインである。
 内部のコンストラクションは、その外観から予想するよりははるかに現代的な、それもプロ用機器的なプラグイン方式のモジュールアンプを採用していることに特長がある。基本的なモジュールの組合せは、フォノ、チューナー、AUX、2系統のテープの入力系をもつが、任意のモジュールアンプの組合せが可能であり、近く、MCカートリッジ用フォノモジュールも発売される。なお、このモジュールには交換用のプッシュボタンが付属している。
 機能面は伝統的な高域バリアブルフィルターに加えて、ティルトコントロールとバスコントロールを組み合わせたトーンコントロール、フォノとテープモジュールのゲインと負荷抵抗の切替え、フォノ入力とプリアウトにピンプラグがDIN端子と併用するなど、一段と使いやすくなり、リファインされ、コントロールアンプにふさわしい魅力をもっている。

ハーベス Monitor HL

井上卓也

ステレオサウンド別冊「AUDIO FAIR EXPRESS ’79」
「注目の’80年型コンポーネント355機種紹介」より

 BBCモニター、LS5/1、LS3/5Aなどの設計者として著名なハーウッドが設立したハーベス社の最初の製品である。
 20cmウーファーは、ハーウッド自身が開発した新材料ポリプロピレンコーン使用が特長で、ダンプ材なしで優れた特性が得られる。ソフトドーム型トゥイーターは、仏オーダックス製で、空芯コイル採用のネットワークで2kHzでクロスオーバーされ、能率の差はタップ型のオートトランスにより±0・5dB以内に調整され、工場で固定してある。
 このシステムは、スムーズに伸びたレスポンスをもち、すばらしく反応が早いクリアーな音に特長がある。音像定位は明快で、十分に奥行きのある音場感は特筆に値する。

コンラッド・ジョンソン Power Amplifier

井上卓也

ステレオサウンド別冊「AUDIO FAIR EXPRESS ’79」
「注目の’80年型コンポーネント355機種紹介」より

 コンラッド・ジョンソンのコントロールアンプは、シンプルなデザインにふさわしい、シンプルな回路構成によって、ナチュラルな管球アンプの新しい魅力的な音を聴かせて話題になったが、これとペアとなるパワーアンプである。
 パワー管は、米国のKT88ともいえる6550Aのウルトラリニア接続のAB級で、バイアス調整回路はLED表示である。増幅段は、電源部に定電圧電源を採用し、安定度を向上している。なお出力端子はツインバナナプラグで差込み方向を変えて、インピーダンス切替えを行う。
 安定感のある豊かな低域をベースとした、力強く、豪快な音は、やはり米国のアンプならではのキャラクターだ。

SUMO THE POWER

SUMOのパワーアンプTHE POWERの広告(輸入元:バブコ)
(モダン・ジャズ読本 ’80掲載)

SUMO

シュアー V15 TypeIII-HE, VN35HE

シュアーのカートリッジV15 TypeIII-HE、交換針VN35HEの広告(輸入元:バルコム)
(モダン・ジャズ読本 ’80掲載)

Shure

アムクロン SL-1, DL-2, D-75 IOC, D-150A IOC, DC-300A IOC, M-600, SA-2, PSA-2, PL-1, EQ-3, VFX-2A, IC-150A, OC-150A, RTA-3

アムクロンのコントロールアンプSL1、DL2、パワーアンプD75 IOC、D150A IOC、DC300A IOC、M600、SA2、PSA2、PL1、グラフィックイコライザーEQ3、エレクトリッククロスオーバーネットワークVFX2A、その他IC150A、OC150A、RTA3の広告(ヒビノ電気音響)
(モダン・ジャズ読本 ’80掲載)

Amcron

マッキントッシュ C29

マッキントッシュのコントロールアンプC29の広告(輸入元:ヤマギワ貿易)
(モダン・ジャズ読本 ’80掲載)

C29

タンノイ Super Red Monitor, Buckingham Monitor

タンノイのスピーカーシステムSuper Red Monitor、Buckingham Monitorの広告(輸入元:ティアック)
(モダン・ジャズ読本 ’80掲載)

Tannoy

JBL 4343BWX, 4311BWX, L150, L222A

JBLのスピーカーシステム4343BWX、4311BWX、L150、L222Aの広告(輸入元:山水電気)
(モダン・ジャズ読本 ’80掲載)

4343

SUMO THE POWER

井上卓也

ステレオサウンド別冊「AUDIO FAIR EXPRESS ’79」
「注目の’80年型コンポーネント355機種紹介」より

 GASの創設者であり、アンプ設計者としても、各時代にハドレーの622C、SAEのMK3B、GASのアンプジラなど、数多くの最新の技術を導入した作品を世に送って著名なJ・ボンジョルノが、新しく設立したSUMOの第1作パワーアンプが、このTHE POWERである。
 基本的な回路構成は、バランス型入力、バランス型出力をもつ完全プッシュプル構成で、入力部とは別系統に、高インピーダンスアンバランス入力をバランス型に変換するコンバーター部を備え、バランス入力時には、この部分はカットされる。
 バランス入力部からの信号は、1組のバランス入力と2組のバランス出力をもつ、2段の差動アンプで増幅され、4組のA級ドライバー段を経て、ブリッジ型のパワー段に送られる。出力トランジスターは、SUMOの死符のために特別に開発された、立方型のむくの銅ケースに入った特殊なタイプが採用され、従来の2倍以上の安全領域と50MHzという高いカットオフ周波数を備えており、THE POWERでは、これを40個使用している。なお、すべてのトランジスターやダイオードのソケットは、宇宙開発機器用の独立型ターレット式が採用され、安定度が高く、経年変化に強い特長がある。電源部は、独立した4組の電源部と10組の各増幅段用安定化電源を備えている。構造は、電源トランスをベースとしたモノコック構造で、2基の冷却ファンを備える。
 出力段は400W×2のパワーを誇る。独特なひらめきを感じさせるのびやかさと、豪快なエネルギー感が両立した音は、類例のないみごとさである。

BOSE 901 SERIES IV

BOSEのスピーカーシステム901 SERIES IVの広告
(モダン・ジャズ読本 ’80掲載)

901

アリソン Allison:One, Allison:Two, Allison:Three, Allison:Four

アリソンのスピーカーシステムAllison:One、Allison:Two、Allison:Three、Allison:Fourの広告(輸入元:三洋電機貿易)
(モダン・ジャズ読本 ’80掲載)

Allison

SAE Mark 2600

SAEのパワーアンプMark 2600の広告(輸入元:三洋電機貿易)
(モダン・ジャズ読本 ’80掲載)

SAE

ピカリング XSV/4000

ピカリングのカートリッジXSV/4000の広告(輸入元:東志)
(モダン・ジャズ読本 ’80掲載)

XSV4000

ヴァイタヴォックス CN191 CN191 Corner Horn, スペンドール BCII, メリディアン M1

ヴァイタヴォックスのスピーカーシステムCN191 CN191 Corner Horn、スペンドールのスピーカーシステムBCII、メリディアンのスピーカーシステムM1の広告(輸入元:今井商事)
(モダン・ジャズ読本 ’80掲載)

Vitavox

アルテック 6041

アルテックのスピーカーシステム6041の広告(輸入元;エレクトリ)
(モダン・ジャズ読本 ’80掲載)

6041

B&O Beomaster 2400, Beogram 4004

B&OのレシーバーBeomaster 2400、アナログプレーヤーBeogram 4004の広告(輸入元:イーストアジアチックカンパニー)
(モダン・ジャズ読本 ’80掲載)

B&O

コス TECH/2, Technician/VFR, DYNAMIC/10, PRO/4 AAA

コスのヘッドフォンTECH/2、Technician/VFR、DYNAMIC/10、PRO/4 AAAの広告(輸入元:山水電気)
(モダン・ジャズ読本 ’80掲載)

KOSS

JBL 4343(組合せ)

瀬川冬樹

続コンポーネントステレオのすすめ(ステレオサウンド別冊・1979年秋発行)
「第11項・JBL4343の組合せ例(4)価格をほどほどにおさえて、穏やかで聴きやすい音に仕上げる」より

 4343の音が、正確で、クリアーで、生々しく鮮明で、ディテールを細かく分析してゆくばかりではないことは、すでに述べた。4343は、その本来持っている強い性格をおさえてゆくと、一面、おだやかでバランスのよい、神経質にならずにぽかんと楽しめる面をも聴かせる。モニター的な音ばかりでなく、そして、前三例のようなかなり高価な組合せばかりでなく、スピーカー以外のパーツをできるだけローコストにおさえて、あまりシビアな要求をしないで、しかし4343の持ち味を最少限生かすことのできるような組合せを作ってみよう。
 前の三つの例は、アンプリファイアーにすべてセパレートアンプを組合わせている。とうぜん高価だ。むろんセパレートアンプの中にも、とても廉価な製品もあるが、しかしローコスト・セパレートアンプを研究してみると、ふつうの組合せをするかぎりは、概して、同価格帯のプリメイン型のアンプの方が、音質の点からは優秀だという例が多い。ローコストのセパレートアンプは、厳格な意味での音質本位であるよりは、各部が細かく分かれていることによって、イクォライザーアンプや、マルチチャンネル用のエレクトロニック・クロスオーバーやメーターアンプ等々、複雑な機能を持たせたり、部分的な入れ替えでグレイドアップを計るなど、機能的な目的から作られていると考えたい。
 というわけでほどほどの価格で組合せを作る場合には、概して、セパレートアンプでなくプリメインアンプとチューナー、という組合せで考えるほうがいい。
 そして、この例の考え方のように、音の鮮明度や解像力よりは、全体として穏やかで聴きやすい音を狙うのであれば、たとえばラックスのアンプのような、本質的に粗々しい音を嫌う作り方のメーカーに目をつけたい。中でも、新しい製品であるL309Xは、こんにち的に改良されていながら、同クラスの他機種の中に混ぜると、明らかに、きわどい音、鋭い音を嫌った穏やかな鳴り方をすることが聴きとれる。このメーカー独特のリニア・イクォライザーのツマミを、ダウン・ティルトの側に廻しきると、いっそう穏やかな音が得られる。
 プレーヤーは、ものものしい感じの多い国産を避けて、英リン・ソンデックのモーターに、同じく英SMEのアームを組合わせる。とても小型にまとまる点がいい。ただし33一速度しかないのが難点で、もう少し安くあげることも含めて、ラックスのPD272を第二候補にあげておく。音質はむろん前者の方が優れている。
 カートリッジは、音をこまかく分析する傾向のMC(ムービングコイル)型を避けて、MM(ムービングマグネット)型の中から、ひとつは西独エラック(日本では商標登録の関係でエレクトロアクースティックと呼ぶが)のSTS455E。もうひとつ、アメリカ・スタントンの881Sを加えてもいい。455Eはどちらかといえばクラシック系のしっとりした味わいが得手だし、スタントンはジャズ、ポップス以降の新しい傾向の音楽表現が良い。

スピーカーシステム:JBL 4343WX ¥580,000×2
プリメインアンプ:ラックス L-309X ¥158,000
プレーヤーシステム:ラックス PD272 ¥69.000
カートリッジ:エレクトロアクースティック STS455E ¥29,900
カートリッジ:スタントン 881S ¥62,000
計¥1,416,900(エレクトロアクースティック STS455E使用)
計¥1,449,000(スタントン 881S使用)

BOSE 901 SeriesIV

瀬川冬樹

続コンポーネントステレオのすすめ(ステレオサウンド別冊・1979年秋発行)
「24項・ボーズ901/SERIESIV 独特の理論でつくられている間接音重視型」より

 間接照明──光源が直接目に入らないように、一旦、壁面や天井に反射させる照明──は、光が部屋ぜんたいをやわらかく包む。このたとえはすでに6項でも使ったが、アメリカのボストン郊外にあるユニークなメーカー、BOSE(ボーズ)の製品は、それと同じ原理で作られた独特のスピーカーだ。中でもこの901型は、同社を代表するモデルで、すでに四回に亙る改良の手が加えられた最新型だ。実物を目にすれば、エンクロージュアが小さいことが意外に思われるかもしれない。音を聴けばなおさらのことで、この小さなエンクロージュアから、びっくりするほど豊かな低音が朗々と鳴ってくる。それでいて、このエンクロージュアの中には、大型のスピーカーユニットはひとつもついていない。直径10センチ(4インチ)という小型ユニットが全部で9本。すべて同じもので、低音専用とか高音専用とかいう区別のない、いわゆるフルレンジ(全音域)型である。
 この9本のユニットのうち、1本だけは正面を向いているが、残りの8本は背面にとりつけられて、それがすべて壁面に反射した間接音で聴き手の耳に達する。言いかえれば、スピーカーユニットから出る音の11%が直接音として、残りの89%が間接音として耳に到達する。これは、このスピーカーの設計者であるドクター・ボーズが、コンサートホールでの音の聴き手に到達する割合を調査して得た結論から抽き出した独特の理論だ。この理論に対して、レコードに録音された音自体にすでにホールの反響音が含まれているのだから、そこからあとの再生装置で反射音をつけ加える必要はないという反論があるが、むしろ901の鳴らす音は、そんな反論に疑いを抱かせるほど、ときとして魅力的だ。
 左右二台のスピーカーを、専用スタンドにとりつける。反射音を有効に生かすためには、スピーカーの背面が、極端に音を吸収するような材質や構造であってはいけない。従来までの901型は、この店で、ふすまや障子など吸音面が多い日本の家屋では、なかなかうまくその良さを生かせなかった。しかしTYPEIVに改良されてからのニューモデルは、よほど極端な吸音面でないかぎり、ほとんど問題なく使えるようになっている。
 ひとつ大切なことは、このスピーカーは単独でなく、専用のイクォライザーアンプを必ず併用すること。このイクォライザーは、アンプのTAPE OUTとTAPE INの端子のあいだに接続する。そしてイクォライザーアンプのスライド式のツマミを左右に調整しながら、聴感上、低音と高音のバランスの最も良いと思われるポイントを探す。このツマミは、好みに応じて常用してもよいし、一旦調整ののちは固定してもよい。いずれにしてもイクォライザーをON−OFFしてみると、その変化の大きさに驚かされる。スピーカー背面と壁面との距離、そして左右のスピーカーの間隔のとりかたは、部屋の響きや大きさに応じて、聴感上最良の位置を探す。これは901を使いこなす際の大切な作業だ。また、反射音を有効に生かすためには、スピーカー周辺に大きな家具その他ものを置かないことを心がける必要がある。最良点に調整したときのボーズ901の、ひろがりのあるやわらかな響きは独特だ。

スピーカーシステム:BOSE 901 SeriesIV ¥340,000(ステレオペア)
コントロールアンプ:ヤマハ C-2a ¥170,000
パワーアンプ:マランツ Model 510M ¥525,000
チューナー:ヤマハ T-2 ¥130.000
プレーヤーシステム:パイオニア PL-L1 ¥200,000
カートリッジ:オルトフォン Concorde30 ¥29,800
計¥1,394,800

UREI Model 813(組合せ)

瀬川冬樹

続コンポーネントステレオのすすめ(ステレオサウンド別冊・1979年秋発行)
「第17項・アメリカの新しいモニタースピーカー UREI #813」より

 UREIはユナイテド・レコーディング・エレクトロニクス・インダストリーズの頭文字。日本語で発音するとあまり印象がよくないが、録音スタジオ等のプロ用器材の製造で、古くから有名なメーカーだ。つまり一般コンシュマー用ではないが、この会社の手がけた新しいモニタースピーカー813型は、日本のオーディオファンのあいだで、ちょっとした話題になっている。
 というのは、JBL4343の出現で、新しいモニタースピーカーの、音にぜい肉のない、つまり鋭利な刃物でスパッと切り割いてゆくような明晰な音に馴らされていた(しかしその点に多少とも不満をおぼえていた)人たちに、そうでないもうひとつのアメリカの音、肉づきの豊かな、神経質でない、人の好いアメリカ人のような屈託のない朗々とした豪華な味わいを、久々に聴かせてくれたスピーカーだという点で。
 なにしろ、音がいくらでも湧き出てくるような、弾みのついた明るい響き。雄大なスケール感。まるでコダカラーのような、つまりどこか人工的な味わいであることは感じさせながらも、しかしこれはアメリカでしか作ることのできない色彩のあざやかさと豊富さ。この音に馴らされたあとでたとえばJBLを聴くと、どこか禁欲的にさえ聴こえるほど、こちらの鳴らす音は享楽的だ。
 外形寸法は相当に大きい。とくに奥行きの深いことが、いっそう大きく感じさせる。そしてもうひとつ、低音用ユニットが上になるようにして、高音用ユニットが聴き手の耳の高さにくるように設置するという条件を満たすためには、高さが数十センチの頑丈なスタンドが必要だ。サイドボードや物入れのような共鳴しやすい材料は厳禁だ。また背後には共振しにくい堅固な壁面を選び、原則として背面を壁に密着させる。
 これは一般家庭用ではなくスタジオ用だから、家庭ではひどく扱いにくい。こういうスピーカーを家に持ち込むのは、日本の愛好家ぐらいのものかもしれないが、しかしこの音は他に得がたい魅力だ。ただ私は、ここまで楽天的な音を、毎日のように楽しむ気にはなれないが。
          ※
 このスピーカーを生かすのは、たとえばマッキントッシュのアンプの豪華な音だろう。そしてカートリッジもアメリカの製品。これで50年代のジャズをいっぱいのボリュウムで鳴らしたら、しばらくのあいだ陶然とした気分が味わえるにちがいない。輝きと生命力に満ちた豪華なサウンド。しかし、渋いクラシックのファンにはどう考えてもこの音は好まれない。
 このスピーカーの基本はアルテックの604−8Gというモニター用のユニットだが、UREIの技術によって、アルテックの音がなんと現代ふうに蘇ったことかと思う。同じ604−8Gを収めた620Aシステムでは、こういう鳴り方はしない。この813に匹敵しあるいはこれを凌ぐのは、604−8Gを超特大の平面(プレイン)バッフルにとりつけたとき、ぐらいのものだろう。
 UREI813を鳴らす組合せ例をもうひとつあけておく。国産で羽音の表情の最も濃いトリオの07シリーズを中心に、プレーヤーもカートリッジも結果的にスピーカーと同じ〝まっ黒け〟で統一できた。むろんそういうおもしろさより、音質本位に考えた結果である。

スピーカーシステム:UREI #813 ¥498,000×2
コントロールアンプ:マッキントッシュ C32 ¥690,000
パワーアンプ:マッキントッシュ MC2205 ¥668,000
チューナー:マッキントッシュ MR78 ¥490,000
ターンテーブル:テクニクス SP-10MK2 ¥150.000
キャビネット:テクニクス SH-10B3 ¥70,000
トーンアーム:テクニクス EPA-100 ¥60,000
カートリッジ:ピカリング XUV/4500Q ¥53,000
カートリッジ:エンパイア EDR.9 ¥50,000
計¥3,177,000(ピカリング XUV/4500Q使用)
計¥3,174,000(エンパイア EDR.9使用)

スピーカーシステム:UREI #813 ¥498,000×2
コントロールアンプ:トリオ L-07CII ¥160,000
パワーアンプ:トリオ L-07MII ¥1200,000×2
チューナー:トリオ L-07TII ¥130,000
プレーヤーシステム:テクニクス SL-01 ¥80.000
カートリッジ:エンパイア EDR.9 ¥50,000
計¥1,656,000

JBL 4343

瀬川冬樹

続コンポーネントステレオのすすめ(ステレオサウンド別冊・1979年秋発行)
「第7項・例えばJBL4343について少し研究してみよう」より

 JBLの四桁ナンバーで、43××というように上二桁が43……ではじまる製品は、すべてこの系列だと思っていい。JBLではこれを「プロフェッショナル・モニター・シリーズ」と呼んでいる。
 モニタースピーカーと呼ばれる製品は26項でくわしく説明するように、アンプから加えられた入力信号を、できるかぎり正確に音波に復元することが要求される。すなわち前項までの分類の第一の、アキュレイトサウンドそのものといえる音を再生する。
 中でもこのJBLの4343は、その性能の優秀なこと、どんな条件下でもみごとな音を聴かせることで、音を創る側の人たちばかりでなく、再生の側の、それも専門家筋にとどまらず、音楽家、音楽評論家や熱心な観賞家、はてはごく普通の愛好家まで、広い分野の人びとが一様にほめる、稀有なスピーカーだといえる。クロウト筋の評価が高いのに一般受けしない、とか、市場では広く売れているのに専門家はほめない、などという製品はけっこう少なくないが、どんな立場の人からも広く支持されるスピーカーは、どちらかといえば珍しい部類に入る。
 実際、このJBL4343というスピーカーは、プロフェッショナルの立場の人が、音をどこまでも細かく分析したいと思うとき、その要求にどこまでも応じてくれる。このスピーカーなら、まあ、聴き洩らす音はないだろうという安心感を与えてくれるというのは、たいへんなことだ。
 それでありながらこれをふつうの家庭に収めて、音楽を鑑賞する立場になって聴いてみても、4343は、それが音楽の研究や分析という専門的な聴き方に対しても、また逆に、面倒を言わずにただ良い音、美しい音を楽しみたいという聴き方に対しても、それぞれにみごとに応じてくれる。眼前で楽器を演奏するような大きな音量でも音が少しもくずれない。逆に、夜遅くなって、思い切ってボリュウムを絞って観賞するようなときでも、音はぼけたりしない。クラシックのオーケストラも、ジャズも、ヴォーカルも、ロックやニューミュージックも、どこにも片寄ることなく、あらゆる音に対して忠実に、しかもみごとに反応する。
 このスピーカーに、何の先入観も持たない一般のひとが聴いても、素晴らしい音だと感心する。逆に、4343にいろいろな先入観を抱いている専門家や、半可通のアマチュアのほうが、このスピーカーをいろいろとけなしたりする。もちろん完全無欠の製品どころか、4343といえど、いろいろと弱点も残っている。部分的には4343以上の音を鳴らすスピーカーはいくつかある。けれど、いろいろな音楽を、いろいろな音量で、あらゆる条件を変えて聴いたときのトータルなバランスの良さ、それに見た目の美しさも加えると(これは大切な要素だ)、やはり4343は、こんにちのベストスピーカーのひとつにあげてよいと思う。
 なお、型番の末尾にWXとつくのは、外装がウォルナット木目のオイル仕上げで、前面グリルが濃いブルー。何もつかないほうは、スタジオグレイと呼ばれるライトグレイの粗いテクスチュアの塗装に、グリルは黒。WXは、前面木部のふちを斜めにカットしてあるので見た目にいっそうやわらかいエレガントな印象を与える。
 さて、当り前の話だがスピーカーはそれ自体では鳴らない。アンプやプレーヤーやチューナー、必要ならテープデッキ……というように、さまざまのコンポーネントパーツを上手に組合わせて、そこではじめて、スピーカー本来の能力を発揮できる。いくら優秀なスピーカーでも、それを鳴らしてやる条件が十分にととのわなくては、せっかくの性能も生かされない。
 そこで、JBL4343の、すでに書いたような優れた能力を、十全に発揮するための使いこなしを、いくつかの実例をあげながら研究してみることにする。

QUAD ESL(組合せ)

瀬川冬樹

続コンポーネントステレオのすすめ(ステレオサウンド別冊・1979年秋発行)
「25項・形状と使いこなしの面でこれまでのどれにも属さないイギリスQUADのESL(エレクトロスタティック・ラウドスピーカー)」より

 イギリスという国は、22項のヴァイタボックスもそうだがたとえば二十年以上、といった永い年月、モデルチェンジせずにものを作り続けるという面を持っているが、QUAD・ESLもまた、1955年以来作り続けられている。おそろしく寿命の長いスピーカーだ。
 だが、CN191の音がこんにちの時点ではすでに古くなっていることを、愛好家の側では十分に承知していて、しかしその音の魅力ゆえに愛用されているのに対して、QUAD・ESLは、およそ四半世紀を経たこんにちなお、古くなるどころか、逆に、その音のいかに新しいか、というよりもいかに時代を先取りしていたかが、次第に多くの人々に理解されはじめ、むしろ支持者の増える傾向さえあるという点で、オーディオ製品の史上でも稀な存在といえる。それはESL(エレクトロスタティック=静電型、またはコンデンサー型ともいう)、独特の方式のためだった。
 向い合った二枚の電極の、一方を固定し他方を可動極(振動板)とし、直流の高い電圧(成極電圧という)を加えると、電極は静電気を蓄えて互いに吸引しあう。そこにアンプから音声電流が加えられると、電極には互いに吸引・反撥の力が生じて、可動極側が振動する形になり、音波を作り出す。これがエレクトロスタティック型の基本原理で(この方式をシングル型といい、QUADの場合はプッシュプル型を採用している)、その独特の方式は、ここ数年来、アンプをはじめとして周辺機器やプログラムソースの音質の向上するにつれて、その真価を広く知らせはじめた。ただ、パネルヒーターのような厚みのない薄型であることにもかかわらず、前後両面に音波を生じるために、背面を壁に近づけることは原則として避けなくてはならない。できることなら、上図のように部屋を二分して前後の空間を等分するか、せめて三等分として前方に2、後方に1といった割合に設置することが要求される。部屋の最適の広さは約50㎥以上が望ましい……というように、大きさの割に設置の条件がやかましく、意外にスペースを占有してしまう。二枚のスピーカーを、真正面一列に向けるのでなく、八の字状に聴き手の耳に正面を向け、その焦点のところで聴取すると、透明で繊細な感じの、汚れのないクリアーな音質と、ステレオの音像のピシリと定位して、たとえば歌い手がスピーカーの中央に立っているかのようなリアリティを聴きとることができる。
 音量があまり望めないといわれているが、スピーカーの正面2メートル程度の距離で鑑賞するかぎり、たとえばピアノのナマの音量、のような大きな音量を要求するのは無理にしても、けっこう十分のボリュウム感を味わうことができる。
 なお、構造上(成極電圧形成のため)、ACの電源が必要だが、消費電力は僅少なので、一旦入れたら(音を聴かないときでも)AC電源を入れっぱなしで切らないほうがよい。
 このESL一組では、打楽器やピアノの打鍵の叩きつけるような迫力は望めないが、二本をスタックにして使えば、意外にパワフルな音も得られる。マークレビンソンの〝HQD〟システムに採用されているのがその例だ。

スピーカーシステム:QUAD ESL ¥195,000×2
コントロールアンプ:QUAD 33 ¥98,000
パワーアンプ:QUAD 405 ¥148,000
チューナー:QUAD FM3 ¥98.000
プレーヤーシステム:トーレンス TD126MKIIIC/MC ¥250,000
ヘッドアンプ:トーレンス PPA990 ¥100,000
スリーブ:QUAD ¥15,000
計¥1,099,000

Speaker System (Powered type)

瀬川冬樹

続コンポーネントステレオのすすめ(ステレオサウンド別冊・1979年秋発行)
「第34項・市販品をタイプ別に分類しながら(7) パワーアンプを内蔵したスピーカー、マルチアンプ用スピーカー」より

 前項で例にあげたメリディアンM1は、スピーカーエンクロージュアの内部に、トランジスターのパワーアンプを内蔵している。それも、低音・中音・高音とそれぞれに専用に分けたいわゆるマルチチャンネルアンプになっている。したがって、ここにプリアンプを接ぐだけで、そのまま鳴らすことができる。
 パワーアンプをスピーカーのエンクロージュアに内蔵させてしまうというのは、二つの意味がある。ひとつは、右の例のようにスピーカーとアンプを一体に設計して、音質をいっそう向上させようとする場合。もうひとつは、プロフェッショナル用のモニタースピーカーの一部にみられるように、録音スタジオのミキシングコンソールの出力をそのまま接続できる用にという、便宜上から(パワーアンプを)内蔵させるタイプ。この工社の代表例は、たとえばNHKでのモニター用として設計されたダイヤトーンのAS3002Pなどだ。
 どちらの考え方にせよ、このパワーアンプ内蔵型は、そこにプリアンプの出力を接ぐだけでよいという点で、他のスピーカーシステムとは、使い方の面で勝手が違う。少し前まではこのタイプはほとんど例外的な存在だったが、最近になってスピーカーシステムの性能が一段と向上してきたために、これ以上の音質を追求するには、いわゆるマルチアンプ方式で専用アンプを内蔵することが有利ではないかという考え方が、いわゆるコンシュマー用の製品にも少しずつ広まってゆく兆しがみえはじめている。そのひとつが、たびたび例にあげたメリディアンM1だ。
 メリディアンと同じく、マルチチャンネルアンプを内蔵した(そして音質の良い)スピーカーとして、西独K+H(クライン・ウント・フンメル)のOL10もあげておきたい。エンクロージュアの両側面に把手がついていたり、ほんらいスタジオモニターとして徹した作り方だが、このバランスのよい音は一聴の価値がある。
 パワーアンプ内蔵という形をいっそう煮つめてゆくと、オランダ・フィリップスの一連の新型のように、MFBという一種のサーボコントロールアンプで、スピーカーの動作を電子制御して、いっそうの音質の向上を計るという製品ができあがる。この一連のシリーズは、エンクロージュアが非常に小さいにもかかわらず、大型スピーカーなみの低音が再生されて驚かされる。また内蔵の電子回路を応用して、コントロールアンプからの入力が加わった瞬間に電源が入り、入力が2分以上途絶えると自動的に電源が切れるという、おもしろい機能を持たせている。これも、もともとはプロ用として開発された製品だが、価格も大きさも、一般の愛好家が使うに手頃なスピーカーだ。
 パワーアンプを内蔵はしていないが、はじめから高・低各音域を分割して2台のパワーアンプでマルチドライブすることを指定しているのが、JBLの4350Aだ。言うまでもなく名作4343のもう1ランク上に位置するスタジオモニターの最高峰だが、ウォルナット仕上げのWXAなら、家庭用としても十分に美しい。使いこなしは難しいが、うまく鳴らしこんだ音は、アキュレイトサウンドのまさにひとつの極を聴かせてくれる凄みを持っている。

JBL 4343(組合せ)

瀬川冬樹

続コンポーネントステレオのすすめ(ステレオサウンド別冊・1979年秋発行)
「第10項・JBL4343の組合せ例(3)コントラストのくっきりした、やや個性の強い音に仕上げてみる」より

 4343というスピーカーは、何度も書いたようにとても多面的な性格を具えているが、しかし本質的に、いくらか硬質でコントラストの強い音、言いかえれば、楽器ひとつの音の輪郭をきわ立たせるような性格を持っている。そこをあまり目立たせないように鳴らせば、クラシック系の柔らかでエレガントな音が楽しめるが、前ページの例2は言わばその方向での鳴らしかたといえそうだ。
 それに対して、むしろコントラストの強さを強調してゆくと、こんどは逆に、どちらかといえばポップスやジャズなど、楽器編成の少ない、そしてリズム楽器系の多いような種類の音楽を、目の前で演奏しているのを楽しむ感じになってくる。この例3はその方向で生かした組合せ例といえる。
 ひとつのメーカーの製品でも、五年、十年という単位で眺めれば、音の鳴らし方がずいぶん変っているが、ある一時期には、ひとつの方向を煮つめてゆく。このところのトリオのアンプは、音の輪郭ひとつひとつをくっきりと照らし出すような、いわばメリハリを強めるような鳴り方をしていると、私には聴きとれる。
 輪郭をくっきりと描いてゆくとき、中味をしっかり埋めておかないと、弱々しいうわついた音になりやすいが、トリオの音、ことにここに例をあげた07マークIIとつくシリーズは、中味のたっぷりした、味わいの濃い、それだけにやや個性的な音を持っている。
 こういう音は、前述のように、ポップス系の音楽をおもしろく聴かせる。とくにこの07シリーズは、音の表情をとても生き生きと描出する点が特徴で、演奏者自身が音楽にのめり込み、エキサイトして演奏してゆく雰囲気がよく聴きとれる。最近のアンプの中でも、特性を向上したという製品の中に、妙によそよそしい無機的な音でしか鳴らないアンプがあるが、そういう音では、音楽を楽しく聴かせない。とうぜん、4343を生かすとはいえない。その点、トリオの音は音楽そのものをとても生き生きとよみがえらせる。
 レコードプレーヤーは、マイクロ精機のやや実験的な性格の製品で、駆動モーター部分とターンテーブル部分とがセパレートされていて、ターンテーブル外周に糸(またはベルト)をかけて廻す、というユニークな形。超重量級のターンテーブルに糸をかけて廻すというのは方式としては古いのだが、こんにちの、電子制御されたDDターンテーブルとはひと味違って、音の輪郭がくっきりと鮮やかになり、充実感のある豊かで余韻の美しい独特の音を聴かせる。
 こういう組合せを、カートリッジでどう仕上げるか。たとえば米ピカリングの、XUV4500Qなら、ほんらいアキュレイトサウンドを目ざしている4343を、かなりショッキングな感じで鳴らすことができる。同じピカリングでも、XSV3000にすればこの組合せ本来の目ざすポップスのヴァイタリティをよく生かす。しかしここに、たとえばオルトフォンSPUや、さらにはデンオンDL303を持ってくるにつれて、濃いコントラストな個性の強さが次第におさえられて、この組合せなりに自然な感じでクラシックを楽しむことができるようになる。

スピーカーシステム:JBL 4343WX ¥580,000×2
コントロールアンプ:トリオ L-07CII ¥160,000
パワーアンプ:トリオ L-07MII ¥120,000×2
チューナー:トリオ L-07TII ¥130,000
ターンテーブル:マイクロ RX-5000+RY-5500 ¥430.000
トーンアーム:オーディオクラフト AC-3000MC ¥65,000
カートリッジ:ピカリング XUV/4500Q ¥53,000
カートリッジ:ピカリング XSV/3000 ¥40,000
カートリッジ:オルトフォン SPU-G/E ¥39,000
カートリッジ:デンオン DL-303 ¥45,000
計¥2,238,000(ピカリング XUV/4500Q使用)
計¥2,225,000(ピカリング XSV/3000使用)
計¥2,224,000(オルトフォン SPU-G/E使用)
計¥2,230,000(デンオン DL-303使用)