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M&K SV-200

井上卓也

ステレオサウンド 70号(1984年3月発行)
「BEST PRODUCTS 話題の新製品を徹底解剖する」より

 小型サテライトスピーカーと3D方式フォルクスウーファーというユニ-クな構成のシステムを開発し、いままさに開けんとするAV時代のスピーカーシステムとして一躍脚光を浴びている米M&K社から、特徴のあるタワー型のエンクロージュアにサテライトスピーカーと400WのMFB方式パワーアンプを内蔵したSV200が新製品として発売されることになった。
 基本構想は、2ウェイ方式フルレンジシステムとパワーアンプ附属のサブウーファーを一個のエンクロージュアに収納したコンプリートなシステムであり、従来の3D方式サブウーファーをベースとしたシステムよりも、スピーカーシステムとしては大型化はしたものの、完成度は一段と高まったと思われる。
 各種の多角的な使用を可能とするために、16cm口径ポリプロピレン振動板採用の低域と25mm口径ソフトドーム高域ユニットで構成するサテライトスピーカーと、パワーアンプ内蔵の30cm口径サブウーファーは、それぞれ密閉型エンクロージュア基板部分に独立した入力端子を備え、サテライト用入力端子には2個の高域と低域用のキャラクターコントロールと名付けられたいわゆるレベル調整があり、サブウーファー入力端子には、アンプSP端子からの信号を受けるプッシュ型の入力端子と、サテライトに信号を送り出す出力端子と、RCAピンプラグ採用のコントロールアンプなどからの信号を受ける入出力端子、パワーアンプのレベル調整と、サテライトとサブウーファーのクロスオーバーを50~125Hz間に任意に選べるフィルターが備わるが、試聴モデルではフィルターは固定されていた様子で、調整はできなかったた。
 M&Kで推奨する基本セッティングは、スピーカー左右の間隔を基準線とし、その基準線と直角に左右間隔に等しい距離がリスニングポイントとされている。簡単に考えれば、正三角形の頂点の少し後ろと考えて問題はあるまい。
 使用方法は、プリメインアンプやパワーアンプのSP端子からサブウーファー端子に接続し、これからサテライトに結線をするのがシンプルな使用例であり、次にコントロールアンプ出力Aから別売のフォルクスフィルターを通しサテライトを駆動し、出力Bでサブウーファーを駆動する方法、さらに、別売の100Hz・18dB/octパッシヴフィルターと高音、低音レベル調整付LP1スペシャルを使うグレードアップ型と、基本的に3種類の使用方法がある。
 試聴は3種の方法を試みたが、高音・低音、サブウーファーと3種の連続可変調整をもつため変化範囲は無限に存在し、順を追って調整をすれば、基本例でもM&K独特の豊かな低域ベースの見事なサウンドが得られる。つまり結果は使用者の腕次第。

M&K Satellite 3B + Volkswoofer 3B

黒田恭一

ステレオサウンド 66号(1983年3月発行)
特集・「2つの試聴テストで探る’83 “NEW” スピーカーの魅力」より
4枚のレコードでの20のチェック・ポイント・試聴テスト

19世紀のウィーンのダンス名曲集II
ディトリッヒ/ウィン・ベラ・ムジカ合奏団
❶ではすっきりと各楽器の特徴を示してまことに新鮮である。❸のコントラバスのひびきがふくらみすぎてはいないのはいいが、コントラバスならではのひびきのゆたかさを示しえているかというと、いくぷんものたりないところがある。しかしこれはウーファーのレベルを調整することによって、改善の余地がある。❹ではヴァイオリンの音がもう一歩できつくなりそうであるが、その手前でからくもとどまる。

ギルティ
バーブラ・ストライザンド/バリー・ギブ
❶でのエレクトリック・ピアノの音がぼてっとふくらみすぎないところに、このスピーカーの素性のよさが感じられる。❸ではとりわけギターの音が鮮明で大変にエフェクティヴである。❷での吸う息はなまなましい。しかもうたう人の音像がぽけずに、くっきりと示される。ただ、❺でのはった声がいくぶん薄くなるきらいがある。❹でのストリングスのひろがりは充分であり、なかなか効果的である。

ショート・ストーリーズ
ヴァンゲリス/ジョン・アンダーソン
❷でのティンパニのひびきのひろがりには独自のものがあり、なかなかスリリングである。このスピーカーが音場感的な面での提示能力に秀でているためと思われる。ただ、このスピーカーは、❹でのブラスのひびきの力強さを示すようなことにかけては、あまり得意とはいえないようである。すっきりはしていても、ききてに迫る迫力という点で、いくぷんものたりない。音の動きのスピード感の提示は見事である。

第三の扉
エバーハルト・ウェーバー/ライル・メイズ
❶でのペースの音はいくぶん薄めである。しかし、不自然になることなく、ベースがついているがゆえの効果は示せている。その辺にこのスピーカーの基本をおさえる見事さがうかがわれる。❺での管のひびきとピアノのひびきとの対比は十全である。❷でのひろがりも自然であり、ほどよくまとまっている。❹でも押しつけがましくなることなく、それぞれのひびきの特徴をすっきりとあきらかにしている。

M&K Satellite 3B + Volkswoofer 3B

黒田恭一

ステレオサウンド 66号(1983年3月発行)
特集・「2つの試聴テストで探る’83 “NEW” スピーカーの魅力」より

 音場感的な面での提示能力に秀でたスピーカーと考えてよさそうである。そしてもうひとつ、このスピーカーのきかせる音が、大変にアップ・トゥ・デイトな性格をそなえているということも、つけ加えておくべきであろう。
 今回は編集部からの注文もあって、比較的新しい傾向の音のきけるレコードを選んで試聴したが、それらの、たとえば②、③、④のレコードに対しての反応などは、まことに魅力的であった。それなら①のようなオーソドックスなレコードに対して不充分であったかというと、そうではない。①のレコードではひびきが総じて硬質になったきらいはなくもないが、それでもなおそれぞれのひびきのきめこまかさは充分に示した。
 いくぷん力強さの提示に不足を感じはしたものの、スピーカーの大きさからは信じられないようなスケール感を示したのはさすがというべきであろう。

M&K Satellite IA + Volkswoofer A

M&KのスピーカーシステムSatellite IA + Volkswoofer Aの広告(輸入元:三洋電機貿易)
(オーディオアクセサリー 27号掲載)

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