Category Archives: コーラル

コーラル DX-ELEVEN

井上卓也

ステレオサウンド 76号(1985年9月発行)
「BEST PRODUCTS」より

 コーラルのスピーカーシステムは、伝統あるユニット専業メーカーとしての独自の技術を活かしたユニットを基盤にシステムアップされている特徴があるが、今回、発売されたDX−ELEVENは、同社初の4ウェイ構成、完全密閉型ブックシェルフシステムである。
 ユニット構成は、低域が項角の異なった2枚のカーボングラファイトを重ねたモノコックコーンで、ネック部分に円型のクボミ型メカ二カルフィルター付で高域をカットする構造を採用し、ボイスコイルはOFCエッジワイズ巻き。磁気回路はバランス型で、直径160mmのマグネットと銅キャップによる低歪設計が特徴。中低域は口径10cmの超大口径ハードドーム型で、商品化されたユニットとしては、世界的に見ても最大口径であり、このシステムの注目すべき部分だ。振動板は新開発の特殊な軽合金といわれ、詳細は不明。磁気回路は、低域同様のバランス型で銅キャップ付。銅クラッドアルミ線エッジワイズ巻きボイスコイル使用で、97dBの高能率を誇る。中高域は、中低域と類似した構造と振動板採用の口径60mmハードドーム型高域は、同じく新開発振動板採用の口径22mmハードドーム型である。
 クロスオーバーは、280Hz、4kHz、8kHzと発表されており、中低域と中高域のクロスオーバーが、使用ユニットの口径から予想される数値より大幅に高い周波数4kHzであることが特筆に値する。
 エンクロージュアは、前後バッフルが15mm厚パーチクルボードの2枚貼合せ使用。側板、天板、底板は、25mm厚パーチクルボード採用で、前後ともラウンドバッフル構造の完全密閉型。ネットワークは、低域が独立した2分割型で、音帯域にマッチした素材を投入した高性能設計で、高域と中高域共用の連続可変型アッテネーター採用。
 木製のスタンド上に置き、システムのあらましを聴いてみる。タイトで、少し抑え気味の低域をベースに、穏やかで安定した中低域、輝かしく明るい中高域とシャープな高域が、やや高域に偏った帯域バランスを聴かせる。使いこなしの第一歩は床に近付けて低域の量感を豊かにすることだ。コーラルのBS8木製ブロックに似た高さ20cmほどの木型ブロックに置き直してみる。かなり、安定型になるが、基本的な傾向は変らない。そこで、10cm角ほどの木製キューブの3点支持を試してみる。バランス的にはナチュラルであるが、中高域ユニットのエージング不足のせいか、表情が硬く、アコースティックなジャズなどでは抜けが良く聴こえるが、クラシックの弦楽器では、線が硬く、しなやかさが少し不足気味である。そこで、かなり大きくトータルバランスが変化する高域と中高域連動のアッテネーターを絞ってみる。
 変化は、かなりクリティカルではあるが、最適位置での音は、引締まった低域をベースとした、明るく抜けの良さが特徴である。
 使用上のポイントは、壁やガラスなどの部屋の反射の影響を受けやすいタイプと思われるため、カーテンなどで響きを抑え気味にコントロールした部屋で使えば、4ウェイらしい音が楽しめるだろう。

コーラル X-III

コーラルのスピーカーシステムX-IIIの広告
(オーディオアクセサリー 27号掲載)

XIII

コーラル T-100

井上卓也

ステレオサウンド 59号(1981年6月発行)
特集・「MCカートリッジ用トランス、ヘッドアンプ総テスト(上)」より

 今回の特集に集めた唯一の一万円未満のトランス。
 3Ω専用モデルでMC20IIとFR7fを使う。全般的にはFR7fのスケールの大きな音がマッチするようだ。聴感上のf特は少しナローレンジ型で適度にコントラストをつけて、やや硬質の音を聴かせる。ロッシーニは生硬さがあるが雰囲気をひととおり聴かせる。低域が不足するためか演奏の店舗が少し速くなる。この点は、中高域にクッキリ輪郭をつけるMC20IIの方が、スケールは小さいが小粒にまとまりバランスよく聴ける。ドボルザークはFR7f、MC20IIともに硬質になりすぎる。峰純子、カシオペアは平均的に聴かせるが、カートリッジの個性を引出すには至らない。SN比を稼ぎ、小粒にカリッとまとまる音が特長だ。

コーラル 15L-70, MD-70, H-70

コーラルのウーファー15L70、スコーカーMD70、トゥイーターH70の広告
(オーディオアクセサリー 21号掲載)

Coral_unit

コーラル X-VII

瀬川冬樹

ステレオサウンド 54号(1980年3月発行)
特集・「いまいちばんいいスピーカーを選ぶ・最新の45機種テスト」より

 この前後の価格帯の輸入品とくらべると、国産でこの価格ともなると、ずいぶん手のかかった作り方ができるようになると思う。少なくとも、あまり大きなパワーを加えないかぎり、そして、レベルコントロールをメーカー指定の位置から少し外して調整するかぎり、国産のこの価格帯としては、まあまあの出来ばえといえそうだ。まず、ウーファーの中低域をすっきりさせるためにやや高めに、背面を壁から離して置く。音量が小さめなら、中音、高音とも指定よりやや上げた方が(やや音が輝きぎみ、そして個性的になるが)音の抜けがよい。ただし、音量を上げるとこれではやかましく、中音を逆に絞りたくなる。このスピーカーもエラック系のカートリッジを嫌い、いわゆる素直な音でまとめる必要がありそうだ。組合せ、設置、レベル調整等でこまかく面倒をみてやれば、トゥイーター上限もわりあいよく伸びて、多少金属質の音色を持ってはいるが、眼前の開けた感じ、爽やかな印象が生かせる。

総合採点:7

●9項目採点表
音域の広さ:8
バランス:6
質感:6
スケール感:7
ステレオエフェクト:7
耐入力・ダイナミックレンジ:7
音の魅力度:6
組合せ:やや選ぶ
設置・調整:やや難し

コーラル X-VII

菅野沖彦

ステレオサウンド 54号(1980年3月発行)
特集・「いまいちばんいいスピーカーを選ぶ・最新の45機種テスト」より

 製品としてはかなり力のこもった入念な作りであるが、音は力感の再現に片寄って聴こえる。そのため、堂々とした迫力でロック調のポップスを聴くには効果的だ。全体のバランスもよくとれていて、性能的には高い水準を維持していることがわかる。しかし、繊細な要素、音楽の微妙なニュアンス、演奏表現の細やかな機微といったものの重要なプログラムソースの再生となると、残念ながら未だ洗練度が足りないようだ。ピアノのレガートが演奏されているようには響かず、一つ一つの音がぶつ切れになり、表現の雑な演奏に聴こえる嫌いがあるし、ヴァイオリンの音にもやや金属的な響きがつきまとい、トゥイーターかスコーカーの振動系の物性的な固有のキャラクターが出てしまう。シャシュの声も少々安っぽくキンキン響くし、オーケストラのトゥッティも華美にすぎる。もっと落ち着いた、しっとりとした味わいとして響くはずのレコードがそうした音になるということは、スピーカー設計上の一つの難題なのであろう。

総合採点:7

コーラル X-VII

黒田恭一

ステレオサウンド 54号(1980年3月発行)
特集・「いまいちばんいいスピーカーを選ぶ・最新の45機種テスト」より

 大型スピーカーらしいとでもいうべきか、たっぷりひびく。しかし、たとえば音像的な面で、もう少しひきしまってほしい。声のきこえ方は、❷のレコードでも、そして❸のレコードでも、いわゆるビッグマウスになっていた。メッツァ・ヴォーチェの声が大きくふくれ、フォルテではった声がいくぶん金属的にひびいて細くなるというのは、どうしたわけだろう。❸のレコードでのブラスのひびきは、むしろ横にひろがる傾向があり、ききてめがけて直進してくる力に不足していた。むろん、たっぷりひびくのは、それなりにこのましいことではあるが、それならそれで、個々のひびきがもう少し密でないと、たっぷりひびくこのましさがいきないということになるにちがいない。サウンドのキャラクターとしては、多少古風ということになるのかもしれぬが、なかなか特徴的なきこえ方がしたということはできるだろう。

総合採点:6

試聴レコードとの対応
❶HERB ALPERT/RISE
(物足りない)
❷「グルダ・ワークス」より「ゴロヴィンの森の物語」
(ほどほど)
❸ヴェルディ/オペラ「ドン・カルロ」
 カラヤン指揮ベルリン・フィル、バルツァ、フレーニ他
(ほどほど)

コーラル X-VII

コーラルのスピーカーシステムX-VIIの広告
(モダン・ジャズ読本 ’80掲載)

Coral

コーラル MC-8, MC-8S, T-100, FX-1, FX-22

コーラルのカートリッジMC8、MC8S、昇圧トランスT100、スピーカーシステムFX1、FX22の広告
(ステレオ 1979年2月号掲載)

Coral

コーラル H-60

井上卓也

HIGH-TECHNIC SERIES-3 世界のトゥイーター55機種の試聴とその選び方使い方(ステレオサウンド別冊・1978年冬発行)
「世界のトゥイーター総試聴《内外55機種をJBL・LE8Tとの2WAYで聴く》」より

 ダイアフラムにはプレス加工後に熱処理を施した18ミクロン厚のスーパージュラルミンを使い、ボイスコイルは高導電率アルミ線をエッジワイズ巻とした、本格的な設計のホーン型トゥイーターである。ホーンとイコライザーは仕上り精度が高い亜鉛ダイキャスト製で、精度が要求される部分は機械加工で仕上げてある。このH60は、音のキャラクターがスーパートゥイーター的であるため、クロスオーバー周波数は7〜8kHz以上で使うほうが好結果が得られるように思われる。

コーラル H-30

井上卓也

HIGH-TECHNIC SERIES-3 世界のトゥイーター55機種の試聴とその選び方使い方(ステレオサウンド別冊・1978年冬発行)
「世界のトゥイーター総試聴《内外55機種をJBL・LE8Tとの2WAYで聴く》」より

 メタライズドフィルムの軽量なダイアフラムを採用したドーム型ユニットの前面に円型のショートホーンを組み合わせたようなシンプルな構造をもつホーン型トゥイーターである。ホーンは、合成樹脂系の成形品であり、磁気回路にはアルニコ系のマグネットが採用され、12、000ガウスの磁束密度を得ている。このH30は、中小口径のフルレンジユニットの高域補整用として、約8kHzあたりから6dB/octのネットワークで抑え気味に使うことがポイントのように思われる。

コーラル H-100

井上卓也

HIGH-TECHNIC SERIES-3 世界のトゥイーター55機種の試聴とその選び方使い方(ステレオサウンド別冊・1978年冬発行)
「世界のトゥイーター総試聴《内外55機種をJBL・LE8Tとの2WAYで聴く》」より

 外観上では、H104と同じで区別がつきにくいが磁気回路のカバーの塗装の有無で両者の違いが判別できる。磁気回路はNKS5DGと純鉄の内磁型ヨークの組合せで、19、000ガウスの磁束密度はH104と等しいが、出力音圧レベルは2dB高い110dBと発表されている。ダイアフラムは、厚さ15ミクロンスーパージュラルミン製で、H104よりは軽量化されているようだ。クロスオーバー周波数を8〜10kHz程度として使う本格派のスーパートゥイーターである。

コーラル H-104

井上卓也

HIGH-TECHNIC SERIES-3 世界のトゥイーター55機種の試聴とその選び方使い方(ステレオサウンド別冊・1978年冬発行)
「世界のトゥイーター総試聴《内外55機種をJBL・LE8Tとの2WAYで聴く》」より

 肉厚を充分にとった開口径が小さなアルミ棒削り出しのホーンを採用したスーパートゥイーターである。ダイアフラムは、厚さ15ミクロンのスーパージュラルミン製で、熱風炉で焼入れ加工が施してある。磁気回路はアルニコ系磁石とカップ型ヨークを組み合わせた内磁型で、漏洩磁束が少なく、19、000ガウスの磁束密度を得ている。このユニットは、3ウェイ構成以上の高音用や完成システムの最高音用に使いたいが、優れたフルレンジ型ユニットの高音用としても魅力がある。

コーラル H-70

井上卓也

HIGH-TECHNIC SERIES-3 世界のトゥイーター55機種の試聴とその選び方使い方(ステレオサウンド別冊・1978年冬発行)
「世界のトゥイーター総試聴《内外55機種をJBL・LE8Tとの2WAYで聴く》」より

 指定クロスオーバー周波数3.5kHzと発表されているようにホーン開口径も比較的大きい、トゥイーターらしい製品である。ダイアフラムは、厚さ18ミクロンのスーパージュラルミンでボイスコイルはアルミ線のエッジワイズ巻、ホーンは旋盤加工のアルミ棒削り出しでハイパーボリックカーブを採用している。磁気回路はアルニコ系磁石とカップ型ヨークで15、000ガウスの磁束密度を得ている。フルレンジユニットからマルチウェイ方式の高音用まで幅広く使えるユニットだ。

コーラル H-1

井上卓也

HIGH-TECHNIC SERIES-3 世界のトゥイーター55機種の試聴とその選び方使い方(ステレオサウンド別冊・1978年冬発行)
「世界のトゥイーター総試聴《内外55機種をJBL・LE8Tとの2WAYで聴く》」より

 コーラルは、国内初のホーン型トゥイーターHH2010を製品化した伝統を誇るメーカーであるが、第2弾製品がこのH1で、発売以来、既に20年程度の異例ともいえる超ロングセラーを続けている。アルミダイキャスト製のホーンはバッフル開口径が89mmと大きく、バッフルマウントとすれば、かなり低い周波数から使える特長がある。音のキャラクターが少なく、30cm口径程度以下のウーファーと2ウェイ構成で使うのが、もっとも相応しい使い方のようだ。

コーラル 4L-60, H-30, H-40, HD-60

コーラルのスピーカーユニット4L60、H30、H40、HD60の広告
(オーディオアクセサリー 8号掲載)

4L60

コーラル CX-3

菅野沖彦

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ ’77ベストバイ・コンポーネント」より

 安価なシステムとしては、きわめて入念につくられていて、アイデアもよく、高く評価したいもの。20cm口径のウーファーと6.5cm口径のコーントゥイーターの2ウェイというオーソドックスな構成だが、トゥイーターの角度は、可変式となっている。明るく抜けのいい音は、響きが美しく魅力的である。

コーラル FX-10

井上卓也

ステレオサウンド 42号(1977年3月発行)
「SOUND QUARTERLY 話題の国内・海外新製品を聴く」より

 マルチウェイシステムとは別に、コーラルは、全域ユニットをたえず作りつづけていることに特長があるメーカーである。
 このモデルは、F60シリーズとして知られる一連の全域ユニットのなかの、10F60を、トールボーイ型のバスレフエンクロージュアに入れたシステムで、全域型として使うが、さらに、ワイドレンジ化へのグレイドアップのために、トゥイーターを取付可能なスペースが、あらかじめ用意されている。このためのユニットには、ホーン型のH60とドーム型のHD60があり、H60には、スラント型音響レンズAL601を、さらに追加できる。
 このシステムは、全域型ユニットファンならずとも、何故か、ホッとするような安定感のあるスピーカーらしい音である。帯域は広くはないが、表情がナチュラルであり、伸びやかさもある楽しめる音である。

コーラル CX-3

井上卓也

ステレオサウンド 39号(1976年6月発行)
「SOUND QUARTERLY 話題の国内・海外新製品を聴く」より

 このシステムは、比較的に小型のスピーカーシステムだが、ユニークな発想をベースとして開発されたメカニズムをもっていることが特長である。
 エンクロージュア上部は、階段状になっており、その部分にトゥイーターが取付けてある。一見したところでは、海外製品に古くからあるスピーカーユニット間の位相差をコントロールするタイプと思われやすいが、ここではトゥイーターユニットが左右方向に、それぞれ90度首を振ることが可能であり、アーチ状の金属の上を前後に移動すれば、上下方向にも±15度の間で角度をコントロールできる。
 これにより、リスニング位置で最良のステレオフォニックな拡がりと、シャープな音像定位が得られるように調整が可能とされているが、ややデッドな部屋などでは、このメカニズムを使って細かく追込んでいけば、かなり、良い結果が得られるものと思われる。
 エンクロージュアは、トゥイーターユニット取付部分の後が開口となっている特殊なバスレフ型で、ウレタン・メタリック塗装仕上げである。ユニット構成は、JBLのLE8Tを想い出すようなメカニックなデザインをもった20cmウーファーと、コーン紙に、コーラルで新開発されたコーティングをした、6・5cmトゥイーターを組み合わせた2ウェイシステムで、爽やかで活気のある音を聴かせてくれる。

コーラル 777E, 666EX

井上卓也

ステレオサウンド 39号(1976年6月発行)
特集・「世界のカートリッジ123機種の総試聴記」より

 666EXは、中低域の量感が豊かで質感の表現が甘くなり、全体の印象はややウェットなタイプと感じられる。表情がおだやかなのは特長となるが、音楽がややムード的に流れる傾向があり、重い音を軽く表現する面がある。音場感はよく拡がるが、定位は明快なタイプではなく、広いホールのライブレコーディングを聴いているようだ。いま少し、アクティブな感じが欲しくなる音だ。
 777EはMC型で、T100トランスを使用した。この音は基本的にはウェット型だが、中域の粒立ちが少し粗いようで、ヴォーカルではややハスキー調となり、押出しがよく迫力がある。ただ、低域は表情が甘く、質感を重く聴かせるために、どうにも音が決まりづらい面があり、中域の特長が活かしきれないのが残念な点だ。

コーラル 777E, 666EX

岩崎千明

ステレオサウンド 39号(1976年6月発行)
特集・「世界のカートリッジ123機種の総試聴記」より

 スピーカーの専門メーカーのコーラルのことだ。スピーカーと同じようにコイルと振動系からなる同じような変換器を作るのだから、当然優れたものが出てくるだろうと判断するわけだ。事実MC型の777Eにおいて、少々粗いが力強さも量感もあるサウンドが、かなり良く出ていて、いかにもMC型らしい内容の濃さを思わせる。しかも、これだけのカートリッジが、今までMC型はおろかカートリッジの経験がないのだから。
 価格を考えれば決して高くはないにしても、これだけの名のあるメーカーなら、もう少し品の良さが音の中にあっても、と思う。MM型の666EXの方は、これもCD−4対応ということが建前のためであろう。本当はもう少し価格を下げても良かったのではないか。せっかくの高域の冴えも、少々浮足立っている感じ。

コーラル 666-EX, 777-EX, 777-E, 777-S

コーラルのカートリッジ666EX、777EX、777E、777Sの広告
(オーディオアクセサリー 1号掲載)

コーラル

コーラル CX-7

コーラルのスピーカーシステムCX7の広告
(オーディオ専科 1975年4月号掲載)

CX7

コーラル BETA-8

岩崎千明

ステレオサウンド 32号(1974年9月発行)
「AUDIO MY HANIECRAFT C・Wホーンシステムの制作と試聴記(下)」より

 20cmフルレンジユニットとして、国内の中でもおそらく、一番高価な部類に入るであろうこのユニットは、非常に手の込んだコーン紙で、その品質管理などは大変なものだろう。このユニットは高音域において、このユニット自体の出し得る低音のマキシマムに充分マッチし得る高域を持つ。そのためにこのユニットは、普通の使い方では高音がかなり強調されている、と受けとめられており、BETA8の使い方の難しさ、ということばになって伝えられているといえよう。
 すでにこのユニットに関しては、メーカー自身の「BL20D」という製品がある。それは今回作った2個付バックロードに対して、に対して、ユニット1個使用という点での相違点はあるにせよ、構造はきわめて似ているので、このシステムでの場合にも当然良い結果が得られるだろうと予測される。
 今回の場合、2個のユニットを使用したことで高域のやかましさと一口に言われる音域上のバランスが抑えられたことは事実だ。より好ましい状態に鳴ってくれたといえよう。しかし、それでもなお、今日ここで聴いた中では6kHzから10kHzの高域において非常に鮮かさが目立つ。この鮮かさに対比される低域は、デュアル・バックロードホーンにより非常に豊かな力量感をもち、さらに質的にシャープさをも充分に加え、立上りの良い、切れ味の鋭い、しかも雄大なスケールを再現する低音といったところで、その点ベストだ。
 しかし、全体の音のバランスという点からいえばやや高い音の鋭さが気になる。それは「鮮かさ」という点ではプラスであるにしろ、鋭さという形で感じられてしまう。だからユニット前面にパンチングメタルとかフォームラバーの塊による、ディフューザーを付加し、高域のエネルギーを拡散させるのが有効だ。アンプのトーンコントロールを操作するよりも音響的に処理する方が優れたバランスを得られるのではなかろうか。高域の鮮鋭さに対して、中音域での豊かさがちょっと物足りなく感じられ、どうも低音の豊かな冴えた雄大な感じを生かしきれず、もどかしさを感じさせてしまう。いわゆるアンプの中域を上げると、このユニットの持つ中高域の鮮かさを助長させてしまうので、中域を上げるというよりも、中低域を上げるというほうが望ましい。さらに中低域でも低音に類する中低域ではなく、中音に近い中低域、周波数でいうとたとえば300Hzから600Hzまでのオクターブぐらいの音をうまく強められるとすれば、より高いクォリティを望めよう。低音の豊かさが印象的なだけによけいそれを感じさせる。
 これは前記のような使い方での改善が期待できるという結論するのが大変なだけに、充分に使いこみ馴らすことが大切であろう。
 音のひとつひとつの質的なものが非常に高く、国内のユニットの中では特にバックロードホーンに適しているだけに、バランス的なプラスα(アルファ)が欲しいと感じさせてしまう。それを完成させた結果においては、かのJBLの持っている良さを凌ぐかもしれない。またはエレクトロボイスSP8Bの持っている良さと共通している優秀性ともいえるだろうか。

コーラル FLAT-8SD

瀬川冬樹

ステレオサウンド 29号(1973年12月発行)
特集・「最新ブックシェルフスピーカーのすべて(下)」より

 明るい白木とまっ黒のネットのコントラストがすばらしく印象的で、国産品の中でも垢抜けたデザインが抜群といえる。そういう感じが音質にも現われてくれれば言うことはないのだが、長所の方から先に言えば、ステレオの音像定位が素晴らしく良い。たとえば、ソロ・ヴォーカルが中央にぴたりと定位し、音像が決して大きくならず、バックの伴奏の広がりとよく分離する。こういう定位の良さは、シングル・スピーカー独特の長所で、2ウェイ、3ウェイの製品にはなかなか少ない。しかしその長所をあげるには音質の上でのマイナス点がやや多すぎる。本来FLAT8のようなタイプのフルレインジ型のユニットを、こんな小さなキャビネット(といってもブックシェルフ型ではごく標準的だが)に収めれば低音がまるで出ないのが当然で、従って全体に音の表情が硬く厚みや豊かさのない、金属的で薄手の音になりやすい。背面に High Adjust というジョイントがあって高音を抑えてあるが、むしろそれは取り除いてアンプのトーンでハイを抑える方がまだ良かった。低音を増強したり、置き場所をいろいろ変えてみたりしたが、ほとんど床の上に直接置くぐらいでどうやらバランスがとれた。

周波数レンジ:☆☆
質感:☆☆☆
ダイナミックレンジ:☆☆
解像力:☆☆
余韻:☆
プレゼンス:☆☆
魅力:☆☆

総合評価:☆☆