菅野沖彦
ステレオサウンド 35号(1975年6月発行)
特集・「’75ベストバイ・コンポーネント」より
オートマチック・ターンテーブルとしてのキャリアがよく生きた製品で、高い仕上げと信頼性のあるメカニズムの割りに価格が安い。付属のカートリッジも信頼できる。
菅野沖彦
ステレオサウンド 35号(1975年6月発行)
特集・「’75ベストバイ・コンポーネント」より
オートマチック・ターンテーブルとしてのキャリアがよく生きた製品で、高い仕上げと信頼性のあるメカニズムの割りに価格が安い。付属のカートリッジも信頼できる。
瀬川冬樹
ステレオサウンド 35号(1975年6月発行)
特集・「’75ベストバイ・コンポーネント」より
シュアーM91EDの単売価格やオートメカの確実な動作を考えあわせると、割安なオートプレーヤーといえる。操作ボタン廻りのオモチャっぽい仕上げはうれしくないが。
岩崎千明
ステレオサウンド 30号(1974年3月発行)
「現在のマジックボックス オートチェンジャー」より
BSRはオートチェンジャーの専門メーカーとして、ガラードと並び、世界でもっとも長いキャリアを誇りしかも現在では象徴的存在たるガラードを抜き去って、世界一の生産台数を謳い、5万の人員を擁して大規模な形態を整え、英国バーミンガムきっての企業である。
その業績内容の優れた発展ぶりは、全英企業中にあってここ数年三位とは下ることなく、昨年は米国の音響メーカーとして意欲的なADCをも傘下に収めるという躍進は、凋落著しい英国企業中にあってひときわ目立ち輝く存在といえよう。
かつての強力なライバルたるガラードを抜き去った底力はといえば、それはやはりオートチェンジャーのメカニズムに対する意欲的な技術と開発力そのものにあったのである。
その優れた技術と、ハイファイ製品特有の企画性のうまさを端的に示しているのが、製品中の最高機種たる810Xである。
全体はメカニックな端正な直線と、黒の艶消しの品の良い豪華さを強調した仕上げでまとめられ、まったくいや味なく高級感を品良くかもし出して、しかも堂々たる風格すらにじむ完成度の高いデザインだ。
全体にかなり大きい感じを受けるものは、その長くスラリと横たわるアームのせいだろう。ヘアラインの磨き仕上げのストレートな角パイプアームは、実効長21・5cmと見た目だけでなく、全長も29・9cmとチェンジャーとしては長いものだ。
さらにこのアームを視覚的に長く仕立てているのは、カウンター・バランス・ウェイトのスライド範囲が前後に長いためで、これは国産のサテン、オルトフォンSPUなどの自重の重いカートリッジから最近の軽いものまでを、自由に組み合わせることを意味する。
グレースのアームでおなじみのメカで、ジャイロ機構とも呼ばれる上下左右ボールベアリングのジンバル支持マウントは、針圧調整をも内蔵して、マイクロギアーによって0gから4gまでを直読式で加圧でき、目盛は大きくみやすく実用上の狂いが少ない。このメカニズムがチェンジャー中でも、特に優れたBSRのアームのもっとも大きな特長ともいえるだろう。
アンチ・スケーティング機構も内蔵され、より大きな力を要する楕円針の場合と丸針の場合との二重目盛になっていて、アーム基部にツマミを配置している。
この810Xで特筆できるのは、なんといってもオートプレイの動作自体が高級プレーヤーたるにふさわしく、正確かつ優雅といえるほどにゆったりとスマートな物腰にある。
長いアームの動作は、ひとつから次に移るくぎりの停止がピタリと決まっていて、少しも機械とかロボット的な感じを残していないことだろう。これは日本舞踏とかバレーの動作を思わすほどだ。
それは全体の動作がゆっくりしている点にあるが、特にアームの上下の動きは独特のオイルによるもので、息をつめて操作しているという感じだ。
だから、演奏のスタートから音溝に針先のすべり込むまでの時間はやや長いほうで、実測で18秒かかる。この悠々と、しかし正確きまわりない動作こそ、かつてのガラードに変り、BSRの高級機種たる810Xがコンシューマーレポートの最上位のひとつにランクされる理由となったのであろう。
申し遅れたが、810Xは710と共に英国製では数少ないセンタースピンドルのみでレコード6枚を受け止める構造で、落下システムは直線的な細い外径6・6mmというスピンドル内に収められている。
ただ演奏が終ってレコードを外そうとする時、スピンドルを外して行なうというのは、スピンドルを再び通すよりは素早くできるかもしれないが、そうではないのがわかっていながら、何かこわれないかというイメージをもたれるのではないか気になる。
最近のコメント