井上卓也
ステレオサウンド 133号(1999年12月発行)
特集・「ジャンル別・価格帯別 ザ・ベストバイ コンポーネントランキング798選」より
ユニゾンリサーチのシンプリー・シリーズと組み合わせる目的で開発された電源部レスのフォノEQ。基本的にはMMカートリッジ対応型ではあるが、利得は52dBと高めの設定で、負荷抵抗も47kΩから22Ωまで4段切替可能なため、高出力MC型も使用できる。管球フォノEQとカートリッジの相性は魅力的で、気軽に使える利点は大きい。
井上卓也
ステレオサウンド 133号(1999年12月発行)
特集・「ジャンル別・価格帯別 ザ・ベストバイ コンポーネントランキング798選」より
ユニゾンリサーチのシンプリー・シリーズと組み合わせる目的で開発された電源部レスのフォノEQ。基本的にはMMカートリッジ対応型ではあるが、利得は52dBと高めの設定で、負荷抵抗も47kΩから22Ωまで4段切替可能なため、高出力MC型も使用できる。管球フォノEQとカートリッジの相性は魅力的で、気軽に使える利点は大きい。
井上卓也
ステレオサウンド 133号(1999年12月発行)
特集・「ジャンル別・価格帯別 ザ・ベストバイ コンポーネントランキング798選」より
装いを変えて、いちだんと独自の輝きのある世界を提示した感がある、ユニゾンリサーチの大型筐体プリメインアンプ。前作よりも小型高密度化された筐体構造は、木部のマッシヴな造形と新採用のステンレス切削加工のポッテリしたツマミ形状が特徴的。845のフィラメントを輝かせると、音を聴く以前に暖かい優しさに心を奪われる。
井上卓也
ステレオサウンド 133号(1999年12月発行)
特集・「ジャンル別・価格帯別 ザ・ベストバイ コンポーネントランキング798選」より
究極の3極管として憧れの存在である300Bを採用したユニゾンリサーチの最新製品である。古くからオーディオ製品では、視覚的なデザイン、仕上げ、加工精度から醸し出されるイメージと、音のイメージの相関性を重んじる考え方があるが、木材と金属などを絶妙に組み合わせた本機の筐体構造は、真空管の灯りとの相乗効果で美しい。
井上卓也
ステレオサウンド 130号(1999年3月発行)
「いま聴きたい魅惑のコンポーネント特選70機種」より
世界的に管球アンプの開発が、予想を超えて絶えることなく継続されているようであるが、スピーカーシステムにおけるB&Wノーチラスのような、想像を超えたレベルで管球アンプのデザインを変えたメーカーは、イタリアのユニゾン・リサーチをおいてほかはないのではなかろうか。
このメーカーは、ひじょうに大型で超重量級の管球プリメインアンプ、845アブソリュートが93年に輸入され、一躍注目を集めただけに、プリメインアンプのラインナップが充実しているのが大変に魅力的だ。
その巨大プリメインアンプとは完全に逆転の発想で開発されたのが、このシンプリー・シリーズだ。出力トランスは自社製リッツ線巻きとのことで、筐体構造は金属材科とリアルウッドを組み合せた、ユニークで素晴らしい出来である。この組合せは、視覚的にも美しいが、金属の固有音を木材でダンプし、ほどよい木の鳴りを加味するという音質面でのメリットもあるようだ。
シンプリーTWOは、6CA7シングル・ステレオアンプであるが、穏やかで豊かな音と言われやすい管球アンプのなかでは、反応もナチュラルで違和感がなく、伸びやかな表現力とほどよくフレッシュな音は、音楽をいつまでも聴いていたくなる、オーディオならではの楽しさがある¢
シンプリーFOURは、シリーズ第三弾製品として登場した、6CA7をパラシングルとしたモデルである。定格出力は、シンプリーTWOの12W+12Wから14W+14Wに増加したにすぎない。しかし、音の傾向は明らかに1ランク上級機らしい佇まいがあれ、重心がいちだんと低く安定感があり、それなりに押し出しの良いパワー感は、さすがに兄貴分の貫禄というべきだろう2機種ともにNF量は2段切替可能で、NF量と音質の相関性を聴くことができる。
短絡的な表現をすれば、小口径から中口径フルレンジユニットの駆動にはTWO、2ウェイ以上のシステムにはFOURということもできるだろう。
シンプリー845は、モノ構成パワーアンプSmt845のステレオ版と考えられる大型プリメインアンプである。
オーディオ用3極出力管として古くから定番となっている845のシングルエンド使用で、純A純動作、定格出力18W+18Wである。
TWOとFOURを実用型アンプとすれば、トリエイテッドタングステンのフィラメントの輝きと、独自の筐体構造との調和の美しさが、見るだけで楽しい本機は、かけがえのないオーディオの世界を展開する完全に趣味のアンプなのである。
3極管シングルA級動作的な線の細さは感じられず、ナチュラルな表情で音楽を楽しく聴かせる、視覚的要素と表裏一体となった見事な音は、さすがに高級機の風格だ。
井上卓也
ステレオサウンド 121号(1996年12月発行)
特集・「ザ・ベストバイ コンポーネントランキング710選」より
非常に個性的なデザインで、純A級シングル動作らしい清澄にして程よく音の輪郭をつけて聴かせるSimply Two/Four専用のフォノEQ。電源はプリメインから供給を受けるが、DC点火のヒーター電源はEQ内に設けてあることが興味深い。活き活きとしたアナログならではの音は安心して音楽が聴ける。
井上卓也
ステレオサウンド 121号(1996年12月発行)
特集・「ザ・ベストバイ コンポーネントランキング710選」より
シャーシ構造が金属とナチュラルな木材を組み合わせた個性的かつ実に見事なバランスを醸し出しているイタリア・ユニゾンリサーチのライン入力専用プリアンプ。増幅段の一部に2階建型のSRPP回路を採用する同社独自の設計が本機にも採用され、半導体アンプでは欠落しやすい音を素直に引き出す管球式の魅力は絶大だ。
井上卓也
ステレオサウンド 121号(1996年12月発行)
特集・「ザ・ベストバイ コンポーネントランキング710選」より
何をもって大型3極管A級シングル動作の音とするかは、回路構成、出力トランス、電源回路、筐体構造により千変万化するため、現実には観念的な意味にすぎないと思うが、ユニゾンリサーチのSmt845の音は、いわゆる3極管シングルの音ではなく、現代的なクールさと程よく粘る弾力的な音で、類型的でない点が見事。
井上卓也
ステレオサウンド別冊「世界のオーディオブランド172」(1996年11月発行)より
SIMPLY−PHONOは、入力部に47kΩ、100Ω、50Ω、22Ω/100pFのインピーダンス切替が可能。回路構成は、初段がグリッドリークバイアスの3極管1段増幅、2段目との段間にCR型フォノイコライザー素子が組み込まれており、2段目はセルフバイアスの3極管増幅、それに続いてカソードフォロワーの出力段が設けられている。
井上卓也
ステレオサウンド別冊「世界のオーディオブランド172」(1996年11月発行)より
MISTEROは、今年同社のラインナップに加わったライン入力専用のプリアンプである。ローレベル入力を扱うプリアンプでは電源の整流回路に半導体を使用するとスイッチングノイズの影響を受けやすいが、このMISTEROでは整流管を使い、チョークインプット型の整流回路を採用していることに注目されたい。
入力部には、窒素ガス封入型接点使用のリレーによる入力セレクターがあり、ダイレクトにECC82/12AU7のSRPP増幅段に信号が加えられ、この出力部にボリュウムコントロール、続く出力段が、ECC83/12AX7の片側を使うカソードフォロワーになっている。初段のバイアスにはリチウム電池を使った固定バイアスが採用され、常に安定したバイアス最適値が、高いリニアリティとSN比の向上に寄与している。信号kは純A級動作のノンNF設計で、オプションでSIMPLYと共通のMM型フォノカートリッジ用SIMPLY−PHONOイコライザーアンプを使うための、電源供給用DIN端子を具えている。
井上卓也
ステレオサウンド別冊「世界のオーディオブランド172」(1996年11月発行)より
SIMPLY FOURは、出力段がEL34/6CA7の並列接続シングル純A級動作のプリメインアンプだが、前段用の双3極管12AU7が3本となり、このモデル独自の設計が施されている。パワーは14W+14Wに抑えられているように受けとれるが、この値のほうがむしろオーソドックスな定格だ。
回路構成は、2段目がSRPP回路、終段は並列接続で、出力トランスのタップを使ってNFをかけるUL接続、電源部はSIMPLY TWOの2倍の容量の平滑コンデンサーが採用され、並列接続での電流増加に対処した設計だ。なお、出力段はセルフバイアスだが、バイアスは深く、前段のドライブ能力が強化されたことと相まってオーバーロード時には強く、かなりのパワーマージンを備えた設計である。
井上卓也
ステレオサウンド別冊「世界のオーディオブランド172」(1996年11月発行)より
SIMPLY TWOは、そのモデルナンバーが示すように、単純なEL34/6CA7の純A級シングル動作のプリメインアンプである。基本型は、入力部に入力セレクターとボリュウムコントロール機能を持たせたパワーアンプで、フィードバック切替スイッチが付属しており、一種のキャラクターコントロールとして使用可能だ。また、別売のフォノEQ用の電源供給ソケットが付いている。定格出力は12W+12Wと必要最小限のレベルであるが、小口径フルレンジユニットや感度90dB以上の2ウェイシステムと組み合わせれば、一般の家庭用再生レベルなら実用上での問題は皆無に等しいであろう。いわゆる5極管的な、古くはペントード的な音といわれた傾向は見事に抑えられており、常に手元に置いておきたい印象のモデルである。
井上卓也
ステレオサウンド別冊「世界のオーディオブランド172」(1996年11月発行)より
Smart845はモノーラルパワーアンプで、大型直熱型3極管として最高の音質をもつと古くから言われてきた845の、純A級シングル動作で16Wの定格を得ている。デザイン的に目をひくのは、出力管の保護用と放熱効果を上げ、筐体温度の上昇を防ぐためのセラミックガードと、それを取り巻く筐体に独特の弧を描く美しいラインでデザインされたムクのイタリアンチェリー材との絶妙なコンビネーションだ。トリエーテッドタングステンの穏やかな明かりととも見事にマッチし、眺めるだけでも楽しい、この雰囲気は実に素晴らしい。
A級シングル動作の845から受ける、純度が高く、透明感のある柔らかい音という印象とはかなり異なった、ナチュラルで心暖まるような、程よく豊かで力感のある音が、聴いてみて再び楽しくなる、このモデルならではの、かけがえのない魅力であろう。
入力感度は0・165Vと、真空管アンプとしては異例に高く、パッシヴ型アッテネーターを介してのダイレクトドライブ使用にも全く支障はない。
井上卓也
ステレオサウンド別冊「世界のオーディオブランド172」(1996年11月発行)より
845ABSOLUTEは、同社を代表するW800×H290×D600mmの巨大サイズの真空管プリメインアンプである。興味深いことは、発表当初は前段にGTタイプの双3極管6SN7が使われ、終段の845は、純A級プッシュプル動作の製品も本国ではあるようだが、現在輸入されているモデルは、電圧増幅段が12AX7、12AU7に変更され、終段も845パラレルプッシュプル動作になっていることだ。
ムクのイタリアンナッツ材や銅版を組み合わせた筐体構造は、非常にユニークではあるが見事なまとまりを見せており、真空管パワーアンプでの重要なキーポイントである出力トランスは、リッツ線を巻線に使った自社開発によるということで、また驚かされる。純A級パラシングル動作で39W+39Wの性能は、特に低感度スピーカーでなければ、家庭用として十分に満足できる定格値だ。別売オプションとしてPHONO−ONEフォノEQアンプも用意されている。
井上卓也
ステレオサウンド別冊「世界のオーディオブランド172」(1996年11月発行)より
ユニゾンリサーチは1988年に、手頃な価格で入手できる最高の性能の真空管アンプを設計することを目的として設立されたアンプメーカーだ。
同社製品の設計を担当するジョヴァンニ・M・サチェッティ氏は、20年以上イタリアの学校で電子工学を教えてきた経歴をもつ人物で、16歳の頃から真空管アンプを手がけ、友人のアンプも設計・製作してきた。ソナス・ファーベル社のためにプリウス真空管プリアンプを設計したことでも知られている。A・アムブロシノ氏は、トリノ大学化学部、ボストン大学歯学部、さらにパドバ大学医学部を卒業という多彩な経歴をもった人だ。
同社の製品は、オーディオアンプの概念を打破するような、各種の材料を組み合せたデザイン面でのユニークさに加え、シンプルな回路構成が採用されることが多い。特に3極管を直流的にシリーズに使うSRPP(シャント・レギュレーテッド・プッシュプル)回路を要所要所に使う設計も大変にユニークだ。
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