Category Archives: トリオ/ケンウッド/ケンクラフト

トリオ KT-7700

岩崎千明

週刊FM No.8(1976年発行)
「私の手にした新製品」より

 昔からチューナーはトリオっていわれてきたんだから、今度の高級品KT7700、悪かろうわけないよってなことをつぶやきながら、ケースから取り出して机の上にどんと置いて、やっぱりため息が出ちゃう。この新型は、とてもいいのだ。無駄な飾り気や視覚的夾雑物がない。つまり、あくまで機能本位でまとめられたパネルが実にすばらしく、さすがにチューナーのベテラン、トリオの最新型といえるほど外観的デサインの完成度の高さ。こりゃきっといい音がするぞと期待。プリ・アンプにリード線をつなぎ、付属のフィーダー・アンテナをちょいとつけて……またぴっくり。感度の高さ、調節のしやすさ。ダイアル・ツマミのタッチなど「いかにも高級チューナーの手ざわりが、スムースな回転とダイアル指針のすべるような働きではっきりと知ることができる。しかもメーターの針の動きがアンテナの高さに応じるようにシグナル・メーターが振れ、センター・スケールの同調メーターも、中点を中心としアンテナ入力に応じて左右に大きく振れるので、正しい中点を確実に探し出すことができるのだ。ダイアル目盛が長く、しかも等分目盛なので同調点を正確に求めることができる。
 かなりほめてしまったがまだ足りないくらいなのが「音」だ。力強くぐいぐいと量感もあって、しかも鮮明さを溢れるほど感じさせる。

ケンウッド LSF-777

菅野沖彦

ステレオサウンド 121号(1996年12月発行)
特集・「ザ・ベストバイ コンポーネントランキング710選」より

 ケンウッドの新しいLSFシリーズの上級機。下に555、333が存在する。UDと称するユニット・レイアウトを採用して、点音源の理想を追求したという、要するに、リスナーの耳に到達する時間を全帯域にわたって揃える思想であって、そう目新しいものではない。しかし効果はその自然な音触に現われている。

ケンウッド DPF-5002

菅野沖彦

ステレオサウンド 121号(1996年12月発行)
特集・「ザ・ベストバイ コンポーネントランキング710選」より

 ケンウッドのシステム・シリーズの一つで27cm幅のCDプレーヤー。下に5002もある。このメーカーの製品はターゲットとする対象がマニア層であるように、よく練られているもので、商品の性格や価格に比して音質がいい。ディジタル回路も機構も入念なもので、量産機らしからぬこだわりがあるお買得なものだ。

ケンウッド DP-1001G, KA-1001G

ケンウッドのCDプレーヤーDP1001G、プリメインアンプKA1001Gの広告
(サウンドレコパル 1994年夏号掲載)

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ケンウッド DP-2000

井上卓也

ステレオサウンド 77号(1985年12月発行)
「BEST PRODUCTS」より

 ケンウッドブランド・トップランクCDプレーヤーとして開発されたDP2000は、メカニズムとエレクトロニクスの技術が程よく調和した製品である。
 まず、筐体部分は、ボンネット部分、サイド部分が3mm厚の高剛性アルミ合金で作られ、とかく無視されがちの脚部も、DP1100IIを受継いだ吸着型タイプを採用するなど、かなり念入りに防振対策が行われている。
 電気的には、ディスクのキズやほこりに強く、高いトレース能力を両立させた独自のサーボゲインコントロール回路の採用、16ビット高性能デジタルフィルタ㈵とD/A変換後のアナログフィルターに音楽信号が余分な素子を通らないFDNR型5次バターワース型の採用をはじめ、サーボ系やデジタル系からの電源を通じての干渉を除く目的のD/Aコンバーター部専用トランスの採用などに特徴がある。
 機能面は、10キーによる任意のトラック、インデックスからの演奏、前後方向の頭出し、順方向と逆方向の早送りとキューイング、16曲のプログラムメモリーと区間メモリー、リピート機能、曲間の空白時間を4秒作るオートスペ−ス、次の演奏の頭で自動的にポーズするオートポーズや、1曲の経過時間、総経過時間、総残り時間の3種の時間表示などの一般的機能の他に、デジタルデータの段階で位相を180度反転させるインバート出力スイッチを備えているのは、メリディアンPRO−MCDのアブソリュートフェイズ切替と同様に非常にユニークな横能である。
 クラシック系、ジャズ系、ポップス系などのCDを用意して試聴を始める。あらかじめ電源スイッチはONとしてウォームアップさせていたが、ディスクをローディングして演奏を始めるとサーボ系の動作が安定化するまでの、いわゆる音の立上がりの傾向は、ソフトフォーカス型から次第に焦点がピッタリと合ってくる標準的な変化であり、約1分半ほどで本来の音となる。
 試みに、ディスクを出し入れして、ディスクのセンターリングの精度をチェックしてみた。これによる音の変化はかなり大きいが、現状としては平均的といえる。適度にサーボ系がウォームアップし、平均的なディスクのセンターリングの状況に追込んだときのDP2000の音は音の汚れが少なく抜けの良い一種独得の華やいだ若さと受取れる音が特徴である。この音の傾向は、リズミカルなジャズやポップス系のプログラムソースには好適のタイプだが、クラシック系とくにドイツ系のオーケストラの音を楽しむためには、適度に剛性が高い置台上にセットし、脚部と置台との間に各種の材料のスペ−サーを入れたりしてコントロールして使いたいシステムである。試みにヤマハのスピーカーチュー二ングキットを使ってみたが、音の変化はシャープで充分に調整は可能だ。

トリオ LS-990A

井上卓也

ステレオサウンド 72号(1984年9月発行)
「BEST PRODUCTS」より

 トリオから、デジタルオーディオに対応したスピーカーの新技術、クラスAサスペンションを開発し、これを採用した3ウェイシステムLS990Aが発売された。
 従来からも、トリオのスピーカー技術は軽質量コーン採用の完全密閉型とか、高剛性思想に基づいたリブを付けた紙製の高剛性コーンのウーファーの採用など、ユニークな開発を特徴としている。今回の、クラスAサスペンション方式とは、ウーファーのコーン支持部分の一部である、いわゆるダンパーとかスパイダーといわれる部分を、ボイスコイルが前方に動くときと、後方に動くときと、完全に同じ動作となるようにし、かつ微少入力から大入力時までの直線性を高めるために、対称型のスパイダーを2枚組み合せて使うタイプのことを意味している。簡単に考えれば、従来からの手法であるダブルサスペンション型の発展型と考えてよいものだ。
 ちなみに、かつてトリオでは、コーン外周のサスペンションであるエッジ部分に、前後方向の振幅に対して対称的動作をさせるために特殊なS字型をした形状のタイプを開発し、採用したことがあったが、今回はスパイダー部分のみであり、エッジ部分はいわゆる在来型である。
 このところ振動板材料に新素材を導入する傾向が一段と強まっているが、トリオでは従来の高剛性思想に基づいた特徴的なリブ入りパルプコーンを脱皮して、今回はウーファーコーン材料に、HRクロスカーボンを採用している。この材料は、同社のLS1000システムでスコーカーとトゥイ−ター振動板に既採用のものだ。今回はリブ強化パルプ層、高発泡樹脂層をサンドイッチ3層構造として採用されているようだが、資料にはその詳細は発表されていない。
 スコーカーは、ボイスコイル部分を含め一体成形をしたチタンの表面に窒化系セラミックTiNをイオンプレーティングしたドーム型に、特殊処理をしたコーンをつけた複合型。トゥイーターは、スコーカードームと同様な材料によるハードドーム型だ。
 ネットワークは、相互干渉を除去した、このクラスには少ない、高・中・低の3ブロック分割型。エンクロージュアは、バッフル板に、18mm厚と12mm厚を貼り合せに使用し側板と裏板は12mm厚とした、いわばバッフル重視型の、折曲げポート付のバスレフ型である。
 本機の音は無理のない帯域バランスとメリハリの効いた輪郭のクッキリとした力強さが特徴である。あまり音を抑えてキレイに鳴らそうという傾向が感じられず、ストレートさが良さであり魅力だろう。個性型のためか、あまり置き場所の影響も受けず、活気のある鳴り方をするため、分かりやすくその商品性は高いと思う。

ケンウッド L-02A

井上卓也

ステレオサウンド 72号(1984年9月発行)
特集・「いま、聴きたい、聴かせたい、とっておきの音」より

 管球アンプ時代のアンプといえば、ブリアンプとパワーアンプという、セパレート型アンプが一般的なタイプであり、それもプリアンプと専用電源部、パワーアンプと専用電源部という構成のものも多く存在し、プリメインアンプ、つまり、プリアンプとパワーアンプを一つの筐体に組込んだモデルが特殊な存在であった。
 ステレオ時代に入ると次第に管球アンプもプリメインアンプの形態をとることが多くなり、ソリッドステート化されるに及び、プリメインアンプがアンプの主流を占めるようになる。
 その基本的な回路構成は、フォノイコライザーアンプ、フラットアンプ兼トーンコントロールアンプとパワーアンプという3ブロック構成がスタンダードなタイプである。シンプル・イズ・ベストの思想とアンプ構成の単純化による原価低減、さらにMCカートリッジが主流を占めるなどの背景により、現在のプリメインアンプは、ハイゲイン・フォノイコライザー部とパワーアンプの2ブロック構成がベーシックな回路構成になっている。
 一方において、シンプル・イガ・ベストの思想に基づいてアンプとしてのクォリティの向上を追求する傾向が古くから一部に存在し〝イコライザー付きパワーアンプ〟をキャッチフレーズとして最初に開発されたモデルが、たしか、ラックスの5L15であったように思う。
 この、二つのプリメインアンプの動向をベースに、ここで、取上げた、ケンウッドL02Aを考えてみることにしたい。
 もともと、トリオのプリメインアンプには、初期から利得配分で他社にない特徴があったようだ。ソリッドステートアンプが完成期を迎えた時期のトリオの名作プリメインアンプといわれたKA6000では、フォノイコライザーアンプ、ゼロ利得のトーンコントロールアンプと、ハイゲインパワーアンプの3ブロック構成で、パワーアンプの入力電圧は、たしか0・2V程度でフルパワーとなる、いわば英クォードのセパレート型アンプ的な特徴があった。つまり簡単に考えれば、一般的には20dB程度の利得をもつ、フラットアンプ兼トーンコントロールアンプを通すことによる音質の劣化を避けた点に特徴があるともいえる設計である。
 L02Aは独立した電源部とプリメインアンプ部の2ブロック構成をもち、機械的にアンプ部と電源部を一体化してブリメインアンプ化も可能であり、その回路構成は、ハイゲイン・フォノイコライザー部とパワーアンプ部の2ブロック構成という特異性の強いモデルである。各種の条件から考えて、やはりトリオ/ケンウッドのブランドにおいてもっとも誕生しやすい土壌があったと考えてよいだろう。
 この、特異ともいうべき超高価格な製品を、ブリメインアンプの最高峰に位置するモデルとして市民権を獲得し、世に認めさせるとともに、営業的にもそれなりの成功を収めたことは、その性能に裏付けさせられた音質面の優位性、ブランドの信頼感の高さに加えて開発スタッフのオーソドックスなアプローチと努力の賜として賞讃を送りたいものである。
 一方において、L02Aはプリメインアンプという形態を採用しているだけに、これとペアになるチューナーの存在も大きな意味を持つことになる。この点でもFMのトリオに相応しく、FM専用チューナーL02Tの存在は不可欠なものだ。
 ちなみに、このL02Tの音は、数多くの高級FMチューナーが存在するが、バリコンを同調回路に使うFMチューナーとして、かつてのマランツの♯10Bの再来を思わせる素晴らしさであると思う。
 L02TとL02Aのペアは、個人的にも、リファレンスFMチューナーとリファレンス用プリメインアンプとして、長時間にわたり、その大役を果している。L02Aは、CDや、ハイファイVTR登場以前の開発であるため、現状ではややファンクション系の不足があること、セパレート電源部方式を採用しているため、アンプと一体化しても、電源供給ラインにコネクターが入ってしまう点などの小さな問題点も存在はするが、上昇量が切替可能であり、パラメトリックイコライザー的に周波数が可変できるラウドネスコントロールは、各種のスピーカーをコントロールルするときに予想以上に有効に働く機能であり、ナチュラルな帯域バランスと、素直な音色、ストレートで伸びやかであり誇張感のない音は、基本的なクォリティが高く、作為的な効果を狙った印象が皆無であるのが好ましい。
 また、いろいろと話題を提供した独自の㊥ドライブ方式も、スピーカーコードの影響を皆無とすることは不可能であるが、スピーカーシステムをアクティブにコントロールし、追込んで使いたいときにはかなり有効な手段であると思う。
 L02Aは、プリメインアンプの頂点をきわめた立派なモデルであるが、マルチプログラム時代になり、高品位、ハイレベル人力のプログラムソースが増加する今後のオーディオにとっては、セパレートアンプよりも合理的なアンプの原型として、この形態は、見直してしかるべきものと思う。

トリオ KA-1100

井上卓也

ステレオサウンド 67号(1983年6月発行)
「BEST PRODUCTS 話題の新製品を徹底解剖する」より

 トリオの新製品プリメインアンプKA1100は、昨年秋に発売されたKA2200、KA990シリーズの中間に位置する製品である。
 基本的な構想は、同社のプリメインアンプのトップランクに位置するL02Aでの成果を踏襲したもので、デュアルヘッドイコライザー、ダイナミックリニアドライブ(DLD)回路、独自の㊥ドライブなどが導入されている。
 フォノイコライザー段は、カートリッジの出力、インピーダンスが大きく異なるMMとMCの各々に最適な増幅段を独立させ、これとシリーズになる増幅段をスイッチで切替えてペアとし、ワンループのイコライザーとする方式で、従来のヘッドアンプ方式やゲイン切替型とくらべ、高SN比、低歪で、低インピーダンスMCをダイレクトで充分に使いこなせる特徴がある。
 トーン回路は独自のNF−CR型で変化がスムースであり、独立した周波数と変化量が各々3段切替のラウドネスコントロールを備えている。また、機能面でのフロント・リア切替型のAUX端子を前面にもつ点は、CD、PCMプロセッサー、ハイファイビデオなどへの対応を容易にしている。
 DLD回路は、小パワーアンプと大パワーアンプを内蔵し、両者の特徴を組み合わせて使う独自な方式で、織細さとダイナミックさを両立させたものといわれている。また、DLDは低インピーダンス負荷に強く、8Ω負荷ではハイパワーだが、4Ω負荷ではさしてパワーが増さない高出力アンプが流行したり、アンプのパワーを8Ω負荷時より有利な6Ω負荷表示にしようという傾向がある現状からは、2Ω負荷でも連続出力で230Wが得られる点は、注目に値するものだ。なお、電源部は、各ステージ別の巻緑から供給するマルチ電源方式だ。
 K1100は、少し腰高だが、適度にソリッドで引き締まった低域をベースに、明るい中域とストレートな高域がバランスした音だ。音色は明るく、表現はストレートであり、音の粒子は平均的だが、音像は比較的に前にくる。このタイプの音は、ホーン型スピーカーでは、輪郭が明瞭で効果的に聴こえる。優れた回路上の特徴が充分に活かされたなら、現状でも充分な魅力があるだけに、素晴らしいアンプになるであろう。今後に一層の期待が持てる製品だ。

トリオ KT-1100, KT-990

トリオのチューナーKT1100、KT990の広告
(オーディオアクセサリー 27号掲載)

KT1100

ケンウッド L-02A

黒田恭一

ステレオサウンド 64号(1982年9月発行)
特集・「スピーカーとの相性テストで探る最新プリメインアンプ11機種の実力」より

ヤマハ・NS1000Mへの対応度:★★★
 よくぞこのスピーカーからこれだけ艶があってみずみずしい音をきかせてくれたと思わないではいられなかった。rrd きけた音はなによりもまず鮮度の高さで魅力があった。Aのレコードできけるホルンの音は力をもってひろびろとひびいた。きめこまかさにも不足していなかった。
タンノイ・Arden MKIIへの対応度:★★
 刺激的な音をださないところはこのましいが、音像はいずれのレコードにおいても大きめであった。ただついに音の輪郭をぼけさせないところにこのアンプのよさがあるというべきであろう。しかもそれぞれの音の提示のしかたが積極的であいまいにならい。
JBL・4343Bへの対応度:★★★
 Bのレコードでのきこえ方はこれまでの中でもっともすぐれていた。三つの楽器のひびきのバランスもよく、力強い音の提示にもすぐれていた。ただCのレコードでは、たとえばヴァイオリンの音がいくぶんきつくなり、Aのレコードでも声が硬めに感じられなくもなかった。

試聴レコード
Ⓐ「パヴァロッティ/オペラ・アリア・リサイタル」
パヴァロッティ(T)、シャイー/ナショナルPO[ロンドンL25C8042]
Ⓑ「ジミー・ロウルズ/オン・ツアー」
A面1曲目「愛さずにはいられぬこの思い」を使用
ジミー・ロウルズ(P)、ウォルター・パーキンス(ds)、ジョージ・デュビビエ(b)[ポリドール28MJ3116]
B面1曲目「ラヴ・ミー・オア・リーヴ・ミー」を使用
Ⓒ「ハイドン/6つの三重奏曲Op.38」
B.クイケン(fl)、S.クイケン(vn)、W.クイケン(vc)[コロムビア-アクサンOX1213]
第1番二長調の第1楽章を使用

トリオ LS-1000

トリオのスピーカーシステムLS1000の広告
(モダン・ジャズ読本 ’82掲載)

LS1000

トリオ KP-800

トリオのアナログプレーヤーKP800の広告
(別冊FM fan 33号掲載)

KP800

トリオ KHA-50

井上卓也

ステレオサウンド 60号(1981年9月発行)
「MCカートリッジ用トランス/ヘッドアンプ総テスト──(下)」より

 セパレート型電源方式を採用した独自のハイスピード設計によるヘッドアンプ。′
 帯域バランスは、アンプとしてはワイドレンジ型ではなく、ナチュラルに伸びたレスポンスだ。音色はニュートラルでキャラクターは少なく、表情は少し抑え気味だが、素直さが特徴。
 MC20は、ややハイエンドを抑えたバランスと穏やかで落着いた表情が特徴。音場は距離をおいて拡がるタイプで音像は少し大きい。
 305は、素直に高域が伸びた適度に軽快でスムーズな音だ。音の分離も水準以上でMC20の鉄芯入りとの差を一応聴かせる。ドボルザークは少し難しいが、他の3曲はそれなりに楽しめる。
 ヤマハMC5にすると少し高域は穏やかだが低域の独特味は明瞭に聴かれる。

ケンウッド L-08M

菅野沖彦

’81世界の最新セパレートアンプ総テスト(ステレオサウンド特別増刊・1981年夏発行)
「’81世界の最新セパレートアンプ総テスト」より

 L06Mの上級機種で、同じくモノーラルアンプである。170Wの出力を持ち、別売の追加電源が用意されているというユニークなものである。これによって、アンプの心臓を強化して音の品位を改善しようというマニアックなコンセプトである。もちろんシグマドライブを方式を採用している。デザインはユニークなもので、ゴム足がなかったらどう置いてよいか迷うだろう。好き嫌いは別として大変面白いし現代的で美しくもある。

音質の絶対評価:8.5

ケンウッド L-06M

菅野沖彦

’81世界の最新セパレートアンプ総テスト(ステレオサウンド特別増刊・1981年夏発行)
「’81世界の最新セパレートアンプ総テスト」より

 トリオが力を入れているシグマドライブ方式のモノーラルアンプで、120Wの出力をもつ。DCアンプ構成で、内外ともに最新アンプらしい斬新な雰囲気をもっている。少々冷たく感じられるが、パワーアンプとしての一つの方向ではある。ただの立方体という味気なさを逆手にとってすっきりとまとめている。コントロール機能をもたないパワーアンプだから、こうしたコンセプトも否定できないだろう。もちろんメーターもない。

音質の絶対評価:8

ケンウッド L-08C

菅野沖彦

’81世界の最新セパレートアンプ総テスト(ステレオサウンド特別増刊・1981年夏発行)
「’81世界の最新セパレートアンプ総テスト」より

 すっきりと現代的なデザインにまとめられているし、設計思想も斬新で、いかにもデザイナーの仕事らしい仕事ではある。しかし、滲み出るような質感の高さや、緻密な仕上げの高級感といったものがなく、どこか、モダンな感覚が、その裏腹にもっている安っぽさや殺風景な面のほうが強く感じられ、私個人としては魅力を感じない。操作性も少々気取り過ぎていて、かえって扱いにくい面もあり、フィーリングに重厚さはない。

音質の絶対評価:5

ケンウッド L-07D

菅野沖彦

別冊FM fan 30号(1981年6月発行)
「最新プレイヤー41機種フルテスト」より

概要 このプレイヤーシステムは完全にアームまで一体となったもので、カートリッジレスである。このケンウッド、つまりトリオの作ったプレイヤーシステムは、非常に力作だ。このプレイヤーの思想というのは、できるだけ剛性と重量でがっちり固めていって、そして異種共振を持った材料を組み合わせることによって、共振点を互いにずらし、プレイヤーとして必要な良い共振モードを作り出そうということ。つまり特定の周波数に大きな共振が出ないような形にしていこうという、リンリンデックとかトーレンスのフローティングマウントシステムとは反対の考え方だ。日本の高級プレイヤーシステムに対する最近の考え方の主流を占めているものだ。そのために非常に凝った構造となっている。アームそのものにもう少し望みたいところもあるが、これは力作というにふさわしいプレイヤーだ。各部の構造、仕上げともに非常にしっかりとしており、精度も高い。アームの高さ調整などもギアでもって回転させる方式でスムーズに行える。その結果、必然的にできたデザインというのは非常にメカメカしいものになって、少々レコードを聴くというムードからはかけ離れてしまった。私自身も大変に良いプレイヤーだと思って、かなりの期間使ってみたが、もうひとつ愛着が持てない。力作であるということを十分認めながらも、デザインには注文をつけたいと思う。
音質 音質面について、ちょっと細かくレポートしていくと、高音域がやや華やぐ傾向にある。やや硬く、輝きがつく感じがあるが、しかしそれほどきつくはない。低音に関してはなかなか妥当なエネルギーバランスで、楽器のそれぞれの個性的質感をよく出している。例えばベースなどは決してゴリゴリとしたベースにはならないし、ドスンドスンというような、ただただワンノートベースのような重い響きにならない。ベースの響きは非常によく出てきている。はずみもあるし、弦楽器らしい柔軟性もよく出ている。なかなか解像力の優れたプレイヤーだけれども、かといって決して猛々しい音ではない。どちらかというと妥当な、むしろおとなしい音といってもいいかと思う。解像力が非常に明快なものだから、よくこのプレイヤーはガチッとした音というように評価されている場合が多いのではないかと思うが、それは見た目からもきているのではないだろうか。実際には音としてはそんなに硬い音ではないと私は思っている。ある意味ではエネルギーバランスとしては、レファレンス的なバランスを持っている。つまり標準的なバランスを持っているといってもいいのではないか。オーケストラを聴いてみても、管の音色の鳴らし分け、あるいは弦楽器の質感の鳴らし分けもなかなかよく、自然だ。トゥッティでのエネルギーバランスも非常によくとれていると思う。音場感、プレゼンス、ステレオフォニックな広がりとか奥行き、あるいは空間の再現、このへんもまずまずだ。飛び抜けてハッとするような次元は越えていないけれども、高級プレイヤーとしてはまず十分な再現能力を持つものではないかと思う。多くのプレイヤーは見た目と音の印象が非常に似ているけれども、このプレイヤーだけは見た目は少々ごつくてメカメカしすぎるが、音は標準的な、妥当なエネルギーバランスをもっているといえる。

トリオ KRX-5

トリオのカセットデッキKRX5の広告
(オーディオアクセサリー 21号掲載)

KRX5

トリオ AVENUE 800(LS-100, KA-800, KT-800, KP-F7, KX-900)

トリオのシステムコンポーネントAVENUE 800(スピーカーシステムLS100、プリメインアンプKA800、チューナーKT800、アナログプレーヤーKP-F7、カセットデッキKX900)の広告
(オーディオアクセサリー 1号掲載)

Avenue800

ケンウッド L-01A

瀬川冬樹

ステレオサウンド 57号(1980年12月発行)
特集・「いまいちばんいいアンプを選ぶ 最新34機種のプリメインアンプ・テスト」より

●総合的な音質 あまり作為を感じさせない、バランスのよい、基本的な音の質の高さに支えられた滑らかな音を聴かせる。いわゆる音の艶をことさら強調したり、力や切れこみを誇示するようなことがないが、時間をかけて聴きこむにつれ、音の質がきわめてよいために、ひとつひとつの音がまったくごまかしなく姿を現わしてくることが聴きとれる。
●カートリッジへの適応性 オルトフォンVMS30/IIでベートーヴェンの第九(ヨッフム)をプレイバックしても、各声部のあるべきバランスをそのままに聴かせ、音の支え(重低音域)のしっかりした危なげのない、どちらかといえば艶をやや抑えた、ソフトな音で聴き手に安定感を与える。ポップスの再生でも、表示パワー以上の力を感じさせ、エネルギー感のみなぎった音だが、いまひとつリズムにのりきれない部分があり、いわゆる躍動感に満ちた音とは違う。エムパイア4000DIIIでの「ニュー・ベイビィ」のプレイバックでも、たいへんエネルギー感に満ちた音を聴かせるが、もうひとつリズムの躍動感に欠け、聴き手をのせてくれにくい部分があった。エラック794Eで傷んだレコードをかけると、いくぶん歪を目立たす傾向がある。
 MCヘッドアンプはなかなか優れているようで、オルトフォンMC30でもSN比はきわめて優れ、十分実用になる。MC30独特の魅力と艶に支えられた力を十二分に再生するとまではいいにくいが、特徴は十分聴き手に伝える。デンオンでは、ノイズは実用上ほとんど耳につかないほど減少するが、音の線がやや細く、DL303の持っている基本的な性格とネガティヴな面をそのまま出してしまう傾向があるようだ。
●スピーカーへの適応性 たとえばアルテック620Bカスタムなど、もう少し音の艶と躍動感があればなお良いとは思わせるものの、さすがに高級プリメインだけ質の高さで、聴き手にかなりの満足感を与え、スピーカーに対する適応性はわりあい広い。
●ファンクションおよび操作性 いわゆる磁性歪の影響を避けると称して、筐体が木とプラスチックで作られた部分が多いため、アンプの周囲の金属を避ける必要があり、誘導雑音にも強いタイプとはいえないので、使いこなしに神経を使わなくてはならない。各ファンクションはほとんどサブパネル内に納められているが、表示がいくぶん見にくい。ファンクションにはややトリオ独自の部分があり、例えば、テープ端子のアウト/イン間にイコライザーその他のアダプター類を接続できない回路構成なので、注意が必要だ。ラウドネスの利き方が多様で、時通余滴に便利。フォノ聴取時のチューナーからの音洩れもない。
●総合的に 電源部別シャーシの構成をプリメインと呼んでいいか微妙なところだが、国産プリメインの高級機の中では、デザイン、ファンクション、音質に独特の部分が多いとはいうものの、音の質の高さは相当なものだと思った。

チェックリスト
1. MMポジションでのノイズ:小
2. MCポジションでのノイズ:小
3. MCポジションでのノイズでの音質(DL-303の場合):2+
4. MCポジションでのノイズでの音質(MC30の場合):2
5. TUNERの音洩れ:なし
6. ヘッドフォン端子での音質:2+
7. スピーカーの特性を生かすか:2
8. ファンクションスイッチのフィーリング:2
9. ACプラグの極性による音の差:中

トリオ KA-1000

瀬川冬樹

ステレオサウンド 57号(1980年12月発行)
特集・「いまいちばんいいアンプを選ぶ 最新34機種のプリメインアンプ・テスト」より

●総合的な音質 KA800/900に比べると、シグマ接続なしの状態でも、このアンプは聴きごたえのある、充実感をともなった、バランスの良い音を聴かせ、基本的な音の性格が整っていることがわかる。ただし、微妙な差とはいいなから、シグマ接続にした方がいっそう音の支えがしっかりし、音のひと粒ひと粒がくっきりと姿をあらわす感じで、最近のトリオの目ざしている、いくぶん硬質で中域のよく張った、輪郭鮮明な音の方向で仕上っていることがわかる。
●カートリッジへの適応性 アンプの基本的な性格がかなり硬質な音であるためか、総合的なバランスでは、オルトフォンVMS30/IIとの組合せが最も納得が行、穏やかでバランスの整った音が聴ける。ただし、この価格帯になればこちらの聴き方もかなり厳しくなり、クラシックの管弦楽で、ベートーヴェン第九(ヨッフム)やアイーダ(カラヤン)のように、オーケストラとコーラスが複雑にからみ合った部分を再生してみると、音のバランスあるいは解像力にいくぶんチグハグな部分があり、その点個人的には多少の不満を感じる。ただし、「サンチェスの子供たち」またはエムパイア4000DIIIでの「ニュー・ベイビィ」のプレイバックでは、満足のゆく再生音を聴かせ、パワー感は十分、音の伸びもよく、クラシックよりは、ポップス、フュージョン系に焦点を合わせた方が、このアンプの特徴が生かされる。高域にピーク成分を持ったカートリッジを使ったり、そういうカートリッジで傷んだレコードのプレイバックは、このアンプでは避けた方が無難。
 MCポジションでは、聴感上のノイズがかなり耳につき、オルトフォンのような低出力低インピーダンスMCを使うには、外附のヘッドアンプまたはトランスが必要。音質も、いくぶん解像力が甘く、かついささか粗っぽい音になってしまうので、なおさらオルトフォン向きではない。一方、デンオンDL303では、外附のトランスを併用した場合には、ノイズも少なく、バランスが整い、いくぶんきつい面はあるものの、303特徴を生かした音に仕上る。
●スピーカーへの適応性 この価格帯になれば、アルテックから一応の魅力を抽き出してもらいたいが、鳴らしてみた結果は、必ずしも好ましくなく、アンプの個性の強い音のために、スピーカーを多少選り好みする傾向があるではないかと思った。
●ファンクションおよび操作性 MM/MCの切替えスイッチを、ボリュウムを上げたまま操作すると、なぜか左チャンネルからだけ、かなり耳ざわりなノイズを出す。その他のファンクションはノイズもなく、整理されている。フォノ聴取時に(MMポジションで)ボリュウムをあげると、音量はかすかだが、プログラムの内容がそれと聴きとれる程度に明瞭度が高い感じで、チューナーからのクロストークが混入する。
●総合的に 今回のトリオのシグマドライブのシリーズ三機種中では、音質は一番整っている。

チェックリスト
1. MMポジションでのノイズ:小
2. MCポジションでのノイズ:中
3. MCポジションでのノイズでの音質(DL-303の場合):2
4. MCポジションでのノイズでの音質(MC30の場合):1
5. TUNERの音洩れ:かすかにあり
6. ヘッドフォン端子での音質:2+
7. スピーカーの特性を生かすか:2-
8. ファンクションスイッチのフィーリング:1
9. ACプラグの極性による音の差:中

トリオ KA-900

瀬川冬樹

ステレオサウンド 57号(1980年12月発行)
特集・「いまいちばんいいアンプを選ぶ 最新34機種のプリメインアンプ・テスト」より

●総合的な音質 KA800同様に、まずシグマ接続でない、ふつうの2本コードでスピーカーを配線して基本的な性格をしらべたのち、4本接続にしてみた。基本的にはKA800に似て、どちらかといえば平凡な音、あえていえば少々鈍いタイプとさえいえる。そこでいわゆるシグマ接続にしてみると、ここでもまたKA800同様に、明瞭にその差が聴きとれるほど、クリアーな感じの音質に一変する。ただし、KA800の場合に、いささか作為的なほどその変化が大きかったのにくらべると、900の方がその差は少ない。KA800では、いかにも、やったぞ! という感じで変る。だからこそ、曲によってやや不自然なほどの鮮明さを与えてしまう。
 その点KA900では、KA800のような極端なクリアネスではなく、したがってクラシックの管弦楽を聴いた場合でも、不自然さは少ない。少ないとはいうものの、しかし、これでもまだ、どの曲を鳴らしてもすべて、クリアークリアー、立上り立上り、切れこみ切れこみ、解像力解像力、鮮明度鮮明度……という感じで鳴ってきて、たとえばオルトフォンのVMS30/IIの聴かせる独特のトロリとした味わいも、とちらかといえば表現しにくいタイプのアンプだ。また、KA800が表示出力(55W)以上の実感でパワーを出したのにくらべると、こちらは表示の80Wという出力が、なるほどそんなものだろう、という感じで鳴る。言いかえればそれだけ、800より穏やかな音になっているということなのだろうか。
 古い傷んだレコードのアラは、わりあいはっきりと聴かせてしまうタイプであった。
●カートリッジへの適応性 まずMCヘッドアンプだが、800よりさすがにノイズがだいぶおさえられている。とはいうもの、オルトフォン系の低出力低インピーダンス型に対して、ピアニシモでノイズが耳につかない程度まで絞ると、音量がまるで物足りない。やはりオルトフォン系に外附のトランスやヘッドアンプが必要だ。デンオン系ではそれよりも改善され、一応実用になるが、できればもう少し聴感上のSN比を向上してもらいたいところだ。各カートリッジの個性を、どちらかといえばトリオの音一色に仕上げて聴かせる。
●スピーカーへの適応性 気難しいアルテック系に対して必ずしも良いとはいいにくく、これからしてもスピーカーの選り好みのやや大きいほうのアンプといえる。
●ファンクションおよび操作性 フォノ聴取時のチューナーからの音洩れは全くなく良好。MM/MCの切替えのノイズがやや大きい。構造上の問題については800と全く同様で、800の項をご参照いただきたい。ボリュウムを絞っているとき、周囲が静かだと、内部の電源トランスの唸りが少々耳についた。
●総合的に デザインと内部設計への意欲的な試みは高く評価したい。願わくば、製造上の手馴れにつれて完成度を上げてもらいたいというところ。

チェックリスト
1. MMポジションでのノイズ:小
2. MCポジションでのノイズ:中
3. MCポジションでのノイズでの音質(DL-303の場合):2-
4. MCポジションでのノイズでの音質(MC30の場合):1
5. TUNERの音洩れ:なし
6. ヘッドフォン端子での音質:2-
7. スピーカーの特性を生かすか:2-
8. ファンクションスイッチのフィーリング:1-
9. ACプラグの極性による音の差:中

トリオ KA-800

瀬川冬樹

ステレオサウンド 57号(1980年12月発行)
特集・「いまいちばんいいアンプを選ぶ 最新34機種のプリメインアンプ・テスト」より

●総合的な音質 まずスピーカーコードを2本のまま(一般的な)接続では、これといった特徴のない、わりあい平凡な音がする。そこで4本の、トリオの名付けたシグマ接続にしてみる。と、一転して、目のさめるように鮮度が向上する。いわゆる解像力が良い、というのだろうか、とくにポップス系の録音の良いレコードをかけたときの、打音の衝撃的な切れこみ、パワー感の凄さにはびっくりさせられる。これで55Wとは、ちょっと信じがたいほどの音の伸び。少なくとも、ポップス系のレコードをショッキングに鳴らしたいという人には、大いに歓迎される音だろう。この価格でこんなに切れこみの良い音は、ちょと聴けない。しかし対象がクラシック、あるいは本質的に柔らかさやムードを要求する曲になると、この音に手離しでびっくりしているわけにはゆかなくなる。一見クリアーふうの音も、管弦楽などをやや大きめの音で楽しみたいと思うと、やや硬質で聴き疲れしやすく、また曲の進行によって音のバランスが変ってしまうような、どこかちぐはぐな要素を内包している。とくに古い録音の、少し傷んだレコードなど、傷みを拡大するような傾向があって好ましいとはいいにくい。
●カートリッジへの適応性 MM系に関しては、各種のカートリッジの持ち味をわりあい生かすような鳴り方をして、概して好ましいが、MCの場合には、MCポジションでのノイズがやや大きく、ことにハム性のノイズが混入して、ちょっと音量を上げようとすると、ピアニシモではノイズが邪魔をして、実用上問題がある。外附のトランスを使えば一応聴けるが、後述のFMの混入が困る。
●スピーカーへ適応性 以上の音質の印象はJBL4343Bによっているが、アルテック620Bカスタムのように、アンプへの注文のうるさいスピーカーの場合には、このアンプではやや役不足。言いかえれば、スピーカーを選り好みするタイプといえる。
●ファンクションおよび操作性 MM/MC切替ボタンは、ボリュウムを上げたまま押すと(なぜか左チャンネルのみ)かなり耳ざわりなノイズを出すのでこわい。また、MMポジションでは、MMカートリッジまたはMC+トランスで聴く際、FMチューナーが接続されていると、ボリュウムを上げた場合やや明瞭にFMが聴こえて具合がわるい。もうひとつ、このアンプは機構的にかなり弱く、平らな台の上でガタつくほど脚がチンバだし、ボンネットの上面を軽く叩くとギシギシときしむ。パネルのの右上をやや押し下げると、プリセットボタンのON-OFFが動作してしまうなど、組立上の不備が散見されたのは残念。ただし、別に店頭に出ている一般市販品を何台かチェックしてみたところ、この問題が出ない製品もあった。量産品では解決しているようだ。
●総合的に 機構上の多少の不備を別としても、かなり個性の強いアンプで、好き嫌いがはっきり別れるだろう。

チェックリスト
1. MMポジションでのノイズ:中
2. MCポジションでのノイズ:大(ハム混入)
3. MCポジションでのノイズでの音質(DL-303の場合):2
4. MCポジションでのノイズでの音質(MC30の場合):1
5. TUNERの音洩れ:ややあり
6. ヘッドフォン端子での音質:2+
7. スピーカーの特性を生かすか:1
8. ファンクションスイッチのフィーリング:1-
9. ACプラグの極性による音の差:中

ケンウッド L-07D

瀬川冬樹

ステレオサウンド 55号(1980年6月発行)
「ハイクォリティ・プレーヤーシステムの実力診断」より

●音質/音の鮮明度、あるいは鮮鋭度、立上りの良さ、解像力や粒立ちの良さ……といった要素を際立たせて聴かせる。その意味では今回のテスト機中の最右翼と言ってよいかもしれない。二〜三の予備テストの結果、このプレーヤーのアームは、ヘッドシェルやカートリッジの相性にかなり神経質であるように思え、専用のシェルにDL303をとりつけた組合せが最良だったのでそれを中心に試聴した。さらに、センタースピンドルにトリオ製のスタビライザーと、もうひとつ、トリオ独特のレコード外周にタガをはめる形のスタビライザーを併用してみた。音のけじめがはっきりして解像力が上るが、正直のところ、レコード1枚ごとにこれらスタビライザーをはめて聴くのは私はご免蒙りたい。いずれにしてもこの音は、どちらかといえばジャズ、ポップス系の叩く、はじく、音に長所を発揮するようだが、クラシック系、ことに弦や木管の音は、ときとしてきつすぎ、コントラストのつきすぎの感じに聴こえて、私には違和感があってついてゆけない。おそらく、クラシック系の愛好家、あるいはポップスでも穏やかな音で聴きたい人はP3を、またポップス系中心に鮮烈な生々しさを求める人はL07Dを、それぞれ評価すると思う。少なくともP10のどっちつかずの音よりも、ひとつの方向で徹底しているという点で面白い。
●デザイン・操作性/電源が別ユニット。メカニックでどこか実験機的だ。アームレストの位置がターンテーブルに近すぎたり、アンチスケーティングの糸のかけ難さ、その反面のはずれ易さ、等々、メカ的には未消化の部分多く、メカ設計者のひとりよがりと、意匠デザイナーの未熟さが目立つ。凝りすぎの部分と、そうでない部分がひどくアンバランス。外部振動から一切逃げていない構造なので、ハウリングには弱く、置き台や置き方に工夫の必要がある。

ケンウッド L-07D

井上卓也

ステレオサウンド 55号(1980年6月発行)
特集・「’80ベストバイコンポ209選」より

 異種金属貼り合わせ防振構造の重量級ターンテーブル、動的位相補償器内蔵の水晶制御DDモーター、アルミ、ボロン、カーボン三層構造パイプアーム、独立型の電源部、超精密級のアーム高さ調整機構など、現代の豊富な材料と革新的な技術により開発された高級機だ。